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孤独な迷探偵  作者: 高橋はるか
第一章 座禅しながら人は死ねるのか??
42/55

41これは誰かのためじゃない。自分のため①

「まあ、私も最初だけやらせたから・・・・。そんで、その時の話をして、もし無理やりやろうとすれば、一緒に破滅ですね、って。私は、中退するくらいで済みますけど、あなたは大切な家族ごと首でも吊ります?って逆に脅してたから」


ケロッとして言うことじゃないよね・・・??

怖い・・・。本当にこいつだけは、怖すぎる・・・・。


「なんで、あの日、石川は、あそこに居たんだ??お前が呼び出したんだろ??」


教師なら、誰でも簡単にあの小屋の鍵は手に入る。

そして、滅多に人が通らない、場所。

何より、教室とか、見つかる危険が全くなく、そして、おあつらえ向きに、布団がある。

なら、この話を聞いて、たどり着く結論はたった一つ。

こいつを待っていたか、もしくは、違う誰かを呼び出していたのか。


俺の質問に、柏木は、ゆっくりと、そして、何かに怯えるように、真相を語る。


「あの日、私はいつものように、帰ろうとしていたんだ・・・・。そしたら、今日みたいに、一枚の封筒が下駄箱の中に入ってた・・・・」

何気なく手に取った、それを、最初はラブレターだと思って、その場で開けようとしたんだそうだ。


「ほら?私って可愛いから、今までもそう言うことって、何度かあったし・・・」

うぜえ・・・・。超うぜえ・・・・。何その自信??


「でも、その時は、なぜか、躊躇ってしまったの・・・・。なぜって聞かれても、何となく、としか答えられないけど・・・・。なんか、いつも見かけるラブレターとは明らかに異質で・・・。怖くて、その場に居た友達からも怪しまれない様に、すぐにポケットの中に突っ込んだの・・・。誰もいない所で、一人で見てみようって・・・」


そして、そのあと、友人数人と遊びに行く前に、忘れ物をした振りをして、いったん校内に戻り、人気が少ない教室まで戻って封筒を開いてみた。


「思わず、あ!?って、声が出るほどびっくりしたよ・・・・。周りに人がいなくて本当に助かった・・・・。何せ、中から出てきたのは、私が、石川に脅される原因になった、ホテルに男と二人で一緒に入って行く写真と、石川と二人で休日デートしてる写真とか・・・・。中には、どこから撮られたのか、校内で、あいつと上半身裸で抱き合う写真とか・・・・。正直、盗撮でもしていない限りは撮られない写真とかもいっぱい出てきたの・・・・」


怖くて、怖くて・・・・。誰なんだろう??とか、何が目的で??とか、いろいろ考えたら、手紙を開くのが、本当に怖くて・・・・。

と震える彼女を、俺はどうやって慰めればいいんだろうか??

こちとら童貞なんだぞ!?

そもそも、話のスケールが違いすぎて若干引いてんだっつうの!!


「で?お前は、じゃあその手紙を見なかったのか??」

「・・・・見たわよ・・・・。見ないわけにはいかないでしょ??」

「・・・まあ、そらそうだわな・・・・」

愚問だったな・・・・。


「中にはなんて??」

「『あなたの秘密を知っています。私が誰か、は言いません。私は、そもそも、あなたに興味もありません。なので、一つだけ、私の言うことを聞いて、協力してください。なに、簡単な話です。いつものように石川を誘って、彼に、ある飲み物を飲ませればいいんです。精力剤入りのお酒です、とか、今晩は期待してます、とかなんとか言いくるめて。飲み物は、あなたが今座っている席の横に、ボトルキャップ付きでぶら下げてます。今晩の二十二時、場所は、あのプレハブ小屋を指定してください。そしてあなたは、絶対に現れないでください』って・・・・。怖かったけど、私、自分の机に座ってたから、すぐに横を見たら・・・・」


「ペットボトルが掛けられてた、と・・・・」


「そう!!まるで私の行動なんて全部お見通し、とでも言うかのように!!!誰がやったのかも分からない!!誰が、何のために!?と思ったけど、それも分からない!!!このペットボトルには何が入っているのか!?怖くて、もし毒だったらどうしよう!?とかいろいろ考えたけれど・・・・」


「言うことに従った。と」


「なによ!?しょうがなかったからに決まっているでしょ!?誰にも相談できなかった私の気持ちがあんたに分かるの!?何が起こるのか、その夜、家で震えていた私の気持ちが!!あんたらに分かるって言うの!?そして、翌朝、学校に来てみたら、やっぱり石川は死んでて、警察がくまなく捜査してた!!!その時の、私の不安が!!!部活に顔を出すって言う口実で、ずっと学校に居て、警察の同行を見てたけど・・・・。結局何もなかった・・・・。翌日、プレハブ小屋の中で、首を吊って死んでた、って聞いたときには、本当にほっとしたのよ!!??そんな気持ちが、あんたらに分かる訳ないでしょ!!」


「ああ。分かんねえな。それは、金銭を貰って対価に体を売ってたお前自身が招いた自業自得だろう??それは、お前の過ち、お前の罪科だ。違うか??」


「そんなの・・・!!」


流石、現役の警察官。言うことがいちいちお堅いね。

間違ってはいないし、正論だと思うよ??俺も、犬飼さんの言葉には納得できる部分も多い。いや、違うな。全面的に肯定する。

それでもな・・・・。一つだけ、たった一つだけ、言うとすれば・・・。


じゃあ、お前らは弱い人間の気持ちなんて分かるのか??お前ら強者は、社会的弱者の気持ちを、ほんの一ミリでも、理解しようとしたか??


まあ、柏木と俺を一緒だとは思わないし、何より彼女を、社会的弱者だとも思わない。

だが!!それでもなお!!言いたい!!


警察は気に食わない!!!!!!


正論だけで、社会が動いているとでも思っているのか??

ほんの少しでも、ほんの僅かにでも、間違えたことが無い、と胸を張って言えるのか!?

間違っている奴に、お前は間違っている!!だから改めろ!!と正論を説くのは簡単だ。

法律、という絶対的な正義と大衆が誤認してやまない、掟さえ出してしまえば、その名のもとに平伏することしかできないだろう。

だが、残念なことに、正しいばかりでこの世の中は回っていないだろう??

だからこそ、法律があって、警察がいて、毎年少なくない人間が、逮捕されているんだ。


だから、これは別に彼女のためとか、そんなことではない。

俺自身が、気に食わないと、そう思ったから、だから言うんだ。

断じて、柏木のためとか、そんなんじゃないからな!!


「まあ、まあ、犬飼さんもそこまでにして。彼女は、十分苦しんだじゃないですか・・・。だったら、それに免じて、無罪放免、でよくはないですか??柏木も、良く話してくれた。ありがとう」


「お前・・・・」「あんた・・・・・」




「「何綺麗に纏めようとしてんだよ(のよ)!!」」



「え・・・??」

そう言うことじゃないの??


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