表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
孤独な迷探偵  作者: 高橋はるか
第一章 座禅しながら人は死ねるのか??
44/55

43治外法権 ここは領事館なのか・・・??

「す・ぎ・や・く・ん??」

翌日、学校に登校した瞬間に、佐倉先生に捕まった。

あれ??なんでそんなに怒ってるの??俺、何かしました??

「あの・・・??」

「その顔はすっかり忘れてたって顔だな!?自分で予約しておきながらすっかり忘れるなんて!?」

予約・・・??何の話をしているんだろうか・・・??

先生と高級フレンチに行く約束なんかしてなかったし・・・・。

まさか!?フレンチじゃなくてイタリアン!?

うっそー??いつの間に俺と先生って、デートするような仲になってたの!?

・・・んなわけないから、一体何の約束だったっけ??

思い出せえ・・・・。思い出せえ・・・・!!


「昨日、カウンセリングを十七時に予約してたじゃん!?三十分待っても来ないから、家まで迎えに行こうと思ってたんだよ!?」

「ええー・・・??」

何それ??ストーカーじゃん・・・。怖いんですけど・・・・。

でも失敗したな・・・。

あの、誰も利用しない教室を開けてもらうために仕込んだことなんだけど、正直に言う訳にはいかないし・・・・。

そもそも、すっかり忘れてた俺が悪いんだし・・・。

いや!!いやいや!!俺が悪いわけじゃない!!それもこれも全部あいつが悪いんだ!!柏木彩菜!!あいつが全ての元凶だ!!許すまじ!!


「だいたい・・・!!一昨日も・・・・!!」

まずい・・・・!?今気づいたんだけど、正面玄関前のせいで、登校中の生徒とか教師とかに注目されてて、何あいつ??みたいになってるのに気づいてしまったよ・・・。


「妹と何があったのか分からないけど・・・・!!」

妹とか!?妹の話とかしないでくださいよ!!

ほら!?敏感に聞きつけた男子生徒の群れが、まるで獲物を狙う飢えた肉食獣みたいになっているではありませんか!?


「あの・・・先生・・・!!」


何とか佐倉先生の話を終わらせようとしたその時だった。


「あ!?いた!!!!杉谷ああああああ!!!!!!!」


この声は・・・!?まさか・・・・!?


振り向くとそこには、猛烈な勢いで駆け寄ってくる、あの女の姿が・・・・。

「なんで昨日、あの後いなくなっちゃうのよ!?探し回って、結局見つからないし!!何より、家に帰るのが遅れて怒られちゃったじゃん!!!」


いや、すぐに諦めなよ・・・・。

胸倉をつかみながら、怒鳴り散らしてくる、柏木彩菜を何とか引きはがそうとしてみたが、一向に離れない。


「ちょ・・・!?離せ・・・!?とりあえず・・・・!!落ち着いて・・・!!」

「いーや!!離さないし落ち着かない!!あんた私のこと助けるって言ったんだからきちんと責任取りなさいよ!!!」


ええー??そんなふうに言うと・・・・。


ぐい、と肩を掴まれ、思い切り後ろに引っ張られた。

「うお!?」

思わず転びそうになった俺を抱き留めたのは・・・・??

この胸の大きさといい、形といい・・・・。佐倉先生だな!!


「深冬くんに何か用かな??あなたは・・・・。誰だったかしら??」

先生・・・。肩が痛いです・・・。


「佐倉先生・・・。ちっ!!ミス先生一位、彼女にしたい先生一位、お嫁さんにしたい先生一位、何なら、生徒と合わせても一位、校内で最も美しい顔一位、女優になれそうな女性一位、黒髪が似合う女性一位か・・・。分が悪いか私・・・??って言うか!!杉谷!!あんた女に興味ありません、そもそも他人に興味ありません、って顔して、意外とやるわね!!」

その盛りだくさんのランキングって、何のランキングなの??

