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のぞみとゆうの物語 ~こんな恋をしている二人が羨ましい  作者: 播磨 颯太
第二部-1章 のぞみ視点 出会い
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運命の定期券売り場(のぞみ編)

一月の夕方。西元山駅の窓口。

吐く息が白く揺れるホームに比べ、窓口の前は少しだけぬくもりがあった。制服の袖をきゅっと引き寄せ、のぞみは定期券の更新を待っていた。


今の定期券は、今週いっぱいで期限が切れる。

窓口のガラス越しに、次に受け取るカードのことを思う。


のぞみ心の声 これが、最後の……高校生活最後の定期券。

期限が切れるころには、もう卒業なんだ。

……そのとき、私、彼とどんな関係になれてるんだろう。名前を呼べるくらいになれてるのかな。


呼び出されて、のぞみは前に進む。硬質なガラスの向こうで、駅員がにこやかに「はい、こちらで大丈夫ですね」と手続きを進めてくれる。受け取った定期券は、どこか重みが違って見えた。


小さく礼を言って、次の人に譲るために横へ退いた瞬間。

心臓がどん、と跳ねた。


そこに立っていたのは――彼。


のぞみ心の声 え?……嘘……?後ろにいたの?なんで?こんな偶然あるの?


体の中の血の流れが一瞬で変わる。驚きと、信じられない気持ち。

思わず固まる。足も声も出ない。


そのとき、彼の瞳がこちらを捉えた。

驚いた表情。その顔があまりにも新鮮で、のぞみは咄嗟に、控えめに頭を下げた。


彼も一瞬固まったように見えた。でも、少し遅れて、かすかに会釈を返してくれた。


のぞみ心の声 ……返してくれた……!


それだけのことなのに、胸の中が一気に熱を帯びた。けれど、余韻を味わう暇もなく、窓口の係員が声をかける。


「次の方、どうぞ」


呼ばれて、彼は前に進んでしまう。

その背中を見送るしかできない。


のぞみにとっては、ほんの数秒の出来事だった。

けれど、息を止めて心臓の音だけを聞いていたあの瞬間は、永遠みたいに長かった。


足を進めるが、体はふわふわして、まるで夢の中を歩いているみたいだった。


のぞみ心の声 私……彼に会釈しちゃった……。

しかも、彼も驚いた顔をして、ちゃんと返してくれた……。


思い出すだけで頬が熱い。

嬉しいのに、恥ずかしいのに、どうすればいいのか分からない。

偶然が運んできたたった一瞬の近さが、胸を甘く締めつけてくる。


そっと振り返る。

窓口で手続きをしている彼の横顔が視界に入った。

真剣な顔。駅員に言葉を返しながら、ペンを動かしている。


けれど、その表情はほんの少し硬い。どこか落ち着かないように見えた。


のぞみ心の声 ……もしかして、私のこと、気にしてくれてる……?


ありえない、と思う。

勝手に自分が意識してるだけ。きっとそうだ。

でも、あの会釈の一瞬、彼の目に映っていたのは確かに私だった。


のぞみ心の声 この定期の期限が切れるまでに……私は彼と、どこまで近づけるんだろう。


小さなカードを手のひらに包み込む。冷たいプラスチックが、心の奥では不思議に温かく感じられた。

のぞみはそのまま、新しい定期券を握りしめて、胸の前に抱き寄せた。

◾️◾️◾️◾️◾️

ここからは、

清楚系、松山弁コメンテーターなっちゃん

ピチピチ系、関西弁インフルエンサーカナちゃんの振り返り番組“なっちゃんカナちゃん”


なっちゃん 出たー!運命の定期券売り場のシーンやん!もうのぞみちゃん、心臓バクバクで凍りついとるやんか!あの「え?嘘?」の内心の声、めっちゃリアルで胸ぎゅーってなるわぁ。


カナちゃん ほんまそれやで!あれ、少女漫画やったら効果音で「ドン!」って出るとこやん!白い息がふわーって出てんのに、窓口のぬくもりの中で出会うとか、ロケーションが完璧すぎるねん。映画化決定や!


なっちゃん しかも、のぞみちゃん思わず会釈しとるやろ?「え、どうしよ」って固まっとるんに、体は勝手に動いとるんよね。で、ゆう君もちゃんと返すんよ!これ、返さなんだら話進まんけん、ゆう君ナイスジャッジ!


カナちゃん 返すまでの一瞬の間よ!あれめっちゃスローモーションで流れるやつやで。のぞみちゃんには2秒かもしれんけど、こっち読んでると3分くらい永遠に止まってたわ。


なっちゃん で、呼ばれて「次の方どうぞ」で現実に引き戻されるんやけど…その間の余韻!ふわふわ歩くのぞみちゃん!もう夢心地やけん、地面ちょっと浮いとるんちゃうん?


カナちゃん 浮いとる浮いとる!あれ、もう駅の床じゃなくて雲海の上やで。で、振り返ったらゆう君がちょっと落ち着かん顔で手続きしとるんやろ?絶対あれ、のぞみちゃんのこと考えてもうたからやん!


なっちゃん いやー、これよ。偶然と必然が交錯するシーン。カード一枚受け取るだけで人生変わるんやけん。のぞみちゃんの手のひらに収まっとるん、ただの定期券やないで、ゆう君との未来券や!


カナちゃん 出たー!未来券!ほんまや!そのプラスチック冷たいのに、心ん中はあったかい。これが恋のヒーター機能やな。


なっちゃん あはは!恋のヒーターええなぁ。


カナちゃん じゃ、ここで視聴者のみんなの反応いこか!


なっちゃん ほいきた!


カナちゃん まずポストカード。「愛知県のラブトレインさんから。『会釈だけで恋が始まるとか尊すぎて泣ける!私も明日から改札で会釈しよかな!』」


なっちゃん いやいや!改札で知らん人に会釈したら逆に不審者やろ!


カナちゃん そやな!でも気持ちは分かる!


なっちゃん 次はXのコメント。「@yukemuri_skyさん:のぞみちゃんの“え?嘘?”の内心、私の心臓のペースメーカーも一緒に跳ねた」


カナちゃん ペースメーカーごと!?大事にせなあかんで!でもほんま、みんな心臓直撃やったんやな。


なっちゃん もうひとつ。「@kitakaze_loveさん:定期券更新って、人生のセーブポイントみたい。ここでゆう君に会うの、運命のフラグ立ちすぎ」


カナちゃん おお!セーブポイントきた!確かにあそこからルート分岐するもんな。のぞみルートか、ただの通学ルートか。


なっちゃん いやぁ、もう今回は名シーンすぎたわ。会釈一発で視聴者全員を震わせるんやけん。


カナちゃん 次の展開も怖いくらい楽しみやで!


なっちゃん ほんまやね!さてさて、このあとどうなるんやろなぁ……。

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