朝のホーム、始まる二人の時間
西元山駅のホームにまだ冷たい冬の空気が漂っていた。時計の針は7時5分。通学ラッシュが本格化する前の、少し落ち着いた時間帯だった。
階段を降りてきたゆうは、思わず立ち止まった。そこに見慣れた制服の後ろ姿があったからだ。のぞみがもうホームに立っていた。これまで、彼女は発車ギリギリで駆け込む姿ばかりだったのに。
「……え?」
驚きで声が漏れる。胸が一気に熱を帯びる。
ゆう 「お、おはよう、のぞみさん。……今日、早いんだね」
彼が声をかけると、のぞみが振り返った。冬の朝の光を浴びて、頬がほんのり赤らんでいる。
のぞみ 「おはよう、ゆう君。……あのね、私、今日はゆう君が来るのを待ってたの」
その一言に、ゆうの心臓は大きく跳ねた。胸の奥が熱くなり、耳まで赤くなるのが自分でも分かる。
「待ってた……僕を……?」
頭の中でその言葉が繰り返される。今まで夢みたいに思っていたことが、現実になっている。
のぞみは、少しだけ視線を落としながら、それでも勇気を振り絞るように続けた。
のぞみ 「電車の中って、すごく人が多いでしょ?だからゆっくり話せないんだよね。……だからね、これからは電車が来る10分くらい前にここで会って、ゆう君とおしゃべりしたいなって思ったの。……どうかな?」
一瞬、時間が止まったように感じた。信じられないほど嬉しい提案に、ゆうの喉はひどく乾いた。
ゆう 「も、もちろん!もちろんだよ!……僕ものぞみさんと話したい。だから、すごく嬉しい」
上ずった声を聞いて、自分でも情けないと思ったが、抑えきれなかった。心臓が跳ね上がるたび、言葉が弾けて出てしまう。
のぞみはぱっと顔を上げ、嬉しそうに笑った。その笑顔に照れを隠すように、ほんの少し視線を逸らす。
のぞみ 「本当?よかった……。じゃあ、明日からもここで待ってるね」
その言葉を聞いた瞬間、胸いっぱいに幸せが広がった。のぞみがインフルエンザになる1週間前までは、同じ電車に乗っている気になる存在だったのに、今は彼女が“自分を待ってくれる”。それは、何よりも大きな変化だった。
二人は自然と並んで立ち、電車が来るまでの時間を使って話を始めた。
学校の授業のこと、テストのこと、互いのクラスの雰囲気。のぞみが好きなアーティストの話、ゆうが昨日見たバラエティ番組の話。どれも他愛もない話題なのに、不思議と心が弾んでいく。
ゆうの声にのぞみが笑う。その笑顔を見て、また次の話題を探したくなる。まるで会話そのものが、二人だけの特別な遊びになっていた。
ホームに急行電車到着のアナウンスが流れた。スピーカーから響く機械的な声が、二人の時間を終わらせようとする。
のぞみ 「……もう電車、来ちゃうね」
のぞみが少し名残惜しそうに呟いた。その横顔を見て、ゆうは勇気を出して言葉を返す。
ゆう 「でも、また明日も話せるよ」
その言葉に、のぞみの表情がほっと柔らかくなった。
のぞみ 「そうだね」
電車がホームに滑り込み、ドアが開く。二人は自然に並んで乗り込んだ。
混雑した車内の中で、のぞみはもう“ドア横の定位置”には行かず、そっとゆうの隣に立った。彼の存在を感じられる距離に。
ゆうの心に、ふと不安がよぎる。あと2ヶ月もしないうちに、のぞみは卒業してしまう。制服姿でこの電車に乗るのも、限られた時間しか残されていない。
でも――今は、そのことを考えたくなかった。
ゆう心の声 「この朝の時間を、大切にしよう」
揺れる車内で、のぞみの横顔を見つめながら、ゆうは心にそう誓った。彼女が隣にいるだけで、世界が少し明るく感じられた。
そして電車は、いつもと同じように静かに走り出した。
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ここからは、
清楚系、松山弁コメンテーターなっちゃん
ピチピチ系、関西弁インフルエンサーカナちゃんの振り返り番組“なっちゃんカナちゃん”
なっちゃん 「ちょ、ちょ、カナちゃん!いまの“ゆう君が来るの待ってた”て!これやばいやろ!わし鳥肌立ったんやけど!」
カナちゃん 「うっわあああ!それ!やられたわ〜!あれはもう、ただの通学仲間ちゃうやん!完全に好きやん!“待ってた”て……女子の最上級のサインやで!」
なっちゃん 「そうよそうよ!今まで電車ギリギリで駆け込みよったのぞみちゃんが、ゆうのために10分も早う来とるんよ!その心意気!わし、泣きそうやわ!」
カナちゃん 「ほんでな、あの言い方がまたいじらしいやん。“人多くて喋れんから、ここで話したい”って。あんたらどんだけ尊い時間作っとんねん!青春の教科書やん!」
なっちゃん 「ゆうの“も、もちろん!”て上ずった声もええんよなあ!わし、耳の中でキーンって鳴るくらい心臓バクバクしたわ!わかる?あの必死感!」
カナちゃん 「わかるわかる!あれは本音漏れすぎやったな!逆に安心したわ。“あ、ほんまに好きなんやな”て。もう隠しきれてへん!」
なっちゃん 「のぞみちゃんの“じゃあ、明日からもここで待ってるね”……これ!もうゆうの首根っこ掴んどるようなもんよ!逃げられんやつ!」
カナちゃん 「そやな!“私からはっきり言うたんやから、あんたもちゃんと受け止めてな”っていう女の子の覚悟や!いやあ、強いわ!いじらしいけど強い!」
なっちゃん 「ほんまになあ。もう二人で並んで話しよるだけで世界がキラキラしとるんよ。のぞみちゃんの笑顔、ゆうの視線、全部宝物やわ!」
カナちゃん 「しかも最後な、“でも、また明日も話せるよ”ってゆうが言うやろ。あれでのぞみちゃん、ふわーっと安心した顔してんの。もう、これ脈ありどころか脈ドクドクや!」
なっちゃん 「うんうん!カナちゃん!わしもう叫んでええ?絶対脈ありじゃろ!絶対!もう間違いないんよ!」
カナちゃん 「叫べ叫べ!ゆう君!もう絶対のぞみちゃん脈ありやろ!!間違いないわ!!!」
なっちゃん 「青春、まぶしすぎて直視できんわ〜!」
カナちゃん 「ほんまや!朝のホームでこんなんやられたら、通学してる他の子ら全員、恋の勝者見せつけられとるみたいなもんやで!」
なっちゃん 「わしらもホームの隅っこで正座して拍手送りたいわ!」
カナちゃん 「もう、これは恋が始まるんちゃう。恋、加速中や!」
なっちゃん 「カナちゃん、わし心臓のドラムロール止まらんのんやけど!」
カナちゃん 「それが青春や!悶絶してこそ青春やで!」
なっちゃん 「のぞみちゃん、いじらしすぎて罪やわ〜」
カナちゃん 「ゆう君、もう逃がしたらあかんで!これは奇跡の10分や!」
なっちゃん 「うんうん!二人の未来、見守らんといけんわ〜!」
カナちゃん 「せやな!毎朝の7:05、西元山ホームから始まる恋の奇跡やで!」