それ、誰が投票してそうなったの??

何処調べ??

最初のミスは、文化祭の余興の一つだったから分からないでもないけど・・・・。残りのランキングって、どこが統計してんの??

しかも結構コアなランキングとかあったし。

それに、その、何だ!!あんたやるわね・・・、ごくり、みたいな雰囲気止めえ!!

二股した屑野郎を取り合う女たち、みたいな構図になってんぞ、俺ら。

いいのか??それで二人は良いのか??


あ、ほら見ろ!!

あの生徒、絶対佐倉先生の親衛隊だよ!!

草刈り鎌とかどこから取り出したんだよ!?あの錆びだらけの鎌で切りつけられたら血とかいっぱい出て、痛そうだな・・・・。

あ!?あいつ、きえええええ!!!!とか奇声を上げながら、襲い掛かって来たぞ!?

いやだ!!絶対命狙われてるのって俺だから、離して!!お願い!!逃げなきゃ殺されるってこれ!!


「ああ。あなた深冬くんのクラスメートなんだ?で?答えなさい??彼にいったい何の用??」

そんなこと悠長に話している暇はないから!!

誰か、あの殺人鬼を止めてよ!!??


あ!!俺らにあと数メートルのところで、男子学生十数人に取り押さえられたぞ!!すごい!!とんでもない連携業だった!!

あいつら、もしかして、古武術の達人か!?って思うような軽やかな身のこなしで、制圧してしまったぞ!?


「私は、杉谷のクラスメートの柏木、柏木彩菜です!!彼とは、昨日色々ありましたんで、ちょっと、お・は・な・し、したいなあ、と思いまして」

「ほう??色々??」

「ええ!!色々、ですよ、色々」

「例えば??」

「それは言えませんけどお??」


 恐ろしい・・・・。火花が散っておりますよ、火花が・・・!!

俺ぬきでやってくれませんかね??

そろそろ、全校生徒、全教師たちの注目を集めてるんじゃないか??って疑わしくなってきたんで。


この後、俺、殺されたりしないよね??

輪の外に、金属バットとか、鉄パイプとか持った生徒が、(しかも、男子だけじゃなく、女子も)うろうろしてる気がするんだけど??

あれ??俺、別に悪霊に憑りつかれているわけじゃないよね??

それとも、ここって、いつから、治外法権になったの??

ちゃんと日本の法律が適用されてるんだよね??

日本っていつからこんな物騒な国になったんだろうなあー・・・??


「いいから!!!深冬を(杉谷を)私に渡しなさい!!!!!」


キーンコーンカーンコーン。


二人の叫びは、チャイムの音に掻き消される。


キーンコーンカーンコーン!!!


「何してんだお前らああああああああああ!!!!!????」


玄関から聞こえてきた怒声に、周囲に居た群衆が、それこそ、蜘蛛の子でも散らすように、一瞬でいなくなって、


「え??ええ!?」

思わず、取り残された俺は、もみくちゃにされながら、ただ、ただ、急所となる頭を庇うように地面に転がることしかできない。


「けほっ!!けほっ!!」


濛々と舞う土煙の中、気分はさながら、ぼろ雑巾か??いや、ぼろ雑巾でももっとましな扱い受けるわな・・・・。


「杉谷、お前が元凶か・・・!!」


こいつは、まずいですねえ・・・・。

何がまずいかって??


ゆっくりと視線を上げれば、燦然と輝く朝日を背に、あの男が、額に青筋を立てながら、仁王立ちしている。


「あの・・・・。これは・・・・。その・・・・」


ええ??俺が悪いの??今回ばかりは、はっきり言うけど、俺が悪いの??

・・・大切なんで二度言いました。


「ちょっとこっち来い!!!」

またこれですか・・・・。デジャブ、だよね・・・。

そもそも、こいつ、気に食わないことがあると、生徒の胸倉掴んで指導室まで引っ張って行こうとするんだけど良く無いよね・・・??

