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孤独な迷探偵  作者: 高橋はるか
第一章 座禅しながら人は死ねるのか??
38/55

37こうして俺は動き出す

犬飼さんからもらった名刺は、今もまだ、俺の胸ポケットの中に入っている。


電話はワンコールでつながった。

ちょっ!?早いんですけど!?まだ心の準備ってやつが・・・。

「はい?犬飼だが、誰だ??」

って言うか、なんでそんなやくざみたいな電話の出方するんですか!?


「もしもし?あの・・・、俺なんだけど・・・」

「俺、じゃ分かんねえだろうが!!!誰だよ!?まず名前くらい名乗ったらどうだ!!??ああ!!??」

やばい!!ついつい、突然のことで、全部飛んでしまった!?

それよりも、なに?この人??怖いんですけど・・・。誰かに命でも狙われているのか??


「てめえ!!!新手の詐欺かなんかなのか!!??俺に電話してくるとはいい度胸じゃねえか!!!今から、てめえの現在地特定して!!!ぶっ殺しに行ってやるから、首洗って・・・!!」


ぶつり。

「ふう・・・。怖い、怖い」

思わず切っちゃったじゃん!!何あの人?嫌なんだけど!!??

俺みたいなぼっちは、人に電話したことなんて無いんだから、あんまり慣れてないんだよ・・・。

しかし、

ぶるぶる、と携帯が震え出した!!

やばい!!??やばい、やばい、やばい!!!??

混乱した頭で、通話のボタンを押した瞬間、


「てめええええええ!!!!そっちからかけて来といてどういう料簡してんだこらああああ!!!!」


鼓膜が破れるかと思ったよ・・・。

きーん、って未だに耳鳴りがするもん。

これは早々に誤解を解かないとまずいな・・・。

「あの・・・えっと・・・杉谷です・・・って言っても分かんないか・・・??」

ああ・・・。なんて言えば伝わるんだろうか??

容疑者の一人です?

それはそれでなんか嫌だな。犯行予告みたいじゃん??

じゃあ、この前ドライブデートした学生です??

これは残念ながら論外だろう・・・。

でも、あれをそれ以外に端的に一言で表す言葉を俺は知らないし・・・・。それ以外に言いようがないし・・・。

じゃあ、佐倉探偵事務所の掃除担当、とか・・・??

止めよう。事実無根だ・・・。


しかし、そんな俺の思いとは裏腹に、

「ああ?ああ・・・坊主か」

すぐに、俺だと分かって、急に大人しくなった犬飼さんは、

「どうした?なんか用か?」

と逆に尋ねてきたが、落差が激しすぎて、びっくりするわ!!

何なら、俺の名前よく覚えていたな・・・。そのことに尊敬半分、そしてうっすらとした寒気半分、口を開く。


「お話したいことが・・・・。そしてお願いしたいことも」


「ほう?」

受話器の奥からでも分かる。面白そうに口の端でも歪めながら、にやりと人の悪い笑みでも浮かべているのだろう。

・・・思惑通りってか?まあ・・・おおむねその通りだよ。だがな。ただ、無様に使われてやる気はねえよ。

そっちこそ、全力で付いて来いよ?


・・・・でなければ、置いて行っちまうからな?


「随分とまあ・・・突然なことで。どうして?と聞いてもいいか?」

「そんなの簡単だよ」

「へえ?」



「俺がとんでもない天邪鬼だからに決まってんだろ」

笑えよ。とんでもない馬鹿だって、笑えばいい。電話を切った後に、ほくそ笑むがいい。それでも、俺は決めたことは、覚悟したことはやり遂げてやるから安心しろ。


「そうか・・・・。ありがとうな」

 

調子狂うんだよなあ・・・・。





「ふうー・・・・。大丈夫、大丈夫・・・・。緊張するな・・・。大丈夫、ただ話しかけるだけ。別に他意はない・・・・。だから、大丈夫」

何度も、何度も、登校してから己に言い聞かせてきた。

なあに、簡単だ。

ポケットティッシュを借りるみたいなものだ。

・・・・借りたことは無かったな・・・・。

だったらあれだ!!消しゴムを・・・・。

・・・・それも借りたことは無い・・な。

じゃあなんだ!?あれか!?鉛筆とか・・・??

・・・・うん。それも借りたことは無い・・・。


え?じゃあ、忘れ物した時にどうやって乗り越えるかって??

そんなの簡単だろ?忘れ物しない様に、もう一セット、机の中に準備しておけばいいんだよ。

鉛筆を忘れてしまって、どうしようもできなくて、親指の先を噛み切り、血文字を書いたのが懐かしい・・・。

・・・忘れたい黒歴史の一つだ。

あれ、地味に痛いんだよな・・・。

何なら紙に擦れて傷口が悪化して、一行も書けなかった、とか、いい思い出だあ。

血が滲んで、国語のノート、駄目にしたっけ??

呪いのノートみたいになって、同級生に見られてから、一週間、誰も俺に近づかない安息の時間ができたんだっけか??

