決断と告白
レストラン“ジュテーム”の窓からは、まだ冬の冷たい風に揺れる街路樹が見えていた。外の寒さとは裏腹に、店内はランチの時間を過ぎて静かで、温かな空気が漂っている。柔らかな照明がテーブルクロスを淡く照らし、残り香のデミグラスソースが、どこか甘い緊張感と混ざり合っていた。
向かい合う二人の間には、まだ片づけられていない水のグラスとパン皿が置かれている。沈黙が長く続いたわけではない。ただ、のぞみの目が何度も揺れ、言葉を探していることが、ゆうに伝わっていた。
のぞみは小さく息を整え、ゆうをまっすぐに見つめた。瞳の奥には、決意とためらいが入り混じっていた。
のぞみ「ゆう君……あのね。私、関東の大学を受けたでしょ? そこに、合格したんだ」
その言葉が落ちた瞬間、ゆうの胸の奥で何かが崩れた。理解はしている。喜ばしいことのはずだ。のぞみが努力を重ねて勝ち取った結果――でも、その瞬間に心臓の鼓動が重く沈み込んでいく。
ゆう「……そ、そうなんだ」
声はかすれ、言葉が途切れそうになる。喜びを表したい気持ちと、どうしようもなく胸を締めつける寂しさが、同時に押し寄せてきた。笑顔を作ろうとするが、頬は思うように動いてくれない。
ゆう「お、おめでとう……のぞみさん。本当にすごいよ。努力がちゃんと報われたんだね……」
ゆうの声は褒めているはずなのに、滲み出る落胆を隠しきれなかった。
のぞみはその表情を見て、はっとする。しまった、と心の中でつぶやく。順番を間違えた――伝えたい大切なことを、先に言わなかったのだ。
その大切な事とは――
のぞみ「ちょ、ちょっと待って! あのね、ゆう君……」
彼女の声は焦りに震えている。机の下で膝の上に置いた手をぎゅっと握りしめながら、必死にまっすぐゆうを見た。
のぞみ「私ね、関西の大学も滑り止めで受けてて……実はね、そこも合格したんだ」
ゆうは思わず目を見開いた。胸の奥に重く沈んでいたものが一瞬で揺らぎ、驚きが表情に浮かぶ。
のぞみ「親はね、最初は“関東の方が就職に有利だから”って言ってたんだけど……ちゃんと話し合って、結局、私は関西の大学に進学することに決めたんだ」
その瞬間、ゆうの胸に熱がこみ上げた。信じられないという気持ちと、安堵が一気に混ざり合い、言葉にならない声が喉の奥にせり上がる。
ゆう「……ほんとに? それ、ほんとなの?」
ゆうは気づけばテーブルの上でのぞみの手を強く握っていた。震える声に、感情がすべて滲み出ていた。
のぞみは一瞬驚いた顔をしたが、すぐにふわりと微笑み、ゆうの手を握り返す。その笑顔には、不安を振り切った後の、まっすぐな決意が宿っていた。
のぞみ「うん……ほんと。親にはいっぱい言われたけど……でも、私はやっぱりここで頑張りたいって思ったの。それに……ゆう君と、離れたくなかったから」
その言葉が、ゆうの胸にまっすぐ突き刺さった。視界が熱を帯び、ぼやけていく。ずっと抱えていた不安――遠くに行ってしまう恐れ――それらが一瞬で溶け、涙に変わろうとしていた。
ゆう「のぞみさん……ありがとう……ほんとに、おめでとう……」
言葉はそれだけだった。けれど、それ以上の気持ちはすべて声に込められていた。
のぞみはその様子を見て、安心したように微笑み、ゆうの手をもう一度強く握った。
のぞみ「これからも……ずっと、一緒にいられるね」
ゆうは大きくうなずいた。
ゆう「……うん! ずっと!」
その声は、未来を確かに手に入れたかのように力強かった。
二月十四日。バレンタインデー。
レストラン“ジュテーム”の片隅で、二人にとって一生忘れられない時間が流れていた。
ゆうは、向かいに座るのぞみを見つめた。
関西に残ると聞かされた瞬間の安堵と嬉しさ。その気持ちの奥から、別の強い感情が今もせり上がってくる。言わなければならない。今しかない。ずっと胸に抱え、何度も飲み込んできた言葉。彼女が遠くに行くと知ってしまったら、もう二度と伝えられなかったかもしれない。
心の奥で声が響く。――もう迷う理由なんて、どこにもない。
ゆう「のぞみさん!」
その声は、思っていたよりもずっと大きく、熱を帯びていた。握っていた手にさらに力がこもる。
のぞみはぱちっと目を瞬かせ、少し驚いたように首をかしげた。でもすぐに、柔らかな微笑みを浮かべる。
のぞみ「……なあに?」
その笑顔に胸が詰まる。心臓は壊れそうなくらい早く鳴り響き、耳の奥まで熱い。けれど、その鼓動に負けないように、ゆうはまっすぐ言葉を紡いだ。
ゆう「僕……僕、ずっとのぞみさんのことが好きでした。初めて電車で見かけたときから、目が離せなくて……気がついたら、毎日どんどん好きになっていって。今ではもう、のぞみさんのことしか考えられないんです。これからもずっと一緒にいたい。だから……僕と、付き合ってください!」
