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オークと女騎士  作者: 今井玉樹
3/14

その2

「ふっふっふ捕まえたぞ女騎士」


 オークは不敵な笑みを浮かべて捕縛された女騎士に目を向ける。


 「くっ! 殺せ!」


 女騎士も負けじと反抗的な目でオークを睨み返した。


 「バカめ、簡単に楽になれると思うなよ! 地獄の拷問を味わうがいい!」


 「これを見ろ!」


 オークは円卓の上に掛かっていた幕を勢い良く取り外して、置かれていたスマートフォンを女騎士に見せた。


 「なっ! 私のスマートフォンがどうしてここに!?」


 「拷問部屋で自身のスマートフォンが目の前にある、この意味が分かるか?」


 そう言うとオークはニヤニヤ卑劣な笑みを浮かべながら、あらかじめ入手していた暗証番号を入力した。


 「これで貴様の最近見たインターネットサイトやSNSでの書き込みを確認してやる!」


 「やっ! ヤメロォ!!」


 女騎士は悲痛な声を上げる。


 「ワハハハ! 苦しいか!? 決して辞めはしないぞ!」


 オークは女騎士のスマートフォンを操り、履歴から過去にアクセスしたサイトを順に見ていく。


 「むむっ、やたら同じサイトを見ているな!? ええっとなになに……」


 “【腐女騎士カプ厨】団ルイ雑談3078【リバは56す】”


 「こっわ……」


 オークは非常に嫌な予感がして、流石に別の履歴を探した。短文をつぶやく「ホザイター」の履歴が並んでいたので、そちらを覗き込んだ。


 “あぁ^〜! 会社のトイレで読む新刊が堪りませんですわ^〜”


 “ちぃ! だからリバは駄目だと何度言ったら分かるんだ! ったくまたアンチスレで叩かねえとイケねえなあ(暗黒微笑)”


 「えぇ……」


 オークは困惑を隠せず、女騎士の方を見た。


 「だ、だから言っただろうが! ……も、もう良いもん! 好きなだけ見ろ! 下劣な種族であるオークに何を見られようとこちらは屈する事などないわ! ワッハッハ!」


 女騎士は開き直って高笑いをしている。


 「ちなみに今読み上げた内容はご両親にも送ってあるぞ」


 「ワッハッ……えっ?」


 女騎士は文字通り目が点になってこちらを見ていた。


 「ちなみに同僚全員にも」


 「学生時代の友人知人全員にも」


 「卒業した高等騎士学校の生徒さんにも……あっあれ? 女騎士?」


 あまりにも外道な仕打ちに、女騎士は真っ白な灰になって、やがて砕け散っていったのだった。


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