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孤独な迷探偵  作者: 高橋はるか
第一章 座禅しながら人は死ねるのか??
20/55

19急いでる時ほど信号って赤になるよね・・・

「着いたぞ」

なんてことはない。それ以降は終始無言だった。

気まずいか?だって??誰に聞いてるんだよ!?この俺様だぞ!?むしろ、生き生きしてたくらいだぜ!!

窓の外を流れる風景とか、人間を観察してだな・・・・。

まあ、俺の沈黙シリーズに新たな歴史が加わったわけだが、そんなことは、今はどうでもいい。


「二人はもう着いてたみたいだな」


そりゃそうだろうさ。

もう一度言う!!そりゃそうだろ!!だって、


「犬飼さん・・・・、随分信号に捕まりましたね・・・?もしかして、ここに来るまでの信号、全部犬飼さんの目の前で赤になりませんでした?」


このおっさん、恐ろしいくらいに信号に捕まるんだもん。

って言うか、冗談抜きで!!このおっさんの車両には、信号機を赤にする特殊な装置でも搭載しているのか?って疑ってたもん、途中から・・・。


「ほっとけ!!」


気にしてたのか・・・・。


「犬飼さん遅ーい!!なんで同じ時間に出て、十分以上も待たされなきゃいけないの?」

「すまん、すまん・・・・。途中信号機に捕まってな・・・・」

え?そうだったか・・・・??そうだったか・・・・??いや、違うだろ。


「途中って言うか、終始だろ・・・・?」

「うっせ!!」

「またあ!?勘弁してよ犬飼さん・・・・。もうずっとサイレン鳴らして走ったらいいじゃん・・・??」

「それは国家権力の私的利用で、横暴だろ・・・・。とにかく!!すぐに現場見に行くぞ!!!付いて来い!!」


ぷんすかと怒り出した犬飼さんは、そのまま、俺たちにとっては勝手知った校舎の中を、本当に大丈夫か?と疑わしい足取りで進みだしてしまった。

「犬飼さん、いつもああなんだよ・・・・。本人も気にしてて、そのことに触れたら拗ねちゃう人だからあんまり触れてやるなよ?」

いやいや、佐倉先生が傷口広げてたように見えますけど・・・・?



それで・・・。先頭に立ってくれるのは良いんですけど・・・・。

「・・・あれえ・・・・??どっちだったかな・・・・??」

早速に迷子になってませんか・・・・??

「いや・・・・犬飼さん、あっちじゃないですか?」

見かねた佐倉先生が先導し始めた。

「いやあ!!すまん!!すまん!!何せこの校舎広いからな・・・・。ましてや新校舎を建設するために、隣の土地まで買ったんだろ?そりゃ迷うっつうの!!」

じゃあ、付いて来いとか恰好よく言うなよ。


数分も歩いただろうか?見慣れたはずの学校だが、週末の学校というのはまた違う気がする。

何より人が少ない!!

皆が揃いの制服に袖を通し、校舎内を我が物顔で歩いている姿は、一種息苦しさを感じるほどだが、週末に限っては、制服姿の生徒など、本当に数えるほどだ。


・・・・まあ、俺もその一人なんだけど・・・・。というのは置いておいて。


色とりどりのジャージに袖を通し、もしくは、揃いのユニフォームを着て、部活動にいそしむ学生諸君ばかり。

普段、学校では、おしゃれができないから、運動服くらいはおしゃれにしようとでも言うのか?まるで、動物園の南国鳥コーナー、もしくは、水族館の南国魚コーナーにでもいるかのようなカラフルさだ。

どうでもいいけど、なんであんなに南国の生き物ってカラフルなの?

目立つことで、求愛しやすくなるって聞いたとこがあるけれど、目立ちすぎてその前に天敵に狩られたら洒落にならんと思うんだけど?

