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のぞみとゆうの物語 ~こんな恋をしている二人が羨ましい  作者: 播磨 颯太
第一部-3章 揺れる気持ち、揺らぐ進路
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夢のような一日

映画館を出ると、夜風がふたりの頬を優しく撫でた。

街のざわめき、看板の灯り、行き交う人々の足音。すべてが、さっきまで見ていたスクリーンの物語よりも鮮やかに感じられた。


ゆうは少し俯きながらも、胸の奥からせり上がる思いを抑えきれなかった。

彼は喉を鳴らし、言葉を探す。


ゆう「……の、のぞみさん。あの、帰り道も……手、つないでてもいい?」


勇気を振り絞った声は、夜の雑踏に吸い込まれて消えそうなくらいかすかだった。

一瞬、世界が静止したように思えた。


のぞみは返事をしなかった。ただ、ほんのりと微笑んで、ゆっくりと伸ばした手でゆうの手を包み込むように握った。

その握りはためらいなく、しかし優しく、強かった。


のぞみの手の柔らかさが、ゆうの指先から心臓までを一気に駆け抜ける。

手のひらから伝わるぬくもりは、ゆうの17年の人生の中で、いまだかつて味わったことのないほどの幸福だった。


ゆう(……僕、こんなに幸せでいいのかな。これから先、今日を超えることなんてあるんだろうか)