言い切った瞬間、世界の音がすっと消えたように感じた。店の扉が開く音も、食器の擦れる音も、もう耳に届かない。自分の鼓動だけが大きく響き、胸の奥で爆発しそうになっている。
のぞみは一瞬、驚きで息を呑むように目を見開いた。その頬がゆっくりと赤く染まり、視線が揺れる。けれど、やがて彼女はゆうの手をぎゅっと握り直した。
のぞみ「……ゆう君、そんなふうに思っててくれたんだね。……うれしい。すごく、うれしいよ」
彼女の声は少し震えていた。瞳がほんのり潤み、涙がこぼれそうに光っている。
のぞみ「私もね……ずっと、ゆう君のことが好きだったんだ」
その瞬間、ゆうの世界が一気に光で包まれたように感じた。心臓が跳ね、呼吸が詰まる。
ゆう「……ほ、本当に?」
思わず聞き返す声は震え、半ば信じられないように。
のぞみは笑みを浮かべ、しっかりとうなずいた。
のぞみ「うん、本当。だから、私も言わせてね……ゆう君、大好き」
その言葉を聞いた瞬間、ゆうの視界がぼやけた。頬を熱い雫が伝って落ちる。
ゆう「……ありがとう……のぞみさん……!」
声は涙に濡れ、途切れそうになりながらも、心からの感謝がにじみ出ていた。
二人はそのまま、強く手を握りしめ合う。お互いの温もりが指先から伝わり、確かな絆を確かめ合うように。
微笑み合う二人の瞳は涙で潤んでいるのに、そこには確かな光が宿っていた。
こんなに幸せな瞬間があるなんて――そう思えるひととき。
のぞみが関西に残ると決めた今日、バレンタインデーはただの記念日ではなく、二人にとって新しい始まりの日になった。
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ここからは、
清楚系、松山弁コメンテーターなっちゃん
ピチピチ系、関西弁インフルエンサーカナちゃんの振り返り番組“なっちゃんカナちゃん”
なっちゃん「あああああ…もう、涙が止まらんわ……のぞみちゃんとゆう君、めっちゃええ子やん…」
カナちゃん「なっちゃん、ほんまやで。うわぁ…手握り合うところ、もう涙腺崩壊や!おめでとう!ばんじゃーい!!ばんじゃーい!!」
なっちゃん「ほんまや…ゆう君、ずっとずっと好きやったんやねぇ…初めて電車で見た時からやなんて…考えたら、胸がぎゅーってなるわ…」
カナちゃん「で、のぞみちゃんも『私もずっと好きだった』って返すんやろ?もう、映画でもここまで泣かんで。現実の青春ドラマやんか!」
なっちゃん「ここで決まったんやね…関西に残るって…そうか、二人の距離がこれでずっと縮まるんや…胸が熱なる…」
カナちゃん「せやせや!もう手ぎゅーって握っとるやんか、見てるこっちも心臓バクバクやで…うう、涙が…」
なっちゃん「ゆう君の告白のとこ、ほんまに熱すぎやろ…『僕と付き合ってください!』って…あの必死さ、胸に刺さるわ…」
カナちゃん「のぞみちゃんの『私も大好き』で涙腺崩壊や…ああ、最高のバレンタインやな!おめでとう!ばんじゃーい!!」
なっちゃん「もう、幸せの洪水や…なんでこんな感動するんやろ…リアルすぎて、自分もそこにいる気分になる…」
カナちゃん「せやせや、わかるわ。読者もコメントいっぱい送ってきとるで。ほな、ちょっと読もうか!」
なっちゃん「ええな、読もう読もう!」
カナちゃん「まずはXのコメントや。『二人の手の握り合うシーンで号泣しました。私も頑張ろうって思えた』やって。うわぁ、わかるわかる、その気持ちめっちゃわかる!」
なっちゃん「ほんまやなぁ…自分もあの場におるみたいや…心が震えるわ…」
カナちゃん「次、『のぞみちゃんが関西に残るって決めた瞬間、涙止まらんかった…青春ってええなぁ』。ほら、共感の嵐やで…」
なっちゃん「うんうん…わかる…私も、のぞみちゃんとゆう君、応援せんとおれんわ…」
カナちゃん「はがきも届いとるで。『私も高校生の頃、好きな人と手を握った瞬間のドキドキを思い出しました。二人に幸せになってほしいです』って。いやぁ…共感しかないわ…」
なっちゃん「二人の純粋な気持ちが、読むだけで伝わってくるんやもん…涙止まらんわ…」
カナちゃん「『こんなバレンタイン、憧れる…』ってコメントもあるわ。せやろ、せやろ!私もこういう青春送りたかったわ…」
なっちゃん「わかる、わかる…胸がぎゅーってなる…」
カナちゃん「最後、『ゆう君の必死な告白、のぞみちゃんの笑顔…最高です!応援してます!』。もう、これ全部泣けるコメントやな…」
なっちゃん「ほんまや…みんな同じ気持ちや…二人の幸せを心から願っとるんや…」
カナちゃん「おめでとう!ばんじゃーい!!ばんじゃーい!!」
なっちゃん「ばんじゃーい!!ばんじゃーい!!」
カナちゃん「いやぁ…ほんまに、心が温かくなるレビューやったわ…」
なっちゃん「うん、涙と感動でいっぱいや…二人とも幸せになってほしいわ…」




