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孤独な迷探偵  作者: 高橋はるか
第一章 座禅しながら人は死ねるのか??
29/55

28どこから調達したの??

「やあやあ来たか!!」

鷹揚に両手を広げ迎えてくれる佐倉先生に、

「先生・・・・。この時間はまだ五時限目の授業中なんですけど・・・??」

と呆れ顔で言うと、きょとん、とした顔で、

「え?それは知ってるけど、でも受験生なら問題ないよね?」

と返されてしまった。


・・・・はあ・・・・。まあ、問題はないからいいんだけど・・・・。それ、少なくとも先生が言っていいことなの??


「だって授業の進行的には、もう自習みたいなことしかしてないんでしょ??」


それは偏見だ。

まだ、カリキュラム的に終わっていない授業は多い。


「いや、まだ歴史とか、教科書全部終わってませんし・・・」

「歴史いぃ!!??どうせ残ってるのなんて近代か現代だろ!?戦争の話か消費増税の話だってそんなの!!山本五十六元帥と平成五年に消費増税ってことだけ覚えとけば大丈夫!!」

随分偏った知識しか教えてくれない・・・。

それ以外にももっといろいろあると思うんだけど?五十五年体制とか・・・。地方創生とか・・・??それは政治経済の授業か??


「国語だって・・・・まだ教科書全部終わってませんし・・・」


「あんなの読んだって読まなくたって変わんないよ!!!国語は感性だ!!感性!!」

そうかもしれないけれど・・・・。

それ、国語の伊藤の前で言わないほうがいいと思うぞ?


「数学とか・・・・」


「・・・・うん・・・。数学は・・・・ごめん・・・・」

急にしおらしくなった!?

まさか数学は苦手なのか!?


「先生ってもしかして・・・・??」


「ああそうだよ!!!数学は苦手だよ!!!って言うか、もう、中学生レベルで良く分からなかったよ!!なんだよ!?確率とか!!解き方が分からないから必死に全部の可能性を書き出してようやく解けたと思ったら、あと分母が二、足りないって!!!なんで!?なんでなの!!??」

「お・・・・落ち着いてください・・・!!落ち着いて!!」


おお・・・!?急にどうしたんだこの人・・・??


「だいたい!!小学生まで円周率は3・14って教えて置いて!!!それが急にパイになるって!!!なんで!?どうやったらそんな記号が出てくるの!!??って言うか数学者たちはそれでいいの!!??数字の横に記号が付いて、はい、回答ですって!!気持ち悪く無いの!!??」

「おお・・・・??・・・そう・・・ですか・・・??」


あれは、一生割り切れない円周率を表しているだけだと思うんだが・・・・。って言うか、何だったら3・14を計算させられていた小学校の時に比べて、よほど簡単な気がするんですけど??


「いやいや!!パイはまだいい!!!パイはまだ許すよ!!!」

よかった・・・・。パイは許してもらえたみたい・・・・。

でもじゃあ何が許せないんだろうか??


「何だよ!!!サイン、コサイン、タンジェントって!!!???こいつら何者なの!!?そもそも数字の横にサイン、コサイン、タンジェントって付いて、それで回答です、っていやいや!!!なんで数字と横文字が同居しているの!!!??それを回答にしていいの!!??」


二等辺三角形の線分の長さを差す公式だから、いいんじゃないだろうか?駄目なのか??

あれで微分積分とかグラフとの相乗問題とか来たら流石に俺も手を焼くけれども、あれ単体ならそんなに難しい物でもないと思うんだけど?

やっぱり駄目なの??


「・・・・微分積分とか・・・・。もう覚えてないし・・・・」


何その寂しげな横顔・・・・??

親の転勤の都合で引っ越していった親友のことでも思い出しているのか??

くそっ!!涙が・・・・!!


あ、俺よく考えれば今まで友達とかいたこと無かったから分からないわ。

・・・・まあ、冗談はさておき。


「って言うか意外ですね・・・・」

「何が??」

「だって茜って数学の天才?なんですよね?その姉の佐倉先生が、数学そんなに苦手にしているなんて・・・・」

最後まで言い切らないうちに、

「呼んだ?」

と奥の、カーテンで仕切られたベッドから声が聞こえてきて、ひょっこりと顔をのぞかせたのは・・・・。



「なんじゃそりゃああああああ!!!!!????」



ここが保健室だと言うことも忘れて大声を出してしまったけれど、他に利用者居ないからいいよね??

そりゃ大声も出るさ!!だって・・・・!!!

「似合う??」

くるり、と奥から出てきた茜が一周ターンをするのに合わせて、ひらり、とスカートの裾が舞う。


「いや・・・・。あの・・・・。それは・・・・??」


似合う!!めちゃくちゃ似合っている!!!

その可憐な容姿、幼い顔立ち、どこを切り取っても非難のしようがない美少女女子高生だ!!!

それでもあえて言わせてもらおう!!!



「って言うかなんでうちの学校の制服着てるのおおおおお!!!!!???」



「お姉ちゃんがこれ着ろって」

「犯人はあんたか!!!って言うかどうやって手に入れたんですか!!??」

まさかじゃないけれどたったこれだけのために仕立てた、とか??


「あれ?私この学校の卒業生だって、言ってなかったっけ??」


いや・・・・知らんし・・・・。

そんな当たり前のように言われても、分からないし・・・・。


「いや、初めて知りましたよ・・・・」

「茜は高校に通わなかったから制服とかは持ってないけれど、私はこの高校に通っていたから、制服持ってたんだ。それを着させてみました!!どう??似合うでしょ??」

なんであんたが自慢気なの??

「まあ・・・・似合ってるんじゃないですか??」

にっこりと、上機嫌に笑う佐倉先生に、しまった!?揶揄われる!?とヒヤッとしたが、彼女はそれ以上何も言って来なかった。



「さあ、深冬も来たところで、気を取り直して現場に行こうか!!」

レッツゴー、とでも言うように先生は拳を突き上げるが、え?本当にこのまま行くつもりなの??

「え・・・??いいんですか!?このまま行ってもいいんですか!?」

他校の生徒って校内に勝手に入ることできないよね??

「何が?」

「当然だろ?」

俺の心配をよそに、茜も先生もぽかんとしている。

「いやいや!!!こんな制服よりも、しっかりとしたスーツの方が良かったんじゃあ・・・・??」

「なんで?」

「どうして??」

え??俺が間違っているの??いやいや!!さも当然、みたいな二人の迫力に負けるな!!俺!!

「いやいや!!他校の生徒は特別な許可が無ければ校内に入れないって校則で決まってて・・・・」


「私、高校生じゃないよ?」


・・・そう言われればそうか・・・??

いや、そうなのか??それでよかったのか??


「なんで急に糞真面目になるんだよ?別にバレなきゃいいんだろ??って言うか、良く校則なんて覚えているな!?あの、およそ百ページにも及ぶ生徒手帳をまさか読んだのか!?」


そこに文字があれば読む!それが読書家たる者の宿命!!

あれを今度の感想文の題材にしようかな??


「・・・・・だって・・・、入学式の時って暇でしたし・・・。ああ!!もう!!!そんなことより!!!兎に角!!いいんですよね!!??もう!!この学校に無関係者が、無断で立ち入りしても!!良かったんですよね!!??」

「別にバレなきゃよくない??」

おう・・・。あんた止める側だと思うんだけどね・・・??

まあ、先生がそれでいいならいいと思うよ??

まさか、スケープゴートとかにされないでしょ流石に。先生の妹なんだから・・・。


「はあ・・・・。まあ、じゃあ行きますか・・・」


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