夢で繋がる二人
夜の静けさが、神野市の住宅街を包み込んでいた。
時計の針は23時を指し、街の明かりは徐々に消えてゆく。
ゆうはベッドに横たわっていた。だが、眠りの気配は遠い。
枕に顔を埋めても、閉じた瞼の奥には、のぞみの姿が浮かんで消えない。
「のぞみさん……僕はもう、のぞみさんのことしか考えられないよ」
胸の奥に詰め込んできた想いが、声になって漏れ出した。
抑えきれない気持ちは、眠りに落ちる寸前の彼を支配していた。
「少しでも……離れていたくない。お願いだから、夢に出てきてよ、のぞみさん……」
そう呟いた瞬間、まぶたの裏の暗闇がふっと揺れた。
――気づけば、ゆうは西元山駅のホームに立っていた。
朝の柔らかな光。
吹き抜ける風の感触まで鮮明で、夢であることを忘れさせる。
腕時計を見ると、時刻は7時15分。いつもの約束の時間だった。
鼓動が早鐘のように響き、ゆうは人混みの中を探す。
そのとき――視線が交わった。
のぞみがいた。
人波に紛れることなく、ただ一人、ゆうを見つめて微笑んでいる。
「……のぞみさん?」
声が震えた。
彼女は静かに歩み寄り、目の前で立ち止まった。
「ゆう君……会いたかった」
その声は、どこまでも優しくて、胸を締め付ける。
「僕も……僕ものぞみさんに会いたかった」
言葉が自然にあふれ、彼の瞳は潤んでいた。
のぞみは答える代わりに、そっとゆうの手を取った。
夢のはずなのに、その温もりはあまりにも確かで、指先から心臓へと伝わっていく。
「大好きだよ、ゆう君」
その囁きは、春風のように柔らかく、彼の全身を包み込んだ。
「のぞみさん……」
彼は彼女の顔をまっすぐに見つめる。そこに偽りは一片もない。
そのとき、ホームに電車の到着を告げる音が響いた。
難法行き急行電車がゆっくりと滑り込み、ドアが開く瞬間――
ゆうの意識はふっと遠のいた。
目を開けると、朝だった。
天井を見つめながら、ゆうはしばらく動けなかった。
「……今の、夢……?」
けれど、手のひらにはまだ温もりが残っている気がする。
「のぞみさん……」
胸に手を当てて呟く。鼓動は夢の中と同じ速さで打ち続けていた。
そのとき、枕元のスマホが震えた。
通知を見た瞬間、息が止まる。送信者は――のぞみだった。
『おはよう、ゆう君。変な夢見ちゃった。私ね、夢の中でゆう君と手を繋いでたの』
画面の文字を見た瞬間、心臓が跳ね上がる。
夢と現実の境目が揺らぎ、彼は思わず声を漏らした。
「……本当に……?」
震える指でメッセージを打つ。
『おはよう、のぞみさん。僕も同じ夢を見たんだ。のぞみさんと手を繋いでた。それってもしかして、いつもの駅にいなかった?』
送信ボタンを押すと同時に、胸の奥で鼓動が爆ぜる。
既読がつくまでの数秒が、永遠に思えた。
すぐに返信が届く。
『えっ……ゆう君も? うん、私、西元山駅にいた気がする。でも、夢なのにすごくリアルで……』
ゆうは、胸の奥で熱が広がるのを感じながらスマホを握りしめた。
「やっぱり……同じ夢を見てたんだ」
彼はたまらず打ち込む。
『本当に不思議だね。でも、のぞみさんの手の温もりまで感じたから、夢じゃない気がして……』
返事はすぐに届いた。
『私も……。夢なのに、すごく幸せな気持ちだったよ』
その一文を目にした瞬間、ゆうの胸がじんわりと熱くなる。
彼女も、自分と同じ気持ちを抱いてくれている――そう思えて仕方がなかった。
だが、言葉にしようとすると喉が詰まり、ただスマホの光を見つめるしかできない。
再び通知が鳴った。
『ねえ、ゆう君。今日も駅で会えるよね?』
ゆうは迷うことなく、指を走らせた。
『もちろん。いつもの場所で待ってるね』
送信を終えたあと、彼はベッドの上で大きく息を吐いた。
夢の続きが、現実で始まろうとしている――そんな予感に胸が高鳴っていた。
――こうして、二人の朝は動き出したのだった。
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ここからは、
清楚系、松山弁コメンテーターなっちゃん
ピチピチ系、関西弁インフルエンサーカナちゃんの振り返り番組“なっちゃんカナちゃん”
(♪オープニングジングル)
なっちゃん「はじまりましたー! なっちゃんカナちゃん! 今日もドキドキしながら語り合っていきましょうや〜!」
カナちゃん「いやいや、今日のシーンやばすぎるで!? あのな、のぞみちゃんとゆう君が“同じ夢”を見てたって話やねん!」
なっちゃん「うっそやろ!? 松山から東京ディズニーランドまで繋がっとるくらいの奇跡やない? 夢やのに手の温もりまで感じたんよ!」
カナちゃん「せやねん! のぞみちゃんが『夢の中でゆう君と手を繋いでたの』ってLINEしてきてん。それ読んだゆう君、ベッドの上で固まっとるんやで! あんなん胸キュン通り越して心臓破裂や!」
なっちゃん「ほやけん、同じ夢を共有しとるとか……もはや神様が二人の味方しとるレベルやない?」
カナちゃん「ほんまやで! 私やったらもう、『これって運命やんな!? 明日結婚式やろ!』って勢いで言うわ!」
なっちゃん「ははは! 急ぎすぎやろ! でも、のぞみちゃんが『夢やのにすごく幸せやった』って返したんよね? あれはもう、心の奥の本音がダダ漏れしとるんよ」
カナちゃん「ゆう君もな、『温もりまで感じたから夢じゃない気がする』って! どんだけ真っ直ぐなん!? も〜、こんなん聞かされたら『早く告白せぇ!』って画面叩きたくなるわ!」
なっちゃん「わかるわかる! もう夢でも繋がっとるんやけん、現実で繋がるしかないよね! はよ『好きです!』って言わんと、もったいないんよ!」
カナちゃん「せやで! のぞみちゃんも絶対待っとる! あんな幸せそうにメッセージ送ってるんやもん。ゆう君、ここが人生の勝負どころや!」
なっちゃん「夢でも現実でも二人が両想いって証明されたんやけん……ほんま、たまらんわぁ」
カナちゃん「ほんまにな! “夢でもつながってる”って、少女漫画超えてもはや伝説やで!」
なっちゃん「うちらも次回、ちゃんと二人が進展するんか見届けようや! これは絶対目離せんよ!」
カナちゃん「せやな! 次は“夢の続き”が現実で始まるんや! いやぁ〜たまらん!」
(♪エンディングジングル)




