ツナガル。
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ツナガル。
作:狩屋ユツキ
【エリィ♀】
快楽殺人者。
【アーデル♂】
精神科医。
【メモリ/デニッシュ♂♀】
多重人格者。
アーデルの患者。
【リスナ♂♀】
女装癖。
アーデルの患者。
20分程度
男:女:不問
1:1:2
エリィ♀:
アーデル♂:
メモリ/デニッシュ♂♀:
リスナ♂♀:
------------------
(夜、薄暗い路地裏にて)
エリィ「どうしてこういう事になったのかなー?私はその後ろの二人を殺すつもりで、アンタは関係ないんだけど。何走ってきて後ろにかばってんの。邪魔なんだけどー」
アーデル「それは君が言うことじゃない。二人を守る義務が私にはあるのでね」
メモリ「……ああ、神様……」
リスナ「わ、私は巻き込まれただけで……!」
エリィ「そこのオニーサンが退いてくれればぁ、私は満足なんだけどぉ」
アーデル「ナイフを両手に構えた女の言うことを聞く義理はありませんね」
エリィ「えー」
メモリ「せ、先生……!!この人、昨今噂の殺人鬼じゃ……」
リスナ「メモリ、早く、早く逃げよう!!」
エリィ「逃がすわけないじゃーん。今日の獲物は君達にけってーい!してるんだから」
アーデル「その決定を覆すことは?」
エリィ「ナッシン!!」
アーデル「今日見逃してくれたら、私の持ち金全部お渡しすると言っても?」
エリィ「殺してから奪えばいいじゃん、そんなの」
アーデル「それもそうですね……では、こういうのはどうです。私がいないときに彼らを殺すことにするというのは」
メモリ「先生?!」
リスナ「そっ、そんな!!!」
エリィ「ふうん?……オニーサン、名前は?」
アーデル「アーデルと申します。彼らの名前はメモリさんとリスナさん。私の患者です」
エリィ「丁寧なご説明アリガトー。別に獲物の名前は知らなくても良かったんだけど。アーデル、だっけ。アンタはさあ、この二人が自分の知らないところで殺されるなら別にいいって考えてるわけ?」
アーデル「ええ」
メモリ「先生……!!」
リスナ「う、嘘でしょ、先生……!!そんなことって……!!」
アーデル「今日はたまたま二人を私が送っていく事になっていましたが、いつもは別々に帰っています。今日でなければ私が巻き込まれることも、この二人が殺されるのを見ることもなかった」
エリィ「アンタが殺される可能性は考えないわけェ?」
アーデル「私にはこれがありますので(拳銃を取り出し、エリィに向ける)」
エリィ「……へェ、イイモンもってんじゃん」
アーデル「……百歩譲って私だけ見逃されても、貴女が二人を殺し損ねて私だけ見逃したと証言されても困ります。私と貴女との関係性を疑われるのは真っ平御免です」
エリィ「それはさァ、今日を見逃して後日に回すのでも一緒じゃない?そこの二人が誰に言いふらすかわかんないわけだしィ」
メモリ「そ、そうですよ、僕は両親に言います!!」
リスナ「私も勿論両親と友人に……!!」
アーデル「それならばまだなんとでも言い訳がききます。そこの二人は、精神疾患を抱える患者ですからね。ご両親にも妄言と一言伝えれば済みます」
メモリ「そんな……先生……」
リスナ「私達のことを、そんなふうに……思ってたんですか……」
アーデル「勘違いしないでください。二人のことは大事な患者です。治療に関しては最善を尽くし、もしこの場も全員が生還できるというのなら最善を尽くすでしょう。ですが、相手は恐らく快楽殺人者、それも噂の殺人者ならば定めた獲物は絶対に逃さない。……私がただ助かるだけでは、私の評判に傷が付くんですよ」
エリィ「人の命より自分の評判かー。大変だねえ、先生ってやつは」
アーデル「理解していただけたなら私の条件を飲んでくれませんか。勿論金銭についてもお支払いしましょう。足りなければ口座に振り込みをさせていただきますが」
エリィ「ふぅん」
アーデル「如何ですか。悪い条件ではないと思いますが」
エリィ「……いーや、悪ィが聞けそうにないね」
アーデル「何故ですか」
エリィ「そこの一人が、やる気まんまんだからさ」
アーデル「……っ、しまった、メモリか!!」
デニッシュ「はっはァ!!俺好みの展開じゃねえかよぉ!!!」
リスナ「め、メモリ?!」
デニッシュ「俺の名前はデニッシュだ!!よく研がれたナイフだが、刃紋に脂の跡が残ってるぜえ……。人の血の匂いがプンプンしやがる……メモリめ、こんな美味しいシチュから逃げ出そうなんて馬鹿なやつだぜ」
リスナ「メモリ?!え、っと、今はデニッシュ?!デニッシュ、だめだ、相手はプロだよ、君が無手で敵う相手じゃ……」
デニッシュ「コレがあるだろうがよ!!(カッターを取り出す)」