つまりは、太く短く、華々しい生を生きるか、もしくは細く長く、単調な生を生きるか、ということなのだろうか?であれば、俺は長生きしたい。

何故かって?だって、今が単調、どころか灰色の人生なのだ。だったら、寿命くらいは永遠とは言わないが、それこそ百歳くらいまでは生きてやりたい。


・・・・まあ、寝たきりとかは嫌だけど・・・・。

そうだな・・・・。できればスクワット、腕立て伏せ、背筋、腹筋が、それぞれ五十回できるくらいは健康でいたい。

・・・・いや、まあ、無理だな。今だって二十が精いっぱいなんだから・・・・。


「ここだ、ここだ」

随分物思いにふけってしまっていたようだ。

現場となったプレハブ小屋は、ブルーシートに覆われていて、警察はすでにほとんどが撤収していたが、立ち入り禁止の線と、数人の警官と思しき男たちのせいで中をうかがい知ることはできない。

そんな中でも、一番年配と思しき初老の男性が、こちらを見咎めると、近寄ってきた。

大丈夫なのだろうか・・・・??


「どうも犬飼さん。お疲れ様です。で?そこの方々は?」

「ああ。今回協力を依頼した外部アドバイザーだな。特にこの子は」

「・・・うぉれ!?」


うえ!?俺??俺が何なの!?何かした!?

唐突に指さされ、面食らって変な声を上げてしまった・・・・。恥ずかしい・・・・。


「この学校に通う生徒さんなんだが、彼に事情聴取を、な?」

痛い!痛い!!分かったから、肩を万力で締め上げるように掴むのは止めて!!


「え・・・。まあ・・・・はは!!」


分かったから!!ごまかせって言うことだろ!?安心しなさい!!

こういう時の必殺技を発動してやるぜ!!

秘技『笑ってごまかせ』だ!!どうだ!?


「ふーん・・・・??なんか・・・・本当ですか??随分と頼りない気が・・・・」


何だと!?・・・・まあ、そりゃそうだ・・・・。なにせ、ここ数週間・・・・。いや、下手したらここ数か月まともに笑ったことが無いかもしれないのだから・・・。

・・・・笑い方、忘れちゃったな・・・・。


「何だって!?確かによくよく見てみりゃ・・・・・そうかもな!!って言うのは冗談。こっちの二人が、佐倉姉妹だ。ほれ、あの・・・・」


あの、って。いやいや、それで通じるはずが・・・・


「ああ!!あの佐倉姉妹ですか!!??ほお!!噂に違わぬ美人姉妹ですな!!いやはや!!お会いできて光栄だ・・・・。私は、鑑識の清水っていう者ですが、以降お見知りおきを」

「清水さんね。こちらこそ、よろしくお願いします」

「よろしく」


差し出された手を二人が握り返すことはしなかったが、失礼ではないか?と戦々恐々する俺をしり目に、しかし、清水さんは一向気にする風もなく、何もなかったかのように手を戻した。


「それで犬飼さん。このお二人を連れてきたと言うことは?」


いやいや!!なんのあれもなく話し始めたけど、恥ずかしくないのかな!?

俺だったら駄目だ・・・・・。

俺だったら・・・・。手を空中に浮かべたまま泣いちゃいそうだ。


「まあ、そうだな。今回もこの二人に捜査協力を願おうかな?と」

「ははあ・・・・。私は良い機会です。このお二人がその頭脳をいかんなく発揮されるところを見てみたい、と嬉しく思っていますが、署長はそうもいかないんじゃないですか?」


いや、むしろ、署長の方が普通だと思うんだが、逆に何でファンがいるんだよ・・・・??


「まあ、そうだわな。だから、今、署長のとこに、誠を行かせたよ」

「ああ、小鳥遊くんですか・・・・。彼も気の毒に・・・・」

誰だろう・・・・??

「いいんだよ、あいつ署長に好かれているから、俺よりもよほどうまく説明してくるだろ・・・・。って言うか、文句言うくらいだったら、自分で見に来い!!ってんだよ!!そんで自分で解決しちまえばいい話だろうが」

「・・・・まあ、時間がないのは事実だけれど、署長としては面白くないでしょうねえ」

時間がない?それはどういう意味だろうか・・・・??

「とにかく!!ここで立ち話もなんだ。中に入るぞ!!」

そう言うと、立ち入り禁止のテープを楽々とまたいで、ブルーシートをめくりあげ、その奥へと消えてしまう。

躊躇も音もなく彼の後ろへついて行く茜を追う先生。


「あ・・・ちょっ・・・!」


そして、その先生を追う俺。

それはそうだろう?だって、こんな経験初めてするんだ、緊張くらいはする。



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