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のぞみとゆうの物語 ~こんな恋をしている二人が羨ましい  作者: 播磨 颯太
第一部-3章 揺れる気持ち、揺らぐ進路
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夢の続き

ゆうはベッドの中で、のぞみからメッセージを読み終えた瞬間、胸の奥に残る熱で身体が突き動かされるように飛び起きた。昨夜の夢、のぞみと手を繋いだ温もりがまだ掌に残っている気がして、じっとしていられなかった。


ゆう「……もう待てない」


布団を跳ね飛ばすように立ち上がると、制服に袖を通す動作さえ焦りが滲んでいる。階下に降りると、テーブルには母が用意してくれた朝食が並んでいた。


ゆうは椅子に腰かけるや否や、息を吸い込むように食べ始めた。まるで食べるというより飲み込んでいるようで、白いご飯も味噌汁もあっという間に空になっていく。


母「ちょっと、ゆう! どうしたの!? そんなに急いで!」


背後で驚く母の声が響いた。けれどその声は、彼の耳にはもう届いていない。胸に渦巻く思いが全てをかき消していた。


箸を置くや否や玄関に飛び出し、まだ冷たい朝の空気を吸い込みながら、全力に近い勢いで駆け出す。


時刻は6時を過ぎた所。足音がアスファルトに響く。西元山駅までの道を、ただ夢中で走った。今日だけは、いつもの7時15分を待つことができなかった。のぞみの顔を、少しでも早く見たい。心臓は走るより早く鳴っていた。


階段を駆け下り、ホームに飛び込む。肩で荒い息をしながら視線を上げた瞬間、ゆうの目がとらえたのは見慣れた姿だった。


のぞみが、もうそこにいた。


時刻は難法行き急行が来る1時間前。6時15分だった。


彼女はまるで最初からそこに立っていたかのように自然で、そして、ゆうを見つけると柔らかく笑みを浮かべた。


のぞみ「ゆう君、早いね」


その声にゆうの足が止まった。驚きと同時に、胸の奥がじわっと熱くなる。


ゆう「のぞみさんこそ……。もう来てたんだ」


のぞみは少し照れくさそうに目を伏せ、そしてまたゆうを見上げる。


のぞみ「うん……。今日ね、どうしてもゆう君に会いたくて。気がついたらすごく早く目が覚めちゃったの」


その言葉は、冷たい朝の空気を溶かすように真っ直ぐで、ゆうの胸に強く響いた。


ゆう心の声 のぞみさんも……僕と同じ気持ちなんだ。


胸が熱でいっぱいになり、言葉が喉につかえる。けれど、どうしても伝えたくて、ゆうは深く息を吸った。


ゆう「僕も……そうなんだ。だから気づいたら走ってた。止められなかったんだ」


一瞬、のぞみの瞳が驚きで見開かれる。そして、すぐにその光がふわっと柔らかくほどける。頬にかかる髪を風が揺らし、彼女の微笑みを際立たせた。


のぞみ「そっか……。私たち、同じなんだね」


その言葉に、ゆうの胸がさらに震えた。彼女がそっと一歩寄り添う。肩がかすかに触れる距離。小さな温もりが、冷えた空気の中で何よりも確かなものとして伝わる。


のぞみ「今日はね、いつもよりずっと長く一緒にいられるね」


その言葉に、ゆうは答えを探すことさえいらなかった。ただ微笑み返し、心臓が壊れそうなほどの鼓動を抱えたまま並んで歩いた。


二人はベンチに腰かけ、まだ早い時間の静かなホームに並んで座る。電車が来るまで、たっぷりと時間がある。空気は冷たいのに、間に流れる空気は穏やかに温かかった。


のぞみが視線を少し落として、静かに口を開く。


のぞみ「ねえ、ゆう君。分かるかな……昨日ね、夢を見たの。夢の中で、ゆう君と手を繋いでたの。でも電車が来ちゃって、そこで目が覚めちゃったんだ」


彼女の声はかすかに震えていて、それが真剣さを伝えていた。


のぞみ「だからね……こうやって今、一緒にいられることがすごく嬉しくて。夢の続き、してみたいなって思ったの。いい……かな?」


その言葉と同時に、のぞみの手がゆっくりと伸びてくる。指先がほんの少し震えているのが見えた。


ゆう心の声 これは……夢の続きじゃない。現実なんだ。


胸が大きく鳴り響き、呼吸が浅くなる。震える手をそっと伸ばし、彼女の手を受け止めた。


のぞみの掌は朝の空気に冷えていたけれど、その奥にある体温は確かに温かかった。指を絡めた瞬間、のぞみは小さく息をのんで、そしてふわりと花が咲くように微笑んだ。


のぞみ「……嬉しい」


その声は安堵のようで、幸せのようで、どこまでも優しかった。


ゆうは、その横顔をただ見つめていた。胸の奥がじんわりと満たされていく。


夢の続きを、今ここで現実にしている。


ゆう「電車が来るまで……もう少し、このままでいよう?」


言葉は自然に口をついて出た。


のぞみは小さく頷き、ぎゅっと手を握り返す。その力は小さいのに、ゆうにとっては世界で一番大きな力に思えた。


冷たい朝のホームで、二人は手を繋いだまま、同じ朝を迎えていた。

◾️◾️◾️◾️◾️

ここからは、

清楚系、松山弁コメンテーターなっちゃん

ピチピチ系、関西弁インフルエンサーカナちゃんの振り返り番組“なっちゃんカナちゃん”