・・・あいつ、誰かを呪い殺すつもりだぞ・・・??って恐れられて。


止めよう・・・。それよりも今は・・・。


「って言うかさあ・・・・あの課題、怠くない??」

「ああ!!まじ分かる!!!って言うか、ほんと、もう私たち受験生なんだから課題とか止めろよって言う話なんだよねえ!」

「いやそれ分かるわあ!!何が読書感想文だよ!!小学生か?っての!!」


やっぱりお前らも、そう思うよね?


「今日び小学生でもあんなの真面目にやらないっしょ!?ネットで検索かけて丸写し、はい完成ってね?」


なる程、その手があったか・・・!?気付かなかった俺の馬鹿!!真面目にやろうなんて・・・!!

そう言えば、部活動で忙しいやつとか、どうやってやってんのかな?って思ってたけど、そういうやり方があったのね!?

あいつらの、どれだけ勉強とか、課題をやらないか、という努力にかける熱量と、そして、柔軟な思考は見習った方がいいな・・・。


「もうさあ・・・。私らって、あと数か月もすれば卒業じゃん!?もう授業も来なくていいんだよねえ・・・」

「そうそう!!私ら何のために授業来てるんだろうね??あ!彩菜は出席日数足りてないから、これから一日でも遅刻するとまずいんだっけ!?」

「うっせ!!」


俺が何をしてるか?だって??

そんなの簡単だ!!

ぼっち流奥義、『机に突っ伏して寝ているふりをながら、実は周りの会話、全部聞いてます』だああああ!!!!

・・・・あ、ストーカーとかじゃないから気持ち悪いとか、そういう誹謗中傷は受け付けていませんからね??


「柏木、まじで朝弱いよね!?なんでそんなに遅刻しちゃうの!?夜遊びしすぎだし!!まじ笑えるんだけど!!!」


え?今何か、すごい面白いこと言ったんだろうか??

自分で言って、自分の言葉にげらげらと品性の欠片もなく笑う、友人A子さんの気持ちが俺には分からない・・・・。

まあ、そう言う生き物だとでも思って、深く考えない方がいいか!


「彩菜、まじで朝に弱いからねえ・・・。昔っからそうだったよね??」


と宣うのは、友人のB子さん。こちらは恐らく、小・中学校からの昔馴染みなのか??

でも、なんで、名字で読んだり、名前で読んだり、面倒なことをしているんだろうか??俺の知らない、友人度、もしくは友好度、みたいな指針があってそれに合わせて名前呼び、名字呼びってのが決まっているんだろうか??

その友好度、どこで見られるの?

校内掲示板??それとも、ステータス画面??


「はあ??マジでうざい!!って言うか、学校も、会社とかも、全部昼から始まればいいんだし!!なんで、人間ってこんな朝早くから活動しなくちゃいけないの!?」


口が悪いなあ・・・・。あの時は、そんなふうに見えなかったのに・・・。猫被ってやがったのか!?


俺が今、絶賛ストーキング中、あ、そうじゃなく、聞き耳を立てているのは、石川が殺される前日に、俺と一緒に仲良く遅刻して体育教官室で鉢合わせした女子生徒。

名前は、柏木彩菜、だそうだ。

どうして、彼女をストーキン・・・・、いや、意識しているかというと、好きとかではなく、話したいことがあったからで、その、話したいこと、って言うのは、お互いのためにもできれば二人っきりの方がいいことなんだけど・・・・。


あ、先に言っておくけど、愛の告白とかじゃないからな??


・・・・でも、さっきから思ったんだが、一人にならねえな・・・。


二人っきりで話すなんて、余裕だと思っていたのに・・・。まず、最初の段階でつまずいてしまうとは・・・・。

警察に頼るわけにはいかない。

兎に角、警戒心を持たれてはいけないんだが・・・・。


「ちょっとさあ、私トイレに行きたいんだけど・・・」


来た!!チャンスだこれ!!!柏木が、トイレに行った後に、トイレから出てきた彼女を待ち伏せして、話しかければ・・・!!

ストーカじみていて嫌だけれども、背に腹は代えられない!!


「あ、柏木、トイレ行くの??私も、行きたかったんだよね」


・・・はあ??


「二人行くの??じゃあ、私も行く!!」


・・・・はあああああ!!!???

なんで!!??ねえ!!??なんで一緒にトイレに行こうとするの!!??一人でトイレにすら行けやしねえのかよ!!??

そもそも、よくよく観察したら、そこら辺の連中、誰かが、トイレに行かないと、遠慮してしまって自分もって立ち上がれなくなっているようなんだけど、どうなってんの??

トイレって、一人で行くとこだよな・・・??

それか、この学校のトイレだけ、複数人で入らなければ、入れないとか、そう言う校則でもあるのか??もしくは、呪われる、とかそう言う迷信とか??


あ!?だとしたら俺危ないんじゃない!?

今まで三年間、ずっとひとりきりでトイレに行ってたけれども、もしかして、何かに憑りつかれたから友達ができないのか!?

・・・まさかこんな卒業間近に俺がぼっちの原因を解明してしまうとは・・・・!!


卒業式の時に、どこかの神社で、厄払いでもしてもらおう!!うん!!それがいい!!




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