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のぞみとゆうの物語 ~こんな恋をしている二人が羨ましい  作者: 播磨 颯太
第一部-3章 揺れる気持ち、揺らぐ進路
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聞いてほしいことがあるの

土曜日の神野市は、冬の澄んだ空気に包まれていた。

12時半、駅前の広場は買い物客や学生で賑わっていたが、ゆうの視線はその人混みの奥だけを見つめていた。


そして、前と同じように。

人混みの向こうから、スカートの裾を揺らして駆け寄ってくるのぞみの姿が見えた。


のぞみ「ごめんね、ゆう君!待ったでしょ?」


息を弾ませながら笑顔を見せると、のぞみはためらうことなくゆうの手をさっと握った。

その瞬間、ゆうの胸の奥で心臓が跳ね、熱が一気に駆け上がる。

いつものことなのに、毎回新しい衝撃が走る。けれど今日は、それだけではなかった。


二人は並んで歩き出し、やがて前に訪れた洋食レストラン“ジュテーム”へと入った。

扉を押し開けると、聞き覚えのあるベルの音が響き、ほんのり甘いソースの香りが二人を包んだ。


のぞみはすぐに「カルボナーラ」と告げ、ゆうは前とは違うメニューの「オムライス」を選んだ。

店員が去ると、テーブルには小さな沈黙が降りた。

前回なら、のぞみが「ゆう君はどれにする?」とメニューを覗き込んでくれたのに。今日は迷いもせず、あっさり決めてしまった。


ゆうの心臓は高鳴り続けるのに、言葉がなかなか見つからなかった。

二人の間に流れる沈黙は、決して居心地のいいものではなかった。


のぞみは窓の外をじっと見つめていた。

通りを歩く人々の姿、時折かすめる自転車の影。そのどれを見ているわけでもなく、ただ思考の奥に沈み込んでいるようだった。


ゆう「……のぞみさん?」


名前を呼んだとき、のぞみの肩が小さく揺れた。

はっと我に返ったように顔をこちらに向ける。


のぞみ「うん、ごめんね。ちょっと考えごと、してて」


柔らかく笑ってみせたけれど、その笑顔には微かな翳りが混じっていた。

ゆうの胸の奥で、ざわめきが強くなる。


ゆう心の声「さっきまで何を考えていたんだろう……。いつもと違う気がする。何か大事なことを話そうとしてる?」


窓の外を見ていた横顔が、ゆうの脳裏に焼き付いていた。

無理に笑みを作るよりも、その一瞬の沈黙のほうが雄弁に語っている気がしてならなかった。


のぞみは、ふっと深く息を吸い込んだ。

それから、決意を固めるようにゆうの瞳をまっすぐ見つめる。


のぞみ「私ね……今日、ゆう君に聞いてほしいことがあるの」


その声はわずかに震えていた。

けれど、それは真剣に、慎重に選んだ言葉だった。


ゆうの心臓が大きく跳ねる。

血が一気に耳までのぼっていく。


ゆう「……うん。なに?」


平静を装おうとしたけれど、声の奥にかすかな震えが混じっていた。

テーブルの下で、指先が強張っているのを自分でも感じた。


のぞみはほんの一瞬、視線を落とす。

その横顔には、窓の外を見つめていたときと同じ影が差していた。


店内のざわめきが遠のいていく。

二人のテーブルにだけ、ゆっくりと重い時間が流れていた。


のぞみ「私ね……」


その唇がようやく開かれた瞬間——


「お待たせしました、オムライスとカルボナーラです」


タイミングを見計らったかのように、店員が料理を運んできた。

二人はわずかに肩を揺らしながら「ありがとうございます」と口を揃えた。


テーブルの上に、鮮やかなケチャップの赤が広がり、クリームの香りがふわりと漂う。

けれど、二人の視線は皿には向かわなかった。


フォークを手に取るものの、のぞみは口に運ぼうとはしない。

ゆうもまた、オムライスの黄色い光沢を前にしながら、食欲などまったく感じられなかった。


のぞみがさっき言いかけた言葉。

その続きを、このあと必ず聞かされる。

ゆうはそう確信していた。


それが、喜びをもたらすものなのか、それとも——。


胸の奥でざわめきが渦を巻く中、ゆうはただ静かに、のぞみの言葉を待った。

◾️◾️◾️◾️◾️

ここからは、

清楚系、松山弁コメンテーターなっちゃん

ピチピチ系、関西弁インフルエンサーカナちゃんの振り返り番組“なっちゃんカナちゃん”