今どき、教育委員会も真っ青の暴力教師だと思うんだけど、どうかな??


何なら、あの時、全校生徒、教師が一堂に会していたと思うんだけど(男女の別なくね)、伊藤教諭、こいつだけは、絶対に周りに流されない鋼の精神力を持っているんだから、ある意味俺とそっくりだよ。

もしかして、こいつも、ぼっち・・・なのか??

俺と仲良くしたいから、こうして、何かにつけては因縁つけて来てんのか??

そうだろ!?絶対そうだよ!!じゃなきゃ、この騒動だって、大丈夫か?って心配そうな顔しながら手を差し伸べて、立ち上がった俺の制服に付いた土埃を叩き落としてくれたりとかするもんだよね??普通は。

でも、そうじゃないってことは、まさかこいつおれにシンパシー感じてるけど、どうやって話しかければいいのか分かんないから、こんな迂遠な真似してんだろ!!絶対そうだよ!!!



「はあ・・・・。お前も毎度毎度・・・・。そんなに騒ぎばかり起こして面白いのか!?」

溜息つきたいのはこっちだよ。

俺こそ言いたいんだけど、お前の目は節穴か??

ガラス玉でもはまってんの??その眼球ってもしかして義眼なの??

じゃなきゃ、あの騒動の中心人物、というよりも扇動者が俺だっていう結論にどうやったら行き着くの??


「それに、いつまで経っても不愛想な奴だな・・・・。はい!とか、いいえ!とか言ったらどうなんだ!?ええ!?」

今朝のあの様子だと、こいつ、同僚、というか教師陣にまで恐れられてないか??

こんな凶暴なやつ野放しにするとか、教育委員会って猛獣遣いでもいるの??


「お前ももう受験生なんだぞ!?大学に行ったらもう大人だ!!何ならもうお前らは大人ってみなされてるんだぞ!?それなのにお前と来たら・・・・。そんなんじゃ、社会に出た時やっていけねえぞ!?」

ほーう?

お前それ、校内の男子学生の約八割に言えてると思うけど、そいつら全員社会に出たら、やっていけないの??

そもそも、やっていけないって、じゃあ、具体的にどうなるの??

ニート??引きこもり??それか、フリーターもお前のやっていけない、大人に含まれてんのか??

もしくは暴力団??風俗??

それって統計学的に、そんなにいるのかよ??

現代社会で、落ちこぼれ、なんて、お前らが勝手にレッテル貼ってるだけで、知ってるか??日本の総人口の内、金持ち人口って実は五%しかいないらしいじゃん??

そいつらからしたら、お前も、落ちこぼれの一人なんだけど、見方とか、時代、環境によって、そんなの変わるもんだろ??

それをあたかも、利口ぶって話している時点で、俺にとってみれば、お前も、やっていけてない、って扱いになるんだけど?その辺理解しているのかね??


「なんだその目は!?」

あーあ・・・。また始まった・・・・。

目で因縁つけてくるとか・・・。お前は、肩を怒らせて街を練り歩くチンピラかよ?それとも、ほんとに猛獣か何かなの??

目が合った、とか、合わないとか・・・。気に食わない、反抗的だ、とか、ごちゃごちゃ煩いんだよ!!


グダグダと長引く説教はついに三十分を越え、ようやく怒り疲れたのだろう。

深々と椅子に腰かけると、


「はあ・・・。とにかく!!次に、なんか問題を起こしたら承知しないからな!!」


あ、そうですか。

具体的にはどう承知しないんですか??退学??それともぼこぼこにします??

それか、留年とか??

お前にそんな権限あるの??

まあ、どっちにしろ、じゃあすぐに見られるわけだな。次に問題を起こしたら、どうなるのか?を。


・・・だって、問題を起こさなきゃ、解決できないんだからしょうがない。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