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のぞみとゆうの物語 ~こんな恋をしている二人が羨ましい  作者: 播磨 颯太
第二部-1章 のぞみ視点 出会い
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ナンパ事件

のぞみの朝は、いつも同じリズムで始まっていた。西元山駅7:15発の電車。あのドアの前に立ち、彼を探す。見つけられるだけで、胸の奥がふわっと温かくなる。その電車の15分は、のぞみにとって世界で一番大切な時間だった。ほんの少し彼の近くで揺られる、それだけで一日を頑張れる。


のぞみ心の声 彼は…今日もいるかな?お願い、いて…あ、いた!よかった…


視線の先には、やっぱり彼がいた。いつものように、静かに立っている。吊り革を持つ姿。窓の外をぼんやり眺める横顔。その姿を見つけただけで、のぞみの心臓は早鐘を打ち始めた。


だがその朝は違った。ドアが閉まろうとした瞬間、のぞみの視界を遮るように、一人の男子生徒が割り込んできた。


男子生徒「おはよう」


にやけ顔。見知らぬ制服。笑っているのに、目がどこかいやらしい光を宿している。


のぞみ心の声 えっ…誰?今、私に言った?何で?どうして?


のぞみはすぐに嫌悪感に襲われる。知らない男子に「おはよう」と声をかけられる筋合いはない。自分の朝は、彼と一緒に過ごす時間であって、他人に邪魔されていいものではなかった。


男子生徒「いつもこの電車だよね。見かけてたんだ」


のぞみの眉がわずかに寄る。まるで長く前から観察されていたような口ぶりに、背筋がぞくりとした。


のぞみ心の声 やめて…そんな言い方しないで。気持ち悪い。私の時間を壊さないで…


視線をそらして黙る。答えたくない、関わりたくない。けれど男子は引かない。むしろ面白がっているように、さらに顔を近づけてきた。


男子生徒「名前、教えてくれない?前からさ、ちょっと気になってたんだよね」


のぞみ心の声 最悪…なんで?どうして私があなたに名前を教えなきゃいけないの?私はただ、あの人の近くで静かに揺られていたいだけなのに。


のぞみは口を固く閉じた。答えない。相手の目を見ない。拒絶の意思を態度で示す。だがその沈黙さえ、男子には挑発に見えたのかもしれない。


男子生徒「なに、恥ずかしいの?そんなに警戒しなくてもよくね?」


その声は軽薄で、軽々しく、のぞみの心に土足で踏み込んでくる。


のぞみ心の声 うるさい…やめて…早く消えて…


胸の奥に黒い重りが積み重なる。呼吸が苦しい。こんなにも朝の空気が濁って感じられたのは初めてだった。


その時だった。のぞみはふと、あの人の方へと目をやる。


ゆう。彼がこちらを見ていた。いや、正確には、のぞみとその男子生徒を、じっと見ていた。


その表情は普段の穏やかさとは違っていた。少し険しい、少し硬い。けれど、それは不思議と心強く感じられた。


のぞみ心の声 あ…見てくれてる。私のこと、気づいてるんだ。今の状況、知ってくれてるんだ……


ほんの一瞬、目が合った気がした。のぞみは迷った末に、助けを求めるようにチラッと視線を返す。声にならないお願い。


のぞみ心の声 言えないけど…「助けて」なんて言えないけど…でも、あなたにだけは知っていてほしいの。私が今、苦しいってことを。


ゆうは目をそらさなかった。そのまま見ていた。ただ、それだけ。けれど、その「ただ見ている」ということが、のぞみにとっては救いになった。自分はひとりじゃない。誰も気づかないと思っていたこの嫌悪と不安を、彼だけが共有してくれているような気がした。


いつもよりずっと長く感じる難法駅までの15分。


電車は難法駅に到着する。ドアが開いた瞬間、のぞみは迷わず駆け出した。まるで何かから逃げるように。


のぞみ心の声 もう無理…早くここから離れたい。彼の近くにいたいはずの時間が、今日は全部壊された。最悪…あの人と静かに通学できなかった…


ホームを駆け抜け、改札へと急ぐ。心臓はまだ早く打ち続けていた。


のぞみ心の声 また明日も来たらどうしよう…いやだ…あんな人ともう二度と話したくない…


その朝、のぞみの大切な通学時間は、不意に現れた侵入者によって汚された。


ーーーーーー


学校に行き、優子を見つけてそのことを話すのぞみ。


「はぁ? なにそれ、超キモいじゃん!」


のぞみが話し終わると、優子は眉をひそめて怒ったように言った。


「なんでそんな奴に絡まれなきゃいけないの? のぞみ、全然興味ないんでしょ?」


「うん……もう最悪だった。電車の中で逃げられないし、ほんとに苦痛だった」


のぞみは思い出すだけで気分が悪くなり、ため息をついた。あの男子の馴れ馴れしい態度も嫌だったし、何より、そのせいで彼との大切な朝の時間が台無しになったのが許せなかった。