(♪ジングルが流れてスタート)


なっちゃん「はぁぁぁああ!ちょっと待ってや! ゆう君、夢ん中でのぞみちゃんと手ぇつないだ温もり忘れられんで、もう待てん!言うて、朝から布団ばーーん!て飛び出して走って駅行ったんやって!」


カナちゃん「うっわぁぁぁ!!きゅん死ぬやんか!しかもやで?いつもの時間よりも1時間も早うやで!?高校生がやで?『ご飯飲み込んだんか!?』てぐらいに食べて、走って走って、もう気持ちが止まらんかったんや!」


なっちゃん「ほんでなぁ!息切らしてホーム駆け下りて見たら……のぞみちゃん、もうおったんよ!これ、奇跡やない?奇跡やろ!お互い何も言わんのに、同じように1時間も早く来とるんよ!もう気持ちが繋がっとるけん!」


カナちゃん「そうそうそう!約束もなんもしてへんのにやで?どっちも『早う会いたい』だけで行動してるとか、運命レベルやん!いや、もうこんなん、夢の続きやなくて、運命の続きやん!!」


なっちゃん「のぞみちゃん、『今日ね、会いたくて早く目ぇ覚めちゃった』て言うたんよ!やばい、これやばい!!」


カナちゃん「ゆう君も『僕も止められへんかった!』て言うて!もうあかん!胸熱すぎて、とろけるやろこんなん!」


なっちゃん「うちやったらもう駅のベンチで転げ回っとるわ!うわぁぁ!尊いんよ!『今日はいつもより長く一緒におれるね』とかのぞみちゃんが笑って!もう大気圏突破レベルで萌えるんよ!」


カナちゃん「夢の中でつないだ手を、現実でまた繋ぐってな!『夢の続きしていいかな?』て、あの一言な!それを受け止めるゆう君も、震えながら『もちろん』って……これな、少女漫画越えてるで!」


なっちゃん「ほんで指絡めた瞬間の、のぞみちゃんの小さな息……!『……嬉しい』てあの声!あああああ!!心臓止まるけん!」


カナちゃん「電車来るまで繋いどくやろ?ぎゅってな!もう気持ちが完全に一つや!これはもうカップルや!いや夫婦や!」


(スタジオで二人、カーペットの上を転げ回りながら絶叫)


なっちゃん「うわぁぁぁ!胸が焼ける!とろける!」

カナちゃん「もう無理やぁぁぁ!尊すぎて息できへん!」


(落ち着きを取り戻して…)


カナちゃん「ほなここで、視聴者のみなさんからのはがき紹介しましょか」


なっちゃん「ほい!ええとね……“ラジオネーム・西元山の鳩さん”からや!『私も高校の時、好きな人に会いたすぎて1時間早く登校したことあります。でも相手は来てなくて、寂しくて泣きました。だからのぞみちゃんとゆう君が同じ気持ちで同じ行動してるの、ほんまに羨ましいです』やって!」


カナちゃん「わかるわぁ!片方だけ早く行っても切ないんやけど、二人そろって来てもうたらな!それはもう愛しかないやろ!」


なっちゃん「共鳴やね、心臓同士がシンクロしとるけん!これ、見習いたいわぁ」


カナちゃん「ほな次!Xからのコメント、『@恋バナ沼民』さん。『夢の続きってワードが反則すぎる!私まで泣いた!』」


なっちゃん「ほんま反則よなぁ。夢やと思うて諦めんと、現実で叶えてしもうとるけん!」


カナちゃん「これ、コメント欄めっちゃわかるわ。“尊い”“あかん”“心臓持たん”で埋まってるし!」


なっちゃん「いやほんまな。全国の視聴者の心臓、もう全滅しとるけん!」


カナちゃん「のぞみちゃん、ゆう君。あんたら、罪やで……!」


(♪エンディングジングル)


なっちゃん「以上、胸きゅんを通り越して、魂ごと持ってかれたなっちゃんと!」

カナちゃん「涙で床ずり回っとるカナちゃんがお送りしました!」

二人「また次回お会いしましょうー!」


――番組は興奮冷めやらぬまま幕を閉じた。

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