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孤独な迷探偵  作者: 高橋はるか
第一章 座禅しながら人は死ねるのか??
16/55

15私めが悪うございました・・・・

「で!!!???」

出たよ、で?が・・・・。

まあ、今回の、で?は、分かるっちゃ分かるんだけどね・・・・。

「すみませぬ・・・」

「それだけ??」

怖いんですけど・・・・。

さっきから十分くらい冷たくて硬い床に正座させられてこっちは辛いのです・・・。

茜みたいに堂々として、気にしないでほしい・・・・あ、いや、何でもないです。何でもないんで睨まないでください!!

「はあ・・・・まあ、私が冗談で昨日六時に来いって言ったのが悪いんだろうけど・・・・」

「いや、まあ、そうだと思いますけど・・・・」

「何だって?」

「いや!!あの!!冗談を真に受けてすみませんでした!!!心底から反省してますから!!だからどうにか振り上げたその拳を下してください!!!」

ゆっくりと、振り下ろされた拳をびくびくしながら見つめていたけど、あれ、本当に洒落にならんのだ。なまじ握力が異様なだけあって、一瞬意識が飛びかけた・・・・。鼻、曲がってないよね??


「深冬、お姉ちゃんあれ冗談で言ってなかった」

「・・・・え・・・??」


じゃあ六時に来いって言ったのはやっぱり本気で、それをすっかり忘れてて寝坊したところに俺が来たってこと・・・・??

それ・・・、俺悪いの・・・・??


「なんだその勝ち誇った顔はあああああああ!!!!!?????」

「ひいいいいぃぃぃぃぃぃ!!!!!???ごめんなさい、ごめんなさい。ごめんなさいいいいいいぃぃぃぃぃぃ!!!!!!」

「そもそも、女性が二人でいるんだ、インターホンを鳴らして・・・・、鳴らしていたか・・・・。いやいや、勝手に入ってくる奴が・・・・・。いや、茜が出たのか・・・・・。それにしたって、こんな非常識な時間にい・・・・・。・・・・私が呼んだのか・・・・・」


いやいやいやいや!!!!???どう考えてもあなたが悪いんでしょ!!!??俺悪く無くねええええええええ!!!!???


「でも!!!女性の裸・・・・とはいかないまでもあられもない姿を見たんだ!!!どう責任を取ってくれるつもりだ!!!???」


責任!?責任ってなんだ!?どう償えばいいのだ!!??確かに俺が悪くはない!!悪くはないんだが・・・・。罪を犯してしまったのも事実・・・・。

かくなる上は・・・・。


「・・・・そうですよね・・・・。警察に出頭します・・・・」


携帯を取り出して、一、一、〇、と番号を押す。

ああ・・・・。短かった俺の人生・・・・。これからは性犯罪者、というレッテルを張られ生きて行かなければならないのか・・・・。

はは・・・・。刑務所っていったいどんなところなんだろうね・・・・?

凶悪な囚人が雑魚寝していて、一番下っ端で若い俺は、飯もろくにもらえないんだろうな・・・・。


「はい。こちら警察、どうされましたでしょうか?」


存外若い女性の声に、驚くよりも目の前が真っ暗になったような気がする。

「・・・あの・・・僕・・・罪を・・・・」

「いやいやいやいや!!!!待て待て待て!!!!!」

ぽかんと成り行きを見守っていた佐倉先生が、慌てて俺の手から携帯を取り上げると、「冗談です。気にしないでください!!」と電話口に告げると、ぷつり、とそのまま返答も待たずに切ってしまった。

「何をやっているんだよ!!??」

どうしてそんなに慌てているのだろうか??

「なにって・・・・。自首・・・・ですけど・・・・??」

あれ?間違っていただろうか??警察って一、一、〇じゃなく、一、一、九だっただろうか??

「いやいやいや!!!??出頭って!!!!??一体どうした!!!!???」

もしや・・・・!?

ひゅっ、と首筋が冷えた。

俺の勘違いで、先生が言いたかったのは、今すぐにここで首を吊れ、ということなのか!?命を持って償えと!!??