「明日もいたらどうしよう……」


のぞみは不安を口にした。今日だけの偶然ならいい。でも、もしまた同じ電車に乗ってきて、話しかけられたら? それを考えるだけで憂鬱になった。

◾️◾️◾️◾️◾️

ここからは、

清楚系、松山弁コメンテーターなっちゃん

ピチピチ系、関西弁インフルエンサーカナちゃんの振り返り番組“なっちゃんカナちゃん”


なっちゃん「うわあああ!きょうのシーン、ほんま胸ぐるぐるするわあ!のぞみちゃん、あんな幸せな朝が始まるはずやったんに、なんなんコイツ!?誰やコイツ!?失せろおおおお!!」


カナちゃん「せやねん!ドア閉まる瞬間にニヤけ面で“おはよう”やて!?いやいや、誰に許可とったん!?あんたの笑顔は今日必要ないねん!のぞみちゃんの貴重な朝タイム、粉々に砕きやがって!」


なっちゃん「ほやけん、のぞみちゃんの心の声も必死よ。“えっ…誰?なんで?”って。読んでるわしらまで“なんでやねん!”て電車内で立ち上がりそうになったもん」


カナちゃん「ほんまに。のぞみちゃんが名前言わんと口閉じたん、あれ最高の抵抗やったな!“私はあなたに関わるつもりは一ミリもございません”って顔で示すん、勇気あったで!」


なっちゃん「けんど、あの男子の“恥ずかしいの?”の一言で、わし、電車の中やったら荷棚の荷物投げつけとるわ!軽薄っていう言葉の実演販売やん!」


カナちゃん「おまけに“警戒しなくていい”やと!?いやいや、まずあんたが消えるのが一番安全やんけ!ほんま、のぞみちゃんの胸に鉛乗せて踏んづけてるようなもんや」


なっちゃん「でも!でもよ!そこに現れるんがゆう君よ!あああ…もう、きたあああ!救世主よ!無言のヒーローよ!」


カナちゃん「目ぇ逸らさんかったんやなあ…!のぞみちゃんが必死で“お願い”って視線送ったら、しっかり受け止めてくれたんや。あれ、手握るよりも効くで。沈黙の中の騎士やん!」


なっちゃん「ほんまや!ゆう君の視線って、あの瞬間、“のぞみちゃん、ひとりやない”って電車内に響いとった!音は無いけど、心臓にズドーンと届いたんよ!」


カナちゃん「結果、のぞみちゃんは駅着いた瞬間ダッシュ!あれ、もう全力疾走女子高生選手権優勝やったな。“逃げるように駆け出す”んやけど、その背中にゆう君のまなざしの余熱抱えとる…くううっ!」


なっちゃん「わしら、読みながら足バタバタしてしもたわ!なんやこの切なさと悔しさと希望のミックスドリンク!」


カナちゃん「ほんま、炭酸のんだら胃の中で爆発するみたいな感情や!」


——ここで視聴者からのはがきコーナー!


なっちゃん「ラジオネーム“朝の電車は聖域”さんから。“のぞみちゃんの時間に入ってくるあの男子、まるでペンキのシミみたい。取れんし見たくもないし最悪”」


カナちゃん「うわあ例え上手!ほんまや、白シャツに飛んだカレーうどんの汁くらい取り返しつかん存在や!」


なっちゃん「つぎはXのコメント。“@yukemuri\_onsen:あの瞬間、ゆう君の視線に私も救われた。ページ越しやのにドキドキ止まらんかった。無言の眼差し、世界一のセリフ”」


カナちゃん「せやせや!ゆう君、口ひらかんでも愛は届けられる証明やな。言葉より強いビームやん。目から出るWi-Fi!のぞみちゃんの心にフル接続!」


なっちゃん「さらに“@busystudent:明日もあの男子来るかもって恐怖、まるでホラー映画。エレベーター開いたらおるやつや”」


カナちゃん「やめて!ホンマにホラー!靴箱開けたらゴキブリ出てくるよりショックやわ!」


なっちゃん「けど最後のぞみちゃんが改札へ駆け抜けるシーン、“朝の通学が汚されたけど、ゆう君の目だけ残った”って、もう胸キュウウウウってなる!」


カナちゃん「ほんまや。悪夢に紛れて見つけた一粒の星や。のぞみちゃんの心に今日灯ったその光、きっとこれからの道を照らすやろな」


なっちゃん「誰やコイツ!って叫んで、最後はゆう君最高!で締めるこの感情のジェットコースター、ほんま最高やった!」


カナちゃん「せやせや!視聴者のみんな、今日は胃薬とエナジードリンク持って読み直してな!感情で内臓ひっくり返るから!」

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