なっちゃん「はぁ〜!来た来た来たぁ!!ついに来たんよ、この土曜日!いやもう見よるだけで胸がバクバクするわぁ」


カナちゃん「せやろ!?もうな、のぞみちゃんが“ごめんね、ゆう君”言うて、手サッと握ったとこからドキドキ止まらんねん!あんなん直球で来られたら、うち倒れるわ!」


なっちゃん「しかもやで?あの“ジュテーム”行くんよ。また初デートと同じお店いうのがなぁ……前と同じ道のりたどっとんに、今日はなんか空気がちゃうんよ。ゆう君、気づいとるやろうけど『今日はただごとやない』て心で叫びよるはずやわ」


カナちゃん「ほんまや!普段やったら“どれにする?”って聞いてくれるのに、のぞみちゃん即決やん?それがもう!空気の重さハンパないわ!あんな沈黙、恋してへんかったら怖いで?でもな、好きやからこそ胸がざわつくねん!」


なっちゃん「ゆう君の心臓、ドッキドキいよるよ。“のぞみさん?”て呼んだ時のあの震え……わかるわかる!ほんま手に汗握るんよ!あそこでのぞみちゃん微笑むけど、笑顔がちょっと曇っとるんよなぁ」


カナちゃん「わかる!あれなぁ、女子の“考えごとしとった”は絶対意味ありや。もう視聴者の皆さんも“来るで来るで来るで!”って息止めてるで!」


なっちゃん「で、のぞみちゃんが“今日、聞いてほしいことある”て言うた瞬間よ!うちら叫んだよな!」


カナちゃん「叫んだ叫んだ!“あかん!早よ言うて!店員さん今は来んといてー!”てテレビの前で正座してたもん!」


なっちゃん「しかもやで?その大事なタイミングで“オムライスとカルボナーラです”よ!あれもうドラマやろ!心臓揺さぶられるんよ!なんでその瞬間に料理来るんや!店員さん悪くないけど!」


カナちゃん「ほんまや!お皿の湯気どころちゃう、二人の心の湯気や!フォーク持っても食べれんて!視聴者全員わかっとるよなぁ!」


なっちゃん「うわ、もうゆう君、緊張で箸も震えよるし。のぞみちゃんの視線、窓の外みたいに遠うなっとるし。あの沈黙、胸に刺さるんよ。なんかこっちまで息詰まるわ」


カナちゃん「ほんま、ドキドキと切なさと期待で胃がキュッてなるんやで!はぁ〜もう我慢ならん、次早よ!!」


——ここで番組にはがきが届いています。


なっちゃん「愛媛県のラジオネーム“チョコ待ち高校生”さんからや!『のぞみちゃんが“聞いてほしいことある”って言うたとこ、心臓爆発しました。自分も同じ立場やったら、絶対声震えます』やて」


カナちゃん「わかるぅ!声震えるん普通や!それがリアルでええんよ!」


なっちゃん「次はXのコメントや。“#なっカナレビュー”で“のぞみちゃんの即決オーダーはフラグやろ!”て書かれとるわ!」


カナちゃん「うんうん!わかってる人はわかってる!あれは完全に伏線や!」


なっちゃん「ほかにも“二人とも料理食べんと見つめ合うの、青春すぎて泣いた”いう書き込みもきとるよ」


カナちゃん「泣く泣く!あれは青春の光景やもんなぁ。あんなん自分も経験したかったぁ〜!」


なっちゃん「ほいで“次こそ言うてくれ!頼む!”て祈っとるコメントもぎょうさん来とるわ。全国民がゆう君と一緒に手汗かいとるんやろうな」


カナちゃん「せやな!もう全員が同じ電車に乗ってる気分や。いや〜次どうなるんか、心臓持たんわ!」


なっちゃん「ほんま、次回が怖いようで楽しみやねぇ。視聴者さんもハンカチとチョコ準備しとってな!」


カナちゃん「次回も一緒に叫ぼな!“ゆう君!がんばれーー!!”や!」

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