なぜここへ来て、書いたのか
なぜ、ここで小説を書くことになったのか。
と。
なぜ、あの作品を書いたのか。
の覚書。
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元々、小説を書きたくて、ここへ来たわけではないのです。
ある人との、約束があったから。
約束と言うか、一緒に登録しよう、みたいな。
最初は、登録するだけだと思っていました。
以前は登録しないで読んでいたので、これでブックマークも使えるし、星も贈れると思って、登録しました。
ちなみに。
ここへ来る切っ掛けとなったのは、『本好きの下剋上』。
図書館で書籍を読んで、WEBでも読めると知り、ここへやってきました。
それで。
登録してからも、しばらくは放っておいたんです。
すんなり登録できて。それで終了と思ってました。
あとは、好きな時に読めばいいやって。
でも、約束した相手がここで小説を書き始めて。
なんとなく、私も書く流れになって、しぶしぶ(ひどい)書き始めたんですが。
でも、小説なんてほとんど書いたことがなかったので。
どうせすぐにエタるな、と思っていました。
エタっても、しょうがないよねと。
新人がエタっても、誰も気にしないよと。
書いたという痕跡さえ残せれば、約束を果たしたことになるよねと。
ほとんど、と書いたのは。
若かりし時分、今見ればプロットどころかあらすじにもならないようなものを「定年になったら小説書くんだ」とか考えながら、メモっていたことがあるからです。
あくまで、定年後の趣味、として考えていました。
一作だけ、『馬と姫君』という短編だけは、よくわからないながらも纏まっていたので、あれが初作品とでも言えるのでしょうか。
まあ、そんなわけで。
それきりうん十年、小説を書こうなんて、まったく考えてもいなかったのです。
多分、その時のメモ書きを思い出さなかったら、定年後の趣味にもならなかったはず。
でも、ここで書きはじめて。
異世界転生小説なら、書けるかなと書きだして。
三十話くらいで終わると思っていたのに、全然終わらなくて。
切りの良いところでエタろうと思っていたのに、読んでくださる方が思いの他いたから、エタることもできず(私は真面目なチキンです)。
終わってみれば200話過ぎていて、驚愕しました。何で書けたのって。
自動書記?
まあ多分、これまで散々インプットしてきたからだと思います。
ネイティブの英語を聞きまくっていると、ある日突然聞き取れるようになる。発音が容易になる。という現象。あんな感じ?
読みまくってきたから、なんとなくだけど、物語の流れと締め括り方がわかった的な。
広げまくった風呂敷を全部畳めたかもわからないような、お世辞にも出来が良いとは言えない作品ですが(今もそうですが)。
ポイントも、ブックマークも、感想までいただけて。本当に、運が良かったのだなと思います。
そこから、創作、という魅力に嵌まりました。
自由に、想像だけで文章を綴れることに、夢中になり。
今までは、頭の中を通り過ぎるだけだったイメージが、形になる面白さを知り。
完結させることの、快感を知り。
ここまでやってきました。
と、ここまでが、なぜここで小説を書くことになったのかという話。
ここからが、なぜあの作品を書いたのかという話。
なぜ初投稿作品をあれ(『前世を思い出したわがまま姫~』です)にしたのかと言うと、当時、とある映像が頭の中にあったからなのです。
なろうに登録する、以前の話。
なんかよくわからないけれど、突然、パッと、浮かんできた映像。
金色の豊かな髪を足首付近まで伸ばした女性が、王冠を被り、白い杖を持ち、裾の長い白いドレスを着て、塔から外を眺めている(いや、こっちを見て微笑んでいたかも)。鳥籠のような塔で、柱の間から、外が見える。その女性の周囲には、色とりどりの淡い光の玉が浮かび、その女性を照らしている。
本当に、それだけの映像です。
その映像の女性は、作品の主人公よりも、もっと大人でした。髪も、主人公は白金にしましたが、白金というよりは、淡い金色。でも、飛び交う光に照らされて、もっと複雑で、奥深い色合いを見せていました。瞳の色は、よく覚えていないんですけど、青のような緑のような、爽やかな色……だった気がする。
見た時にはすごく不思議で戸惑いましたけれど、それでも、綺麗だな、良いもの見れたな、という感じでした。
異世界転生で何か書こうと思った時、ならばあの映像の女性を主人公として書こう、と思いました。
たった一枚(?)の映像から、あの作品を書くことになりました。
そうなると。
女性の周りを飛んでいた、あの光の玉は何だろうと考え。
精霊かな、と思い。
では、あの女性は精霊を束ねる立場の人なのかな、と考え。
精霊姫と、精霊王という設定ができあがり。
悪役令嬢が流行っていたので、それと絡めて。
途中で更新止まったけれど。
もうやめたいと、何度も思ったけれど。
どうにかこうにか、完結までこぎつけることができました。
どうしても、初めて(ちゃんと)書いた物語を、途中で見捨てることができなかったんですよね。
あとは、ここでエタったら、もう二度と書かないだろうなという予感がありました。
書かないというか、書けないだろうと。
多分、それまで読んでくれていた人とか、物語そのものへ対する、後ろめたさで。
私、真面目なチキンなので。
なぜ、ここで書くことになったのか。なぜ、あの作品を書いたのか。
いつか忘れそうなので、ここに記しておきます。
今思うと、どうしても書き上げなければと思ったのは、この初投稿作品だけかもしれません……。あと、今はエタるのもまた良し、と思ってる。その後の展開は、読み手に任せる的な。