・・・・まあ、仕方ない・・・・。そう言われてもしょうがない・・・・。


「そう・・・・ですよね・・・・・。そんなこと、先生は望んでませんよね・・・・」

「うんうん。分かればいいんだ!!全く・・・・驚いたぞ・・・・」


二人に迷惑を掛けない死に方は・・・・??首を吊る、じゃあ、苦しそうだし、見苦しいことになる。

包丁で腕を斬るか??血がいっぱい出て部屋の中が血だらけになって二人の迷惑だ。それに・・・・痛そう・・・・。

もっと直接的で、簡単で、一瞬の方法は・・・・。

ここは四階か・・・・。打ち所が悪ければいけるな・・・・。


「本当に極端というか・・・。短絡的というか・・・・。あれ・・・??どこ行くの・・・・??」

窓ガラスに手をかけた俺を、見とがめた先生が、怯えたような目で尋ねてくる。

大丈夫です。お二人に迷惑はかけません・・・・。

「なにって・・・・。死んで詫びようかと・・・・」

「は・・・・・??」

「短い間でしたけど、楽しかったです。本当にすみませんでした・・・・」


「いやいやいやいやいや!!!!!!????待て待て待て待てえええええ!!!!!その発想が普通じゃないいいいいい!!!!!!」


頬に感じる風は、冷たく、それでいてどこか心地よい。

さあ、と覚悟を決めた瞬間、後ろから抱き留められた。

だれ・・・が・・・・??

「死んじゃやだ」

「あかね・・・・」

そして、もう一人、慌てたように駆け寄って来たかと思うと、思い切り俺の背中を引っ張る。

「うわあああああああ!!!!!死んだら駄目だああああああ!!!!!」

「って先生!!??どうして止めるんですか!!??うわっ!?」

勢い付きすぎて思い切り三人、ゴロゴロと地面を転がり、壁にぶつかってようやく止まった。

「痛い」

「痛ってええ・・・・」

「うう・・・。良かった、良かったあああ・・・・・」


そのまま二人に抱きしめられたまま、何が何だか分からず呆けてしまう。

・・・・うん。何が起こったか分かんないけど・・・・。いいね。

温かいし、いい匂いだ・・・・。こんなこと言うのは不謹慎かもしれないけど、生きててよかった。今ならこのまま死んでもいいかも・・・・。



「全く!!!君という奴は!!!!!命を粗末にするんじゃない!!!!」

これが何度目になるだろうか?

何度も、何度も同じことを繰り返していて、いい加減飽きるところだが、彼女が俺のことを随分と心配してくれていることが伝わってきて、あんまり下手なことも言えない。

「本当に短絡的な男だ!!!責任って、そう言う意味じゃないだろう!!??」

違ったのか・・・・。じゃあどういう意味で言ったんだろうか・・・・?


「お姉ちゃんは、しょ・・・・」

「茜!!!それ以上言うんじゃない!!!」

しょ・・・・??しょ、何だろうか??しょ、しょ、しょ・・・・。生姜焼き定食、とか?

「って言うか茜!!!お前も見られただろ!!恥ずかしくないのか!!??」

「私シャツ着てたから大事なとこ隠れてたし」

いや、うん、あの・・・・、随分スケスケだったけどね・・・。

あ!!いや!!でも一瞬しか見てないんでそんな、ぎろっ、と睨まないでください!!!

「くっ・・・!!」

「だからお姉ちゃんのパンツ一枚で寝る癖止めた方がいい、っていつも言ってたのに」

「お前も似たようなもんだろうが!!!」

うん。確かに・・・・。

「でもシャツ着てた」

「くっそ・・・・!!!ええい!!!この話はもうここまで!!!!」


え・・・・・・?いいの・・・・??許してもらえたの・・・・??本当に・・・・??


「朝ご飯は食べてきたのか??」

「いや・・・・、別に食べなくても・・・・」

「なにい!?若い時からそんなんじゃあ、駄目だぞ!!!」

何か食べさせてくれるんだろうか?優しい・・・・。

「まあ、何もないんだけどな」

「何もないんかい!!!!いやいや!!!そこまで行ったら何か出てくる感じじゃないんですか!!??」

期待して損した。

「いや、お腹減ったなあ・・・・、と思ってな。もし何か食べてきたんだったら、癪だなあ、と」

「癪って・・・・言っちゃダメなやつでしょそれ・・・・・」

「という訳で。深冬は片づけをしていてくれ。私たちが何か買ってくるから」

「え・・・・?あ、ちょ!!??」

止める間もあればこそ、こういう時は息ぴったり、気付いたら出て行ってしまった。


「ええ・・・・??やっぱり今日も俺がメインメンバーなの・・・・??」

まあ、もう諦めてたけどね・・・・。

取りあえず、分別だけやっておいて、あとはごみ袋の片づけと、掃除は三人でやろう。



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