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のぞみとゆうの物語 ~こんな恋をしている二人が羨ましい  作者: 播磨 颯太
第二部-1章 のぞみ視点 出会い
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優子作戦決行

西元山駅、冬の朝の勇気


一月。西元山駅のホームに、冷たい風が吹き込んでいた。吐く息は白く、足元には霜が残っている。早朝の空はまだ青く、遠くで列車の音が低く響いていた。


のぞみ心の声 今朝も……彼、来てくれるかな。


のぞみは手袋に包んだ手をぎゅっと握りしめた。胸の奥で、心臓がリズムを外したように早鐘を打つ。毎朝同じ時間に、同じ場所で目にする彼。その存在は、もはや一日の始まりに欠かせない光になっていた。けれど残り少ない高校生活。春になれば、自分はこのいつもの電車に乗らなくなるだろう。だから、一日だって無駄にできなかった。


のぞみ心の声 ……今日はやる。優子に言われた作戦。あれを。


優子が笑いながら「ちょっともたれかかってみなよ、恋はタイミングだから!」と背中を押してくれた場面が脳裏に浮かぶ。のぞみは小さく唇を噛み、決心を固める。


のぞみ心の声 でも……大丈夫かな。もし離れられたら、私……どうすれば……。いや、少しだけ近づくだけなら、不自然じゃない。勇気を出さなきゃ。


その自問自答が、冷たい朝の空気の中で何度も胸に反響していた。


駅の時計は7時12分を指していた。遠くに見覚えのある背中。彼はもうホームに来ている。


のぞみ心の声 いた……!今日も来てる……。


のぞみは鼓動を抑えきれないまま、できるだけ自然を装って歩を進める。気配を立てないように、そっと二人後ろに並んだ。息を潜めるようにして立ちながら、内心では火が燃え上がる。


のぞみ心の声 気付いたかな……?どうしよう、もうドキドキして立ってるだけで倒れそう……。


ほどなくして、急行列車のライトが闇を切り裂くように近づいてくる。ゴォッという音とともに風が巻き起こり、制服のスカートが揺れた。


ドアが開き、波のように人が流れ込んでいく。のぞみは迷わず彼の横を目指す。


のぞみ心の声 やった……!彼の隣に立てた……!


しかし、乗り込んだ電車の中は、いつもより空いていた。


のぞみ心の声 えっ……今日は混んでない……。いつもならぎゅうぎゅうで、近づいても不自然じゃないのに。逆側にこんなにスペースがあるのに寄ったら……変に思われちゃうかも……。


胸の中で不安と決意がぶつかり合う。今、この瞬間を逃したら、次に彼の隣に立てるのはいつになるかわからない。迷いながらも、のぞみは大きく息を吸い込んだ。


のぞみ心の声 もう、やるしかない……!


ほんの少し、体を彼の方へ寄せる。その動きは自分では地震のように大きく感じられた。


ゆうは視線を動かし、驚いたようにのぞみを見た。


のぞみ ……(微笑んで)


のぞみ心の声 お願い……変に思わないで……!


彼の反応は一瞬読み取れない。でも、嫌がっているようには見えなかった。


のぞみは吊り革を握り、窓ガラスに映る二人の姿を覗く。そこに、少し緊張した面持ちのゆうの表情が映っている。


その目と、ガラス越しに合ってしまった。


のぞみ心の声 や、やば……!笑わなきゃ……!変に思われちゃう……!


のぞみは思い切って、窓ガラスの中の彼に小さく微笑みかけた。


その瞬間、ゆうはハッとした顔をした。驚いたような、けれどどこか嬉しそうな表情。


のぞみ心の声 ……あ……今の……嬉しい顔……?


鼓動が耳まで響き、全身が熱くなる。


西元山駅を出発してから15分後、電車は難法駅に滑り込む。


ドアが開き、のぞみはいつものように右の改札へと向かう。足取りは速いのに、心の奥はふわふわとして落ち着かない。


のぞみ心の声 も、もう死にそう……!あんなに近づいて……!彼、私のことどう思ったんだろ……。変だと思ったかな……。


不安はまだ消えない。でも、確かに感じた。彼の驚きと、その目に浮かんだ温度。


のぞみ心の声 ……大丈夫。きっと、今日のは……手応えあったよね。


頬を赤くしたまま、のぞみは改札を抜けていった。心臓の鼓動はまだ速い。けれど、その速さが彼と繋がっている気がして、少しだけ胸を張れた。


——それは、二人の距離がほんの少し縮まった朝だった。

◾️◾️◾️◾️◾️

ここからは、

清楚系、松山弁コメンテーターなっちゃん

ピチピチ系、関西弁インフルエンサーカナちゃんの振り返り番組“なっちゃんカナちゃん”


