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のぞみとゆうの物語 ~こんな恋をしている二人が羨ましい  作者: 播磨 颯太
第二部-1章 のぞみ視点 出会い
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彼と同じ列へ

西元山駅のホーム。まだ吐く息が白く残る早朝、線路の向こうに微かに光が広がり始めている。

のぞみは制服のポケットに手を入れながら、少し早めに改札を抜けて階段を上がった。


のぞみ心の声 今日は、ちょっと余裕を持って来ちゃった……。いつもより五分早いかな。


ホームに出た瞬間、目に飛び込んできたのは――あの人。

けれど、いつも立っているドアの前ではなく、少し離れた位置。違う乗り口に立っていた。


のぞみ心の声 え……?なんで?どうしてあそこに?


心臓が一瞬で速くなる。胸の奥がざわめく。

昨日、同じドアに並んだ自分のことを、不審に思ったのだろうか。

「なんでついてくるの?」そう思われたのだろうか。


のぞみ心の声 いや……そんなはず……でも……もし……


逡巡の中、足は自然と彼の方へ向かっていた。離れることはできなかった。

もうすぐ卒業。もうこの電車に毎朝乗れるのもわずか。

ここで彼から離れてしまえば、二度と近づけないような気がして。


のぞみは少しだけ唇を噛んで、彼の列に並んだ。

ただそれだけのことが、どきどきする。


やがて、遠くから電車の轟音が近づいてくる。線路がわずかに震え、冷たい風がホームを抜ける。

電車の窓ガラスに映る彼。

目が合うのぞみ。


のぞみ心の声 彼、今私を見てた?


のぞみはぎゅっと手袋の中で拳を握りしめた。


のぞみ心の声 どうしよう……私、また同じドアから乗ろうとしてる……。

彼にとって、それが迷惑だったらどうしよう……。

でも、離れたくない……絶対に……。


電車がホームに滑り込み、ブレーキのきしむ音が広がった。

ドアが開く。彼が一歩、踏み出す。

のぞみも、鼓動を抑えられないまま、その後ろに続いた。


車内は、いつもの場所よりもわずかに空いている。

少しだけ距離を置くこともできた。だが、のぞみは迷わなかった。

彼のすぐそばに立つ。自分の中で理由を言葉にできない。ただ「ここにいたい」と思った。


電車が発車する。窓の外の風景が流れ始め、吊革がゆらりと揺れる。

のぞみは俯いたまま、視線だけをそっと横に滑らせた。

彼は吊革を強く握りしめ、ほんの少し緊張しているように見えた。


のぞみ心の声 ……やっぱり、気づいてる?私のこと。

私が近くにいるってこと……ちゃんと気にしてる……?


彼の指が白くなるほど吊革を掴む姿を見て、のぞみは思わず口元を押さえた。

胸が熱くなる。まるで秘密を分け合っているような感覚。

もし本当に、自分の存在を意識してくれているのだとしたら――それだけで嬉しい。


のぞみは鞄の中から英単語帳を取り出した。表情を整え、あくまで「勉強してます」という顔をしてページをめくる。

けれど、視線の端では彼の動きを、彼の呼吸を、彼の存在を追っていた。


言葉は交わさなかった。

ただ同じ空間に立ち、同じ時間を過ごした。

それだけで、昨日よりも少しだけ前に進んだ気がした。


のぞみ心の声 今日も話せなかった……でも、ここにいられた。

それだけで、なんだかすごく大切な一日になった気がする……。


揺れる車内で、二人の距離は変わらない。けれど心は、ほんの一歩だけ近づいていた。

◾️◾️◾️◾️◾️

ここからは、

清楚系、松山弁コメンテーターなっちゃん

ピチピチ系、関西弁インフルエンサーカナちゃんの振り返り番組“なっちゃんカナちゃん”


なっちゃん 「うわぁぁぁぁ!カナちゃん、今日のシーン、鳥肌立ったわぁ……のぞみちゃん、いじらし過ぎるんよ!」


カナちゃん 「ほんまやで!あの子、まだ名前も知らんゆう君に、ここまで心臓バクバクさせて、唇かんでまで後ろに並ぶって!乙女心の決意表明やん!」


なっちゃん 「しかもやねぇ、『彼、今私を見てた?』って……!ほうけん、見てたに決まっとるやろ!もう心の火花が散っとるんやけん!」


カナちゃん 「そうそう!で、のぞみちゃん、ちょっと距離空けられるのに“迷わんとそばに立つ”って……これもう、“私、アンタから離れません”のラブ宣言やで!直接は言うてへんけど、心のスピーカーから大音量で流れとる!」


なっちゃん 「ほんまや!で、ゆう君もねぇ、吊革ぎゅーって握って緊張しとるんやけん!のぞみちゃん、気付いとるんよ!『私のこと意識しとる?』って!気付いた瞬間に口元押さえて笑みこらえる姿……あれはもう恋のしっぽが見えとるわい!」


カナちゃん 「しっぽどころか、背中に羽生えとるで!もう二人、空飛びかけてんねん!」


なっちゃん 「それでねぇ、のぞみちゃん、英単語帳開いて『私勉強してますけん』って装っとるけど、あれは完全に“恋を隠すカモフラージュ”じゃわ。戦場で迷彩服着とる兵士と同じなんよ。けど迷彩から覗いとる目線がバレバレ!」


カナちゃん 「おもろいわー!ほんまにあれやな、のぞみちゃんは“スパイ映画のヒロイン”やで。カバーストーリーは『受験勉強』やけど、ほんまの任務は『ゆう君の隣を死守すること』!」


なっちゃん 「名作やなぁ……!しかも最後の『今日も話せなかった……でも大切な一日』って!あれはねぇ、日記に金のインクで書いておきたいレベルの青春の瞬間よ!」


カナちゃん 「金のインクて!いやでも分かるわぁ!そういう一日って後で振り返ったら心のアルバムの一番目立つとこに貼ってあるんよな!」


なっちゃん 「ほんで、ほら、視聴者からはがき来とるけん、読んでみるけん!」


カナちゃん 「おっしゃ来たか!」


なっちゃん 「“ペンネーム・電車の吊革さん”より。『わしもあの吊革みたいに、彼女の手に意識されたい人生やった』」


カナちゃん 「出たー!吊革視点!そらそうや!あの瞬間、吊革は青春の証人やったんやで!」


なっちゃん 「次はXコメント。“のぞみちゃんの一歩って、宇宙船の月面着陸より尊い一歩やろ”」


カナちゃん 「うまっ!アポロ11号超えてきた!そらもう、月面に国旗立てるより重い決意やったで!」


なっちゃん 「“ゆう君の手、白うなるまで吊革握ってたけど、ほんまはのぞみちゃんの手握りたかったんやろ?”ってコメントも来とるよ」


カナちゃん 「それや!正解出た!これもう“手袋ごしの未遂ハンドシェイク”や!」


なっちゃん 「いやぁ……もうスタジオ熱気で曇っとるわ。のぞみちゃん、ほんまいじらしいんよ……。ゆう君!気付けや!ここまでシグナル飛ばしとるんやけん!」


カナちゃん 「そうや!シグナルどころか、信号機フル点灯やで!赤も青も黄も全部ピカピカ!渡れー!渡ってしまえー!ってな!」


なっちゃん 「ほんまやなぁ……この二人の電車、まだまだ発車したばっかりじゃけん!視聴者のみんなも、ハンカチ握りしめて見守ってやってやー!」


カナちゃん 「ほな今日のレビューはここまで!次も胸キュンの心拍数上げて待っててや!」


なっちゃん 「またなぁ〜!」

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