リスナ「か、カッター?!そんなので敵うわけないよ!!」
デニッシュ「うるせえなあ……お前だって護身用にナイフ持ってるの知ってるんだぜ」
リスナ「!!」
アーデル「……殺人者さん」
エリィ「私の名前はエリィ。……今更止めても無駄だよぉ?もう、そこのデニッシュってやつは火が入ってる。私の炉にもその火は移った。もうアンタの要求は聞けない」
アーデル「……はあ(溜息)」
エリィ「ついでにアーデル先生、アンタも標的に変更かな。アンタみたいに面白いやつ、殺してばらしてみたくてうずうずしてるんだよねえ」
アーデル「……拳銃相手にナイフで戦うつもりですか」
エリィ「撃つより刺すほうが速いときだってあるんだよ?」
リスナ「う、うわああああああああ!!!!」
エリィ「あはははは!!!!!逃げ惑うお前から殺してあげるゥ!!!!」
リスナ「くっ……!!」
エリィ「お?」
リスナ「み、みすみす殺されたりなんかしません……!!僕だってやるときはやります!!」
エリィ「アンタ、男ね?なんでそんなひらひらしたドレス着て歩いてるのォ?!(斬りつける)」
リスナ「くぁっ!!(持っているナイフで弾き返す)やめてください、命だけは!!」
エリィ「そう、そうなのね、貴方心は女なのね!!アハハ、面白ォい!!今夜は面白い獲物ばかりだわ!!」
アーデル「喰らえ(銃を放つ)」
エリィ「あっと、危ない。やだ、オンナノコ同士の会話に割り込むなんて先生、無粋だわ」
デニッシュ「俺も混ぜろよお!!!お預け食らって待ちくたびれて口から涎が垂れそうだぜ!!」
アーデル「デニッシュ!!敵はあっちの女だ!!私に切りかかってどうする!!」
デニッシュ「こんなときでもなけりゃ、アンタを切りつけられる機会なんて無いだろう?!いつもベルトでがんじがらめにしやがって……恨み辛みが溜まってんだよォ!!」
アーデル「くぅっ……馬鹿者がァ!!(発砲)」
デニッシュ「はっはァ!!センセイが患者に銃突きつけて撃つなんていいのかよ!!」
アーデル「正当防衛だ」
デニッシュ「あっそ」
間
エリィ「あっちも楽しそうだけれどォ、まずはこっちをお料理してからね!!アナタ思ったよりやるじゃない!!アハハハ、アハハハハハハハハハハハ!!!!!」
リスナ「やあぁっ!!ぼ、僕は、僕は僕は僕は僕はぁあああああ!!!!!」
エリィ「あら本気になっちゃった?いいわよォ、私も全力でお相手してあげる!!」
リスナ「僕は!!お前なんかに殺されたりなんかしない!!!僕は、私は、私は、僕は、私は私として生きるって決めているの!!」
エリィ「こちらも自我に問題があるみたいね、先生の苦労が目に見えるようだわ、っと!!ああ危ない、アナタ女言葉のほうが合っていてよ?!」
リスナ「私はお母様のために生きると決めた、お母様に死ねと言われるまでは生きると決めた!!この服も、この体も、この命も!!お母様のために!!」
エリィ「あぁら、掘り下げてみるとマザコンだったのねェ、アハハハハハハハ!!!!」
リスナ「笑いたければ笑えばいい!!私の生き方に手出しをするなら、殺す!!」
エリィ「いいねえいいねえその殺意!!私ゾクゾクしちゃう!!!キャハハハ!!!!」
間
デニッシュ「いつもいつも俺のことを目の敵みたいに縛り付けて、このカッターの刃よりも冷たい目で俺を睨みつけて!!切り裂いてやる、お前がいつも俺のことを視線で切り裂くみたいにずたずたになあ!!」
アーデル「クッ……(銃身でカッターを弾く)うるさい、早くメモリに戻るがいい。お前は幻想の産物、本来なら存在しないものなんだ。メモリも貴様を嫌っている」
デニッシュ「ああ俺は嫌われ者さあ!!だけどなあ、主人格に嫌われても存在している事実は変わらねえんだよ!!!死ね、死ね死ね死ね!!!」
アーデル「お前は私の患者だ。ましてや私は殺人者になる気はない。大人しくメモリに戻るか、……眠るかだ(銃を仕舞い、注射器を懐から取り出し)」
デニッシュ「ち、持ち歩いてんのかよ」
アーデル「お前のようなやつがいるからな。自己防衛はきちんとしておかねばならん」
デニッシュ「ただ眠らされてたまるかよ!!」
アーデル「来い、化け物が。私の前にひれ伏すがいい」
デニッシュ「あああああああああああ!!!!!」
間
エリィ「キャハハハハハハハ!!!!素敵素敵、アナタ素敵だわ!!なんて素敵なダンスなの!!私絶頂しちゃいそう!!」
リスナ「だったらそのまま死ねばいい!!」
エリィ「いやよ、もうちょっと遊びたいもの。顔が割れたって別に構わないけれど、アナタを生かして帰してあげるにはもったいなさすぎるわ。……あっちも白熱してるみたいだし、私達も楽しみましょう?!」
リスナ「ふっ、はあっ!!……ぐぁっ!!!!(切りつけられる)」
