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メリ・メロノート  作者: 星河雷雨


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小説投稿サイトは、砂の巨塔 〈なろうの公平性編 ジャンルの偏りについて〉

 注:長いです。五千五百文字越えてます。

 なろうは公平か否か。


 祭りの元となったエッセイはすでに存在しておりませんが、反論エッセイや、それに続いた(?)エッセイ等が投稿されており、大変読みごたえがありました。どなたの意見にも、一理があると頷けます。


 私としてはなろうが公平か否かなどは考えたこともありませんでしたが、書かれていれば読む程度には、興味のある話題でした。私のようにちょっとでも興味がおありの方は、その方たちのエッセイに目を通していただければと思います。


 なろうというサイトの公平性についてはそれらのエッセイを読めは済む話なので、今回はタイトル通り、今のなろうにおけるジャンルの偏りについてを考えることにします。それに、私も異世界恋愛を書いている書き手の一人として、一度思っていることを書いておこうかな~と思ったもので……。


 さて。これまでにもサイトの内外で散々言われてきている、今のなろうにおける、異世界恋愛一強傾向。異世界恋愛以前は、ハイファンの異世界転生(と転移)ものが強かったとの認識ですが、それらが恋愛に置き換わっただけで、やはり異世界という設定自体が強いようですね。今やあらゆるジャンルに、異世界を舞台とした作品が投稿されております。まあ、異世界というか貴族社会というか令嬢ものというか……。


 とはいえ、他サイトでもある程度は同じような状況なのでしょう。男性向けが強いか、女性向けが強いかなどの違いはあるのでしょうが、異世界もの自体が流行りなので仕方ありません。


 ですがここまで異世界ものが溢れると、自分も書いている癖になんですが、読み手としてはもうお腹いっぱいというか、少々飽きたというか……。


 まあ、作者も読者も日々新規参入してくるので、異世界人気が思っていたよりも長く続いているのでしょう。新しく入って来た人たちにとっては、異世界ものはまだまだ新鮮な面白味があるのでしょうから。


 それで。現在のなろうが異世界恋愛に偏っている現実的な理由としては――。


 ハイファンで男性向けの作品を書いていた作者が他サイトへ流出して、それを好む読者が作者を追って流出し、残されたのが女性向けを書いていた作者で、読者として残ったのがそういった女性向けを好む勢で、その人たちに読まれるために、それまで他のジャンルを書いていた作者も、女性向けの異世界恋愛ジャンルに手を出し始めたというサイクル――らしいです。すみません、エッセイから仕入れた知識です。


 ハイファンの書き手がなろうから出て行くまでにも色々あったようですが、全部を書いているとキリがないので要約した感じにしておきます。


 というわけで。上記のような理由により、いまや異世界「恋愛」が主流となっているこのサイト。女性読者の割合が多くなっていると言うのなら、異世界恋愛が人気となったことにも、まあ頷けます。だって女性って、恋バナ好きじゃないですか(偏見)。 


 というより、WEB小説界隈に限らず、元から恋愛小説は人気でしたよね? 私は恋愛小説に関してはあまり読んでは来ませんでしたが、世間一般では人気でした。映画化するのもドラマ化するのも、ミステリー小説か恋愛小説が目立っていました(作者調べ)。次いでヒューマンドラマ系ですかね(あくまで作者調べ)。


 で、ですね。そこで何で、現実恋愛じゃなくて異世界恋愛なんだよという、その理由ですが……やっぱり目新しいということ、そして、現実世界の恋愛よりも、障害を設定しやすいからということが挙げられるのではないかと。


 ほら。恋愛って、障害があるほど燃えると言われているじゃないですか。嘘か真か知らんですが。でも現実世界では、身分差はあっても大したものではありませんし、王命による結婚なんてほぼあり得ません。異類婚姻譚など尚更です。……まあ、一部プラトニックラブはあると思いますが。


 実際に体験できないことを物語の中に求めるのだとしたら、現実世界の恋愛よりも異世界の恋愛に人気が集まるのも、まあ頷けると思いませんか? 


