49たとえすべてを犠牲にしてでも③
頭を強くぶつけたんだと思う。
くらくら、くらくらと、まるで世界が回っている・・・・。
ぼやけた視界の中で、全身が重くて動かない・・・・。
痛いのか?それとも、何ともないのか?それすらも、感じない・・・・。
・・・・彼女は・・・??委員長は・・・・??どうなった・・・??
俺の上に馬乗り状態で、ピクリとも動かない委員長。
どこか打ち所でも悪くて、意識を失ったのか?と心配になるけれども、ピクリとも動かない腕では、確認することもできない。
ただ、その、馬鹿みたいに温かい体温を感じながら、助けを待つことしかできない・・・。
その時だ。
がさがさ、がさがさ、と植木が揺れる音が聞こえたかと思うと、俺たちに向かって、誰かが歩いてくる音が聞こえた。
誰かも分からない。俺にとって、その近づいてくる奴が、味方なのか?それとも敵なのか?それすらも分からないし、なんだかもうどうでもよくなってきたな・・・・。
あれ??俺は・・・・何をしていたんだっけ・・・??
首元に冷たい手が添えられる。
・・・・止めてくれ・・・・。冷たい・・・・。不快だから・・・・。
「・・・・お前さえいなければ・・・・、お前が流美ちゃんを苦しめたから・・・・!!」
ぶつぶつと・・・・、何を話しているんだ??
それよりも、とりあえず、その手を離してくれよ・・・・。なんだか、不愉快だから・・・・。
「せっかく・・・・!!せっかく流美ちゃんを傷つける・・・・!!あいつを始末して・・・!!彼女の目を覚まさせてあげようとしたのに・・・・!!!それなのに・・・!!それなのに・・・お前が!!!お前が苦しめるから・・・・!!!だから彼女はあいつのことを!!!石川のことを忘れられないんだろ・・・・!?」
ぶつぶつ、ぶつぶつと、俺の耳には、ほとんど意味のない言葉の羅列に聞こえるけれども、なんだか、重要な意味を持っている気がして・・・・。
・・・・早く!!!早く起きあがれ!!!
って、うるさいくらいに、俺の心が叫ぶんだけど、ああ、もう少し寝かせてくれよ・・・。ちょっと疲れたから・・・・。
「お前がいなければ・・・・!!!お前がいなくなれば・・・・!!!俺と、流美ちゃんは・・・・!!!ようやく一つになれるのに・・・・!!!警察も連れてきやがって・・・!!!どこまでお前は俺と流美ちゃんを邪魔すれば気がすむんだ・・・・!!??」
・・・・本当にうっとうしいな・・・・。
それに段々、段々、その冷たい手が、絞まってきている気がするんだけど・・・・??
「死ね!!!」
・・・・俺・・・・死ぬのか??
「そこまで!!!!」
頭の霞を取り払うような、明朗な美しい声。
その後すぐに、ふわり、と首元に添えられていた、冷たい手が離れていく。
・・・・良かった・・・・。