エリィ「ほらほら、ドレスがボロボロになっていてよ?そのドレスはアナタのアイデンティティなのではなくて?」
リスナ「貴様ああああああああああああ!!!!!!」
エリィ「くぁっ?!(切りつけられる)……ああんもう素敵素敵素敵素敵!!!!私に傷を付けるなんて!!それも顔に!!顔!!顔、顔!!私の顔ォ!!」
リスナ「きゃあああ!!!!(顔にエリィと同じような傷をつけられる)」
エリィ「ふふ……これでお揃い……ふふ……アハハハハハハハハハハ!!!」
リスナ「顔……私の……僕の……お母様が褒めてくださった顔……!!あああああああああああ!!!!!!」
間
アーデル「くっ、この……大人しくしろ!!」
デニッシュ「俺は屈しない、貴様ら大人なんかに屈しない!!!好きに生きて好きに死ぬ、そのために俺は生まれたんだ!!」
アーデル「仕方ない(注射器を一度仕舞って銃を取り出し、発砲)」
デニッシュ「うがっ!!!(腿を撃ち抜かれる)」
アーデル「……通り魔は銃も持っていた。そうだな、デニッシュ」
デニッシュ「あ、あああああああ!!!!痛い、痛いいいいいいい!!!!!!」
アーデル「これからすることは、通り魔にされたことだ。全てな。わかったな、デニッシュ」
デニッシュ「貴様……貴様あああああああ!!!!(カッターを振り上げる)」
アーデル「(銃とは逆の手でそれを受け止める)……私の手袋は防刃性を持っていてね。こういう患者のために白衣も防刃にしてあるんだよ」
デニッシュ「ああああああああああ!!!!!!ううううううううううう!!!!!」
アーデル「まるで獣だな、デニッシュ。さあ、眠りの時間だ(再び注射を取り出し、デニッシュの首筋に打つ)」
デニッシュ「クソッ……クソックソックソッ……いつか、殺して、や、る……」
アーデル「……いつか、はないよ」
間
エリィ「ほら、ほらほらほら!!どうしたの、疲れたの?もう終わりなの?!」
リスナ「う、うぐっ、がはぁっ!!(壁に激突してずるずると座り込む)」
エリィ「……つまんないの。じゃあ、死ねば」
アーデル「そうはいかない(発砲)」
エリィ「あ……?(後ろから腹部を撃ち抜かれる)」
エリィ「アーデル、せんせ……」
エリィ「あ、んた……!!!人の殺し合いに茶々入れンじゃないわよおおおおおおお!!!!(斬りかかる)」
アーデル「チェックメイトだ(発砲)」
エリィ「あ……(頭を撃ち抜かれてそのままくずおれる)」
アーデル「念の為(発砲)」
リスナ「あ、アーデル、先生……助けて、くれたんですか……」
アーデル「(銃を投げ捨てて)邪魔者を始末しただけだ。君達はこれから殺人鬼に殺されるんだからね(エリィのナイフを拾い上げながら)」
リスナ「え……」
アーデル「まずは君からだ、リスナ」
リスナ「え、あ。……嘘……ですよね、先生……」
アーデル「生憎と銃は弾切れだ。殺人鬼はナイフの他に銃も持っていた。そして銃は全て使い切ったために“敢えて”ナイフで他の者を殺し、バラした。そういうシナリオにしよう」
リスナ「嘘……嫌……嫌だ……あがっ!!!(腹部にナイフが突き刺さる)」
アーデル「捻りを加えることによって致死率は格段に上がる……」
リスナ「が、ああ、ああぁあ………っ!!!」
アーデル「そして、引き抜く。あとは出血多量で死ぬのを待てばいい」
リスナ「アー……デル……せん……」
アーデル「これらを行ったのは全て昨今の殺人鬼。いいね、リスナ」
リスナ「……あー、で、……」
アーデル「さて、あとはあそこで寝ている獣に止めを刺すか」
メモリ「あーでる……先生……?」
アーデル「ああ、目が覚めてしまいましたか。これから死ぬというのに」
メモリ「え……」
アーデル「意識は戻っても、体はまだ動かないでしょう。大丈夫、心臓を一突きにしてあげますから」
メモリ「せんせい……何を……言って……僕は……?」
アーデル「さようなら」
メモリ「がっ……!!!」
アーデル「……さて、次はこの死体達を殺人鬼らしくバラさなくては。……骨の折れる仕事がまた一つ増えそうだ……」
間
アーデル「こんにちは。おや、顔色が悪いですね。何かありましたか?……そうですか、最近の殺人鬼の噂が恐ろしくて夜は勿論昼もおちおち歩けないと。殺人鬼は趣向を変えて銃も扱うようになったようですしね……。私も最近、自分の患者を二人も殺されてしまい、眠れない日々を送っています……。安定剤を出しておきましょう。夜も眠れなくなったらお薬を変えて……。はい、はい、そうですね。夜は出歩かないが吉ですよ。いつ殺人鬼が、貴方を襲うかわからないのですからね……」
了
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