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孤独な迷探偵  作者: 高橋はるか
第一章 座禅しながら人は死ねるのか??
33/55

32沈黙の捜査車両②(てか喋れよ)

予想に反して、この一週間は何事もなく過ぎ去って行った。



あれ??茜、結局分からなかったのかな??

・・・まあ、俺が気にすることじゃないよな・・・・。


やはり事件はまだ終息に向かっていないようで、報道陣の数も一時に比べて落ち着いてきてはいるが、それでもまだ、校門前を陣取り、連日の報道合戦を繰り広げている。


そして、警察の方にも進展がなく、授業中、放課後、休み時間中問わず、一人、また一人と被害者の石川と繋がりのありそうな生徒が呼ばれ、会議室を一室間借りした、簡易の取調室で事件のあった日のことや、石川の人間関係を洗い直しているようだ。

まあ、一体いつまでかかることやら・・・・。

少なくとも一日に事情聴取できる人間の数が五人だとしても、二千人いれば、単純計算で四百日か??

一年が過ぎちまうけど大丈夫なのか??

俺なんかは、そもそも圧倒的に人との接点が薄いから、もしかしたら全校生徒の中でも最後になるとは思うけど、一年後にはいないよ??


・・・まあ特筆するような情報もないんだけどね。


こうして、緩やかに、しかし、確実に世間から、そして俺の記憶から消え去ろうとしていた時のことだ。



「よう坊主。元気にしていたか?」

うげ!?あんまり会いたくもない人に会ってしまった。

「どうしたんですか?犬飼さん」

「おい坊主、今お前、随分と嫌そうな顔したぞ?そんなに俺に話しかけられるのが嫌なのか??」

嫌に決まってるだろうに・・・・。誰が好き好んで警察官に話しかけられて喜ぶ馬鹿がいるんだ?

警官に話しかけられていいことがあった例なんてあるだろうか?


「いや・・・。そういう訳では・・・」

「面倒だな?とか思ったんか?失礼な奴だなあ」


失礼なのは警察の方だろ?

だってあいつら、俺の顔を見ては、「最近の学生はクスリとかやっている子も多いからねー・・・。ああ、別に疑っているわけじゃないんだよ?はい、じゃあ、鞄の中身全部出して。あと、ポケットもひっくり返そうか?」って必ず絡んできやがる!!

何だ!?そんなに俺の顔は薬物中毒者みたいな顔してるのか!?そっちの方が失礼だろ!!


「もう授業は終わったんだろ?って言うか・・・・友達、いないのか??」

「ほっとけ!!」

失礼だろうが!!

「まあ、そんな怒んなよ」

冗談、冗談、みたいに軽い感じで流されたが、納得いかない・・・。


「・・・何の用ですか?」

「そんなに警戒するなよー。別に取って食おうってわけじゃないんだから」

「・・・何の用ですか?」


一瞬犬飼さんの表情が引きつった。

「・・・・お前可愛くないって良く言われるだろ?」

男に可愛さとか必要なの?

それに・・・。

「それはお互い様じゃないですか?」

「うっさいわ!!って言うか本当にひねくれた奴だなー」

なんか、一年に一度だけお年玉をもらう親戚のおじさんに絡まれてるみたいで面倒だな。


「って言うか、本当に何の用なんですか!?用がないなら帰りますよ!!」

「え!?もう帰るの!?今日び高校生ならもっと放課後って遊び歩くもんなんじゃないの!?」

めんどくせえ!!!!

いちいち驚き方が古風なんだよ!!

仰け反って、大げさな反応しているけど、揶揄いに来たんなら、本当に帰らせてくれないだろうか??

こちとら伊達に門限が十八時って決められとるわけじゃないんじゃ!!


「冗談はここまでにしてな」

急に真面目な顔してないでほしい・・・・。心臓に悪いから。


「少しドライブでもどうだ?」


やだ!?なに!?もしかしてこれが俗にいう、デートのお誘い・・・!?


「はあ・・・・??」


「聞きたいこと、話したいことがあるんだ。人目のないところがいい」


「はあ・・・・まあ・・・・」


誘拐とかされないよね??



で、当然のように沈黙のパトカー。

まあ、パトカーって言っても、よくあるじゃん?なんて言うんだっけ??・・・なんだっけなあ??


覆面!!!そうそう!!!覆面って言うの!?


これぞパトカーです!!警察です!!って言うような白黒の車両じゃなくて、クラウンとか、そう言う渋めの乗用車に乗っている感じ?


その覆面に乗せられているわけですが・・・。


って言うか警察連中に言いたい!!

覆面とか卑怯だろ!!!そんなのに乗られて取り締まりでもしてみろ!!運が悪ければ絶対に捕まる自信がある!!

何なら速度違反とか、だったら、法定速度以上にスピードが出ない様に自動車メーカー各社作り直すべきだと思うんだ!!

そもそも、自動運転しろよ、自動運転!!

 そしたら、違反なんていう概念自体無くなるんじゃねえのか?