なっちゃん 「うわーーー!出た出た出たぁ!優子作戦キタでーーー!!!」


カナちゃん 「のぞみちゃん、ついにやったんやな!?もう心臓の鼓動がイヤホンからも聞こえてきそうやわ!やっぱり恋する乙女は勇者やで!!」


なっちゃん 「ほんまよ!普段ぎゅうぎゅうやけん寄っても自然なんやけど、今日は空いとるんよね!逆にハードル上がっとるやん!そんな状況で実行するって、のぞみちゃん根性あるわ〜!」


カナちゃん 「そうそう!なんかスキーのジャンプ台で誰もおらんときに『今跳べ』って言われるくらいのプレッシャーやで!それを『えいや!』って寄ったんやからもう拍手喝采!」


なっちゃん 「しかもや!窓ガラスに映るゆう君との視線の交錯……!ここ!ここやろ!!」


カナちゃん 「そうやねん!恋のビームやん!あのガラス越しの目が合う瞬間って、もうマンガのコマ割りやで!少女漫画雑誌の表紙飾れるくらいの場面や!」


なっちゃん 「で、のぞみちゃんがニコッと笑うんよ。あの勇気よ!あれはもう『恋する乙女の必殺技』やけん!」


カナちゃん 「そしてゆう君のハッとした顔!うわーー!わたしその顔キャプチャしたい!保存したい!一生の宝物やん!!」


なっちゃん 「いやもう優子作戦っていうより、のぞみちゃん自身の気持ちが溢れとるんよね。寄る勇気、笑う勇気、これ全部“好き”が背中押しとるんやろなぁ。」


カナちゃん 「ほんまやなぁ……!そして改札抜けて『死にそう!』ってなるの、分かりすぎる!もう心臓バクバクで足ガクガク、でも気持ちはふわふわ浮いてる!まるで階段踏み外して宙に浮いた瞬間みたいな感覚や!」


なっちゃん 「うちまでドキドキしてきたわ〜!よっしゃ!ここで視聴者のみんなからのはがきとXコメント紹介していこや!」


カナちゃん 「はいはい!まずはラジオネーム『冬のマフラーは共鳴装置』さんから!」


読み上げ 「のぞみちゃんの勇気に鳥肌立ちました!自分なら絶対空いてるのに近づけません!ガラス越しの視線とか、もう恋愛ドラマのクライマックス級です!」


なっちゃん 「分かる〜!空いとるのに寄るって勇気100倍よ!それができるんが恋の魔法やけん!」


カナちゃん 「恋愛ドラマどころか、ハリウッド映画の予告編の最後のカットに使えるレベルやで!」


なっちゃん 「次はXからやね!『#西元山の奇跡』ってタグついとる!」


読み上げ 「窓ガラスのぞみスマイルは恋のスナイパー。ゆう君、一発でハート撃ち抜かれましたね」


カナちゃん 「いやー!恋のスナイパーとか最高やん!ドドーンって効果音鳴ったわ!」


なっちゃん 「続いて!『ラジオネーム:急行待ちの子犬』さん!」


読み上げ 「のぞみちゃん、まるで雪原に一歩踏み出すペンギンのよう。最初の一歩は怖いけど、そこから群れが動き出すんです!」


カナちゃん 「ペンギン例えきた!めっちゃええやん!確かにあの寄る一歩は群れを動かす最初の勇気や!」


なっちゃん 「うちも今、心ん中で『寄れーー!寄れーー!』って応援団長しよったわ!」


カナちゃん 「いやほんまな!この番組、恋の応援団やで!」


なっちゃん 「そして最後はこれ読まなあかんやろ、『Xユーザー:ゆう君になりたい人』」


読み上げ 「のぞみちゃんに微笑まれたら、僕はその場で改札通らずにプロポーズしてます」


カナちゃん 「即プロポーズて!早いわ!でも分かる!のぞみちゃんスマイルは即死級やもん!」


なっちゃん 「今日もみんなの熱量すごかったなぁ!のぞみちゃん、ゆう君、がんばれー!うちらも毎朝ホームの影から応援しとるけんね!」


カナちゃん 「次回も胸キュンすぎて酸欠なるかもしれへん!ほな、またなー!」


なっちゃん 「またねー!」


——番組終了のジングルが流れる。二人の笑い声がいつまでも響いていた。

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