胸がいっぱいで、歩くたびに世界が違って見えた。

街灯はまるで祝福の灯火のように瞬き、行き交う人の姿すら、どこか温かな色を帯びて見えた。


のぞみ「ねぇ、ゆう君……」


少し顔を寄せ、声を落として話しかけてくる。

その仕草に、ゆうの鼓動が跳ねた。


のぞみ「今日ね……すっごく楽しかったんだ」


言葉と一緒に笑みが零れ、瞳が細められる。

ゆうは何か返そうとしたが、胸の中に溢れた想いは形を持たなかった。


ゆう「……僕も。本当に、すごく」


それだけを吐き出すのが精一杯だった。

言葉にしてしまえば壊れてしまう気がして、大切な感情を守るように口を閉ざした。


のぞみは少し前に出て、繋いだ手を軽く引っ張る。

その細い腕の力が、驚くほど頼もしく感じられる。


のぞみ「じゃあさ……またデートしてくれる?」


のぞみの声は少し上ずっていた。

照れを隠すような響きが、逆に胸を打つ。


ゆう「もちろん。何回でもしたい」


その答えに、のぞみは目を細め、頬をほんのり染めて微笑んだ。

その表情を見た瞬間、ゆうは自分の心が完全にのぞみに奪われていることを悟った。


やがて二人は難法駅に着いた。

電車が到着するまでのわずかな時間、ふたりは車内の隅に並んで座り、繋いだ手を離さなかった。


のぞみ「……ほんとはね、私、もう少しだけ……こうしていたいな」


囁くような声に、ゆうは胸がいっぱいになった。


ゆう「……僕も」


短い言葉。けれど、それ以上の言葉は必要なかった。

心臓の音が二人を繋ぐリズムになっていた。


やがて電車が走り、西元山駅へと戻ってくる。

改札を出ると、のぞみの父が車で迎えに来ていた。

のぞみは少し恥ずかしそうに振り返り、手を振って車に乗り込む。

どうやら今日のデートのことは家族には秘密らしい。


ゆうはひとり残され、夜風の中を歩いた。

全身に残るのぞみのぬくもりが、まだ手のひらに鮮やかに宿っていた。


家に着くと、夢の余韻に包まれたままベッドに腰を下ろした。

すると、LINEの着信音が鳴った。画面には「のぞみ」の名前。


のぞみ「今日は本当に楽しかったよ。ありがとう、ゆう君」


短い言葉。その最後に、小さなハートの絵文字が添えられていた。

画面を見つめるだけで、胸の奥が温かく震える。


ゆうはそのメッセージを何度も何度も読み返し、目の奥が熱く潤んでいくのを感じた。

たった一日。それなのに、のぞみと過ごした時間は永遠の記憶のように深く刻まれていた。


ゆう「僕もすごく楽しかったよ。のぞみさんと一緒にいられて、幸せだった」


震える指で送信ボタンを押すと、心臓が弾けそうに鼓動した。

こんなにも素直に言葉を伝えられるのは、のぞみだからだ。


数分後、再び通知音が鳴った。


のぞみ「嬉しい。私も幸せだったよ。またデートしてくれる?」


その瞬間、ゆうは迷わず返信する。


ゆう「もちろん!何回でもしたい!」


返事を送ると、すぐに可愛らしいスタンプと一言が返ってきた。


のぞみ「楽しみにしてるね、ゆう君」


最後にはまた、小さなハートの絵文字。

その小さな光の粒が、ゆうの胸を優しく包み込む。


スマホを強く握りしめながら、ゆうは今日一日の幸福を反芻した。

そして心の底から願った。この気持ちがずっと続いてほしい、と。

◾️◾️◾️◾️◾️

ここからは、

清楚系、松山弁コメンテーターなっちゃん

ピチピチ系、関西弁インフルエンサーカナちゃんの振り返り番組“なっちゃんカナちゃん”


(♪しっとりしたBGM)


なっちゃん「……はぁぁぁ……もう無理やわ。見よんだけで胸ぎゅーってなっとる……」


カナちゃん「わかる!今の、もうあかん、泣いてまうって……。こんな尊いカップルおる?おらんで!」


なっちゃん「映画館出て夜風に吹かれるとこやろ?あそこでもう、ゆう君、よう勇気出したなぁって思わん?」


カナちゃん「せやねん!『帰りも手、つないでええ?』やで?あの小声の震えた感じ、想像しただけで、こっちの胸まできゅーってするわ!」


なっちゃん「のぞみちゃんもさ、返事せんと微笑んで手ぇぎゅーって握るんよ。あれ、言葉より重い返事やんかぁ……!」


カナちゃん「せやせや!しかも、ただ握るんちゃうんよ。しっかり、強う握るってとこがもう、なんか……お互いの心ががっちり繋がっとる感じするんや」


なっちゃん「うちら今ほんま泣きながら見よるけんね。街灯が祝福しよるってナレーションも、もうその通りやん……」


カナちゃん「わかる!もう街が舞台装置みたいになっとるもんなぁ。二人で歩いとったら、全部の灯りが二人のために点いとるんちゃうん?って思うくらい」


なっちゃん「で、のぞみちゃんが『またデートしてくれる?』ってちょっと上ずった声で聞くんやけど……あれ反則やわ。わし涙止まらん……」


カナちゃん「うちも!あの言い方、女の子が勇気出して言うときのトーンやったなぁ。んなもんYESに決まっとる!ゆう君も即答で『何回でもしたい!』やし!くぅ~!青春ここに極まれりや!」


なっちゃん「電車ん中でさ、まだ手ぇ繋いどって、『もうちょっとこうしてたい』ってのぞみちゃん……ほんま心臓やられるわ。ゆう君も『僕も』って……それだけで十分なんよね」


カナちゃん「そうそう!長い言葉いらんねん。あの沈黙と心音が答えやもん」


なっちゃん「で、家帰ったらLINE来て……『ありがとう、ゆう君』ってハートやろ?もう……尊すぎてスマホごと抱きしめたいやん」


カナちゃん「既読ついた瞬間のドキドキとか、返信したあと胸がばくばくなるとか……高校生ならではやで。あの初々しさ、もう眩しすぎて直視でけへん!」


なっちゃん「けどな、眩しすぎるけん、目ぇ潤むんよ。幸せのおすそ分けしてもろた感じで……うちまで胸いっぱいになっとる」


カナちゃん「ほんまやなぁ……。こんなピュアで温かい気持ち、なかなか現実でお目にかかれへんもん。『またデートしてくれる?』『何回でもしたい!』……あーもう!尊死や!」


なっちゃん「……あぁ……ゆう君、のぞみちゃん……二人の未来、ずっと続けてや……って祈りたくなるな」


カナちゃん「せやで!うちらも涙ぐみながら応援するしかないわ。こんな子ら、守らなあかん!」


(♪ジングルフェードアウト)

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