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のぞみとゆうの物語 ~こんな恋をしている二人が羨ましい  作者: 播磨 颯太
第二部-1章 のぞみ視点 出会い
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私を意識してくれている彼

一月の冷たい朝。

西元山駅の階段を降りるのぞみの足音が、コツコツとタイルに響く。白い息が立ちのぼるたびに、胸の奥で高鳴る鼓動が余計に意識される。


昨日、定期券売り場で偶然に出会った。ほんの数秒のやりとり。会釈を交わしただけ。けれどその一瞬が、のぞみの中で何度も再生され、夢にも似た甘い余韻を残していた。


階段を下り、列に並ぶのぞみ。

のぞみの視線が、ふと入線する難法行き急行の窓ガラスに映る人影にとまる。

目が合った。


のぞみ心の声 え?……うそ、また?私を探してくれてる……?


彼の視線はまっすぐにこちらに向けられているように見えた。心臓が、どくん、と強く鳴る。


電車が滑り込み、金属の擦れる音とともにドアが開く。彼――ゆうは自然な足取りで乗り込み、その後を追うようにのぞみも車内へ入る。


昨日の出来事が頭をよぎる。ゆうは確かに自分を見て、会釈を返してくれた。偶然ではない。のぞみはその半分を、確信のように胸に抱いていた。


座席の並ぶ前に立ち止まり、勇気を振り絞る。

のぞみはゆうの方へ、小さく、しかしはっきりと会釈をする。唇の端を上げ、微笑みを添えて。


のぞみ心の声 ちょ、どうしよう!今、笑っちゃった!彼、どんな顔するんだろう……?


ゆうの瞳が丸く開かれる。言葉を失い、肩が一瞬固まる。

その様子にのぞみの鼓動はさらに早まる。


ゆうはぎこちなく、遅れて首を下げる。慌てて作った笑みが、口元に浮かんでいる。頼りなくも、懸命に返そうとしている気持ちが伝わる。


のぞみ心の声 か……返してくれた!私に会釈してくれた!


嬉しさが波のように胸に押し寄せる。頬の奥まで熱くなるのを感じながら、のぞみは照れ隠しのように鞄を開く。取り出したのは英単語帳。


ページをぱらりとめくり、指で文字をなぞる。だが、頭に入ってくるのは単語ではない。


のぞみ心の声 もう全然集中できない……彼のことばっかり、気になって……。


視線は文字よりも、彼の横顔に吸い寄せられてしまう。

ちらり、またちらり。彼もまた落ち着かない様子で、指先をいじったり、視線を泳がせたりしている。


のぞみ心の声 ……絶対、意識してくれてる。私のこと。


車内の時間は、普段と同じように進んでいるはずだった。けれどのぞみにとっては、世界が別の速さで流れているように感じられる。駅をいくつ通り過ぎたのか、まるで思い出せない。


ただ、彼のモジモジとした表情と、自分の胸の高鳴りが支配していた。


やがて電車は難法駅に到着した。

ドアが開き、押し寄せる人波がホームに溢れる。のぞみも鞄を抱え直し、人の流れに乗って右手の改札へ向かう。


背筋を伸ばし、一歩一歩を確かめるように歩く。けれど頭の中では、後ろを歩いている彼の気配ばかりを探していた。


ゆうは少し遅れてホームへ降り立つ。その姿が気になって仕方がない。

だが彼が向かう改札は左手側。進む方向は違う。


のぞみ心の声 ……行っちゃうんだ。でも、もっと見ていたい。


人の波をかき分けるように、肩越しに何度も振り返る。視線は必死に彼を追いかける。

けれど、もうゆうの姿は群衆の中に溶け込み、見つけることはできなかった。


それでも――胸の鼓動は止まらない。

歩きながらも心臓は速く打ち続け、足取りを軽くしていた。


のぞみ心の声 今日も……ちゃんと、返してくれた。私、もう“ただの知らない人”じゃないんだ。


その確信が、のぞみの胸の奥を温かく満たしていた。

◾️◾️◾️◾️◾️

ここからは、

清楚系、松山弁コメンテーターなっちゃん

ピチピチ系、関西弁インフルエンサーカナちゃんの振り返り番組“なっちゃんカナちゃん”


なっちゃん ちょちょちょ、カナちゃん!今のシーン見た!?のぞみちゃんの心の声、まるで花火が胸ん中でパーンパーンゆうて弾けよるみたいな勢いやったんよ!


カナちゃん 見た見た!もうな、駅のホームが恋愛のリングになっとったわ!のぞみちゃん、会釈ひとつで世界変わってもうてるやん!なんやこれ、ピュア度100%超えて放射線出とるんちゃう!?


なっちゃん ほんまよ!あの会釈返してもらった瞬間の「返してくれた!」って心の叫び、私まで胸ぎゅーんて締め付けられたわ!ゆう君もめっちゃぎこちなく返しよるんが、逆にほんま、青春のもだえそのものよ!


カナちゃん しかもやで?のぞみちゃん、英単語帳めくっとるけど頭ん中はぜーんぶゆう君やねん。もう「apple」も「banana」も「you」に変換されとるわ!


なっちゃん あはは!わかる!ページめくっとるんやけど、視線はちらちらゆう君。あれはもう集中どころやない。恋の辞書開いとるんよ!


カナちゃん ほんまにな!しかも電車降りてからよ、改札が右と左で分かれて、そこで「行っちゃうんだ……」やろ?もう、恋愛映画のクライマックス前半やん!


なっちゃん ねえねえカナちゃん、私もう耐えれんのやけど!これって純度100%の純愛やない!?


カナちゃん あかん!ほんまにあかん!のぞみちゃん、そんなん心の奥でゆう君見つめとったなんて……これ、心臓が砂糖漬けになるレベルや!


なっちゃん 甘すぎて息できんわ!


カナちゃん ほなここで視聴者さんからのコメントいこか!まずはラジオネーム「通学電車の女神を見守る会」さんから!

「のぞみちゃん、もはや恋の爆弾処理班やん!笑顔ひとつでゆう君の時限装置止めとる!」


なっちゃん たしかに!ゆう君の肩ガチガチ固まっとったもんね!爆弾解除された瞬間みたいにぎこちなく笑いよったわ!


カナちゃん 次はXから。「#会釈は告白」ってタグでめっちゃ流行っとるで!コメントは「電車の中で目が合う=それはもうラブレターやろ」って。


なっちゃん わかるー!手紙いらんよ!目と目のビームで全部通じとる!


カナちゃん ラジオネーム「チョコレート心臓」さん。

「読んでて心臓が明治ミルクチョコみたいに溶けました」やて。


なっちゃん うまいこと言うなあ!私の心臓も板チョコ割れてボロボロやわ!


カナちゃん 続いてXコメント。「のぞみちゃん、電車のドア開いた瞬間から舞い降りた天使やった。ゆう君、魂ごと持ってかれてるで」


なっちゃん もう天使いうより、恋のスナイパーよ!狙い撃ちしとるもん!


カナちゃん 最後にこれ!「ゆう君のぎこちない笑顔は、世界で一番高級な宝石よりも輝いてた」


なっちゃん はぁ〜!もうそれ言われたら、私も涙ちょちょぎれるわ!


カナちゃん ほんまやで!視聴者さんもみんな、のぞみちゃんとゆう君の恋の電波にやられとる!


なっちゃん 次回、これどうなるんやろ!?私もう待ちきれんのやけど!


カナちゃん あかん、今日寝られへんわ!胸ドキドキしすぎて!


なっちゃん 私もや!心臓が駅の発車ベル鳴らしよるわ!


カナちゃん ポッポー!ってな!

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