 現実の生活の中でお城の舞踏会へ行く機会なんて、普通はありません。お姫様とか王子様とか、騎士とか姫騎士とか、魔術師とか魔女とか。現実世界での恋愛対象には、なり得ませんからね。妄想するしかないのです。


 そういえば……複数の機関が行った調査によると、若者の恋愛離れが進んでいるという結果が出ているようですね。そういった事情も絡んでいそうです。現実の恋愛の代わりとして、物語の中に、現実では出来ないような、素敵な恋愛を求めているのかもしれませんね。


 ……あれ? 異世界恋愛ジャンルの考察、終わっちゃいました。思っていたより書くことがない……。


 うう~ん。ならば、異世界恋愛の大元(?)、異世界についての考察をしてみたいと思います。というより、多分こちらの方が書くことありそう……。そもそも異世界恋愛ジャンルにも、恋愛色の乏しい作品は結構ありますものね(ブーメランです)。やはり、男性向けから女性向けに変わったというだけで、元々は異世界という設定自体が強いのだと思います。


 ではさっそく。


 異世界転生転移しかり、異世界恋愛しかり。なぜ、これほどまでに異世界ものは強いのか。その疑問を読み手側、書き手側の両方の立場から推測していこうと思います。


 まずは、読み手側から。そして、一般論から。


 一般的には、なろうにおいて異世界ジャンルが強い理由は、現実逃避に最適なコンテンツが詰め込まれているからだとされています。これはいわゆる、「なろう系」と呼ばれるような異世界小説のことですね。一概に「なろう系」といえどもその定義は様々ですが、まあなろうで読んでいる方には、感覚的にわかっていただけるかと。


 異世界ものすべてがなろう系とは限りませんが、確かに今の異世界ものは、主人公に都合の良い展開が連発するような物語が、多いと思います。特に苦労をしていないにも関わらず、特別な能力を手に入れ、周囲に敬われ、大活躍をする。ですがそれらを好んで読む人達にとっては、それこそが重要。


 常に同じ様な展開が安心感を与えてくれ、勧善懲悪やざまぁを読むことででカタルシスを得ることができ、主人公に自分を重ねることで、異世界でチート能力を貰い成功する主人公に、現代社会において付き纏う無力感を払拭し、主人公を持ち上げてくれる周囲や、一途に主人公を想ってくれる素敵な異性に自己肯定感を高め、途中どれだけ辛いことがあっても、最終的には主人公が報われ幸せになる物語に、読者は心を癒されるといった仕組みなのだとされています。


 ……うん。良く出来てますよね。読み続けてると、多分どこかの段階で飽きるとは思いますが。


 でもですね。現実逃避って悪いことのように言われがちですが、私は度が過ぎなければ健全な心の動きではないかと思っています。お酒とかギャンブルとかに逃げるより、なろう系の小説を読んでいる方が、よほど健全です。度が過ぎなければ。


 なろう系を読まない人だって、別のジャンルの小説で現実逃避しているかもしれません。小説を読まない人は、漫画を。漫画を読まない人は、映画を観て現実逃避しているかもしれません。


 そもそもが、現実って何? ってことにも繋がるのですがね。小説や漫画を読んでいる時間だって、その人にとっては立派な現実です。自らの時間を小説や漫画を読むことに費やすことも、自分で選択しています。学校や仕事やリアルな人付き合いだけが、その人の現実ではないはずです。


 いつも通り話が逸れました……。


 ええと。ここからは、先述した一般論以外の理由を考えてみたいと思います。 


 私はこれまで、かなり雑食に読書をしてきました。なろうにあるジャンルのほとんど(VRゲーム以外)に手を出してきました。日本の作品のみならず、海外の作品にも手を出してきました。ケータイ小説は読みませんでしたが、今はWEB小説を読んでいます。


 その中で、突然現れたなろう発の異世界転生小説。新しかったですよ? だって、異世界への転生ですもん。生まれ変わりを題材とした小説は、かの三島由紀夫も書いていますが、それだって現実世界への転生ですからね。


 以前からも、異世界を舞台とした小説はありましたが、そのほとんどが異世界転移として分類される作品で、さすがに転生を題材とした作品はなかったと思います(あったら、ごめんなさい)。それくら、新しい。


 異世界転移作品の有名どころですと『はてしない物語』とか、『ナルニア国物語』などが、すぐに思い浮かんできます。ライトノベルで言えば、『十二国記』とかのシリーズものも異世界転移になりますかね。まあ、『十二国記』はちょっと特殊ですが、一応現実世界から異世界へ行ってます(*これ、例が少ないのは許してください。調べるの面倒臭いし、パッと思い出したものだけで書いてます。これ以降も多分少ないです)。


 それから、異世界転移は小説だけではなく漫画にもありましたよね。『不思議遊戯』や『彼方から』が、個人としては強く印象に残っています。


 異世界転生ではなく、異世界を舞台としているだけの小説や漫画ならもっとありました。というより、昔も今も小説漫画を問わず、現実世界を描いていない作品て、異世界だと明言していなくても、すべからく「異世界」の括りに入りますよね? 


