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空の青さを知るために

作者: 顎歌

私は日常が嫌いだった。


大切でもない赤の他人に頭を下げてご機嫌伺い。

自分の生活のためと

見えも聞こえもしない誰かの期待や責任に応え続けただがむしゃらに働いて、金を稼ぐ。

金、仕事、上司、飯、親

頭の中で考えていることはいつも同じことばかり。

そんな日常が何十年と続いて死ぬだけならいっそ

今死んでも変わらないのではと考えた日から

私は、そのことしか考えられなくなった。

死ぬってなんだ、自分が生きる意味って何なんだ

そんな答えはどんなに考えても分かるはずもなく

自分の人生なんて無意味だったと投げ捨てて死のうとしたとき、雲一つない青空が目に入った。

そして、単純に綺麗だ。と思った。

上司の顔色とか、社内で聞こえる嘲笑う声とか

親の心配そうな顔とかそんなものしか浮かんでこない私に久しく芽生えた「綺麗」という感情。

気付いたら自然に涙が溢れていた。


ずっと下を向いていたから気が付かないはずだ。

空ってこんなに綺麗だったんだと

年齢的には成人した大人になったはずの

私は泣いた。

空を見て突然、泣き出す大人などいたら

子供の頃の自分なら確実に引くだろう。

それでも涙は止まらなかった。

止めてはいけないと思った。

空が青い。

そんな単純なことに感動できる自分がいた。

そしてこの感動を何かの形に残さなくてはと

何故か思った。

涙が止まっても、やっぱり空は綺麗で

もう私の頭は

死ぬことも生きる意味も考えてなかった。


ただ、私はこの青い空をどう見て、どう受け取って

どう感動したのか。

これからの人生で探っていかなければならない。

ゆっくりでいい。自分のペースで


ひとまずこの感動が冷めないうちに

私はペンをとった。

読んでくださってありがとうございます。

感動できるものは案外

身近にあるのだと最近気付きました。

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― 新着の感想 ―
お久しぶりです。 しばらくお見かけしないと思ってましたが、いろいろ大変だったんですね。 私も苦しいときは空を見ます。 青空も夜空も私はどちらも好きです。 どうか無理をせず、ご自身を大事にしてあげて…
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