自動走行する箱、になったら、飲酒運転という法律すらも無くなると思うんだ。

そしたら死亡事故も無くなって、皆ハッピー、ハッピー!!


あと、茂みの中に隠れるのは止めろよ!!

交通違反しそうなところで、茂みとか、物陰とかに隠れて、取り締まるのって卑怯だろ!?

国家権力が、なんでそんなこそこそと隠れるような姑息な真似してるんだよ!!??

お前らあれか!!??盗撮魔とかストーカとか窃盗犯とやってること一緒だって自覚あるのか!?

あれで捕まっている大人を見て、ざまあみろ!とか内心思っている自分もどこかで罰が当たるんだろうけどな・・・・。


でも僕、卑怯だと思うんですよねえ??


そう思いませんか!!??ねえ!!??

さっきから一言もしゃべりませんけれども同乗者の方!!

自分から誘っておいて一言もしゃべんねえとか、どういう料簡してんだよ!!??


お前はあれか??

隣同士で英会話しましょう、ってなった時に、私こいつと話したくないよ、ってあからさまに俯く女子かなんかなの!?

爪とか気にしてんじゃねえよ!!

教師を気にしろ、教師を!!!

何だったら、英語の実習とか、外国人の助っ人みたいなやつがいるせいで、あいつら恐れなしに陽気に絡んでくるから、厄介なんだよ!!


「ヘイ!!レッツスピーキン!!」


とか陽気に言われても、相棒が悪いんだから、どうしようもなくない??

何となく不器用に笑い返したあと、「じゃあ、あの・・・。俺たちも・・・」なんて話しかけようものなら、「はあ・・・」とか溜息つかれてこっちが聞こえないような声でぼそぼそしゃべるんだぞ!?


お前、普段休み時間の時、馬鹿みたいに騒いでるだろうが!!??

その元気はどこに行ったんですかあ!!??

休み時間で全部使いきっちゃうから授業中は充電でもしているんですかねえ??



「何急に不機嫌になってんだよ?」


おっと!!犬飼さんに言われてようやく気付いたが、過去の黒歴史に囚われ帰ってこれなくなるところだった・・・。危ない、危ない・・・。


「って言うか、どこに向かってるんですか?それに、早く本題に入ってくださいよ」

車は、どんどんと街中を外れ、郊外へと向かっていく。

気付けば、オフィス街を抜け、大きな道路へと合流したかと思うと、工場地帯へと突入していた。


周りは、大きな工場群が並び、遠くに目を向けると、山並みが見える。

何の会社の工場かも分からない、ロゴがでかでかと書かれた建物を何とはなしに見つめていると、ふと、隣町へと向かっているのではないか?と気付く。


だが、それが何のために?と聞かれれば、さっぱり理解できない。


「ここら辺もだいぶ変わったよな・・・。昔は、何にもない、田んぼと畑ばっかりだったのになあ・・・・」


昔って、いつのころの話よ?

犬飼さんが今、五十代だとして・・・・。十代のころ、もしくは十代前半とかの話だったら・・・・。四十年前??それってひと昔、ふた昔、とかの次元の話じゃねえぞ?


たった十年で世界は激変してしまう時代だ。

産業革命以降、IT革命、と呼ばれる第三の革命が終わった後の時代に生きているんだぞ?

そんな時代で、江戸時代みたいな昔懐かしい暮らしを、庶民が貧しくも寄り添いあっていた時代をなぞって、つつましやかに暮らすとかありえないだろ?

そりゃ変わりもするさ。

誰が、戦後、何もない焼け野原の日本を見て、カラーテレビに象徴される、家電製品の普及を夢想しただろうか?

東京オリンピックに沸く東京で、あれだけの人がいながら、一体誰が、インターネット、そして携帯電話の普及を予想しただろうか?

携帯電話なんて、初めて登場した時は、肩掛け鞄みたいな大きさだったらしいじゃねえか?

あれを見て、新しい物好き以外は、皆、陰でくすくす馬鹿にして笑ってたんだろうけれども、今じゃあ、逆に携帯電話を持っていない奴の方が、馬鹿にされる時代だ。


そんな時代に、郊外とは言え、街から近いこの場所が、昔のまま、変わらずにあったとしたら、それはもう奇跡だよ。

何なら、東京や大阪、京都とか、百万人都市からかけ離れた、知床半島とか、五島列島ならそんなこともあり得るんだろうけれど、俺たちの育ったこの街で、そんなことが起こるはずもないだろうに。


「これから向かうのは、何の変哲もねえ街。お前らが今住んでいる街と、そう大差ねえ、隣町だ」


ようやく目的地を話した犬飼さんは、しかし、それでもまだ、どうしてそこへ向かうのか?何のために隣町へと行くのか?という説明をしないまま、車を走らせ続ける。


そのまま走り続けること三十分ほどだろうか?

途中から眠くなって、寝てしまっていたから、時間はあいまいだ。



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