『HUNTER×HUNTER』も異世界だし、『ONE PEACE』も異世界だし、『進撃の巨人』も異世界だし。『チェンソーマン』や『呪術廻戦』、『鬼滅の刃』あたりは、異世界というより、なろうでいうところのローファンタジーになるのでしょうが、どう考えても現実世界のことではありません。


 ですが……なんでしょうね。今や異世界といえばなろう。なろうと言えば異世界感が強すぎて、上記の作品たちを「異世界」として一括りにすることに対し、ちょっとだけ抵抗があります。不思議ですね。私の頭の中では、いまや異世界=ナーロッパという図式が成り立ってしまっているのかもしれません。


 まあ最後ちょっと話がずれましたが、結局のところ何が言いたいのかというと……。異世界を題材にした作品て、面白いですよねってことです。


 異世界転生は特に、目新しさもあっての人気だと思います。比較的まだ世に出て日が浅いジャンルですから、読む方にとっても書く方にとっても、まだまだ新鮮なのかもしれませんしね。


 それに、せっかくのフィクションの世界。現実にも起こりえるような内容ばかりの作品では、飽きてしまいます。選ぶ題材にも、限りがありますしね。その点異世界を舞台とした小説って、世界設定にしてもキャラにしても、自由に想像の翼を広げることができます。


 ここで唐突に書き手側にバトンタッチしますが、書き手が、というより私個人が異世界を舞台とした作品を比較的多く執筆する理由として、自由に想像の翼を広げられるという点が、大きな割合を占めているような気がします。


 自由に想像(創造)できると言いますか、言い換えればあまり縛りがないと言いますか。現実世界のことを書く場合、様々なものが、創作の邪魔をしてきます。常識、倫理、法律、物理法則。敵は大勢います。


 常識的に考えて、こんな行動取る? 倫理的にあり得ないよ。法律に引っ掛かるけど? 物理法則無視ですか? という具合に様々な脳内ツッコミが入ります。一番の敵は自分かな?


 実際問題として、書こうとする小説の舞台を現実世界のものとした場合の、作者の社会経験及び社会常識の足りなさって、執筆するにあたり結構なハンデとなり得るような気がするのですよね。


 なかなか良い具体例は思い浮かびませんが、例えば間違った思い込みを、そのまま小説の中に反映してしまったりとか、経験したことのない物を、想像だけで書いて見事間違ったりとかですかね。……ヤバイ、私もやってそう。


 それに、現実世界のことを書く場合、主人公が学生ならまだ良いのですが、成人して仕事をしているとなれば、その仕事を何にするかも決めなくてはなりません。一番簡単なのが、作者が従事している仕事、経験してきた仕事ですが、それだと主人公の設定が似たようなものばかりになってしまいます。


 まあ職業ものの小説でもない限り、そんなところまで気にする人は少ないのかもしれません。大体がサラリーマンかOL(今はワーキングウーマンですか)で済まされているような気もしますし。


 ですが異世界を舞台として話を作るとすると、これまでに例に挙げて来た、現実世界を舞台とした小説を書く場合の諸々の面倒臭い事柄に対しても、言い訳が「だって異世界だから」で済んでしまうのですよ。


 王族とか貴族とか騎士とかは現実世界にもいましたが、異世界の彼等はこうなんだと、強引に言い切ってしまうことだってできるのです。私の創る世界では、これで正解なのだと。最強ですね。私が小説を書き始めた当初、異世界ものなら書けるかなと思った理由が、正にこれです。


 それでも、調べる人は現実になぞらえてちゃんと調べますけどね。お城の構造とか、騎士団の構成とか、貴族の名前とか。それらをちゃんと調べて書くことによって、より話が現実味を増して、面白くなることでしょう(異世界なのに不思議ですが)。ですが、やはりそれをしなくても、書こうと思えば書けてしまうのです。


 なろうの異世界って、多分素人には優しい世界です。これは、書き始めた物語を完成させられるか否かという点とは無関係。小説を書く取っ掛かりとして、易しいのです。多くの人間が、「これなら、俺にも(私にも)書ける」と思わせられる世界。それが、なろうの異世界なのだと思います。


 素人にも書きやすいから、必然的に作品が増えることになる。そしてそれが、今の世の中の需要に、偶然にもマッチした。だから、異世界を題材とした小説はここまで増えたのかもしれません。



 ……はい! というわけで、ここまでなろうのジャンルの偏り、特に異世界ものの強さについてをダラダラと書いてきました。異世界恋愛についての考察、少なすぎ……! 

 

 まあ、異世界恋愛ジャンルについては、今度また創作論と絡めて書くかもしれません。……と。その前に、チアーズプログラムについて書かなければですね。


 何にせよ、長々とお付き合いいただきありがとうございました。気が付いたら、五千文字越えていましたよ。びっくりです。


 ではまた。

 

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