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孤独な迷探偵  作者: 高橋はるか
第一章 座禅しながら人は死ねるのか??
15/55

14俺は約束だけは守る男だ!!

翌朝、早朝五時に無理やり起きて、まだ眠っている家族に見とがめられない様にそろり、そろり、と家を後にした。

父親も土曜は基本的に仕事が休みで、母親も同じく。

妹は、部活をしているそうだが、何の部活をしているのか知らないし(どうにも文化系の部活のようだ。中学まで水泳をやっていて、全国大会まで行ったんだから、高校でも同じように水泳をやればいいのに・・・・・。)土曜日は、大体昼まで寝ている。

かく言う俺も本当はそうだ。

だが、昨日、朝六時に来い、と言われ、来なければ迎えに行くとまで脅されたのだ。

本気なのか冗談なのかは知らないが、とにかく今日限り、と我慢して向かうことにした。


「はあ・・・・。はあ・・・・・」


日ごろの運動不足がたたったのだろうか?それとも朝早い時間だからか?まだ覚醒しきっていない体は、たちまちに息切れがする。

冬の到来が近いのだろう、随分と冷え込む朝方の風に、寒い、寒い、とぶつぶつ呟きながら、しかし、昼とは全く趣を異にする街を少しうきうきした気分で歩く。


なんてったって人が少ない!!


俺の苦手な女子高生もいなければ、女子中学生もいない!!ましてや、チンピラ風の若造も、こちらを馬鹿にしたような冷めた目で睨みつけてくるくたびれた大人も、ここでは少数派だ!!

皆少数派!!皆孤独!!

孤独最高!!!

がらがらに空いた電車に軽やかに飛び乗りながら、悠々と座席を占領する。

さながらファーストクラスか?

いつも?いつもは人様に迷惑かけないように足なんて伸ばさないし、何なら隣の人の邪魔にならない様に、足はぴっちりと閉じる方だ。


って言うか、僅かに足を開く程度なら許す!!そんなのは許容範囲内だ。それなのに、満員電車で、足を大股開きで座る奴!!!いったいどういうつもりだ!?これくらい乗客が少なければ目に余るがまあ、許してやらないこともない、満員電車で窮屈な車内でそれは違うだろ!!!

隣の乗客と足でも触れていたいのか!?温もりでも感じたいのか!?

股間という人体の急所を、狙ってくれとばかりに大股開きしてみっともないと思わないのか!?

野生の生き物が、こいつには敵わない、と直感した時に腹を見せて降参のポーズをとるのにそっくりだぞ!?

もし狙撃でもされたらどうするつもりだ!?

それとも自分なりの威嚇でもしているのか!?

俺は、貴様らに股間という急所をさらしても怖くないぞ!!とでも!?

全く・・・・。これだから大人は・・・・。あとチンピラもね。


そんなことを徒然なるままに考えていたら、目的地に着いてしまった。

人間にとって思考するとは、最も崇高な娯楽だ・・・・・。

・・・・どこかの哲学者が言いそうな言葉だな。

 

明るい日のもとで改めて昨日来た雑居ビル?を探したが、中々見つからない。

あれえ・・・・??

ここをこう行って・・・・・。こう行ったら・・・・。たどり着いたような気が・・・。

ほら!!来・・・・て無いや・・・・。

どこだったかな・・・・??

といって、人に聞くのは嫌だし・・・・。って言うか人気がそもそもないし・・・・。

どうしようかな?約束の時間、三十分くらい過ぎちゃったな・・・・。


なんて、うん、うん唸りながら、ようやくたどり着きました!!


本当にね、分からないよ。て言うか分かり辛いよ・・・。

同じような外観のビルが、そこかしこに建っていて、何よりどこの路地も似たような大きさ、造りになっているんだもん・・・・。

「へえ・・・・。探偵事務所だったんだ・・・・」

見上げるビルの四階、看板には、『佐倉探偵事務所』と書かれた看板が出ていた。

「あれが・・・・探偵事務所・・・・??不法占拠したごみ屋敷、の方が正しいんじゃ・・・・??そもそもお客さん、いるんだろうか??」

ひとまず中へ入りますか・・・。入れ違いになっていたらどうしよう・・・・??


しかし、がちゃり、と鍵がかかっていて扉は全く開かない。



・・・・うん・・・・。そんなことだろうと思っていたけれど・・・・・。

取りあえずインターホンだけ鳴らしておくか・・・・。ピンポーン、と間の抜けた音が聞こえてきたが、中から誰かが出てくる気配はない。

どころか、物音一つしない・・・・。

・・・あれ・・・・??



「ええ・・・・??どうすりゃいいの・・・??」

やっぱり入れ違いになってしまったか??だったらここで待っていれば、もう間もなく来るだろうか?

・・・いや、いやいや!!待てよ!!??俺は家族の誰にも行き先を告げずに出てきてしまった・・・・。

もし今そこに、あの二人が現れたら・・・・・。

あの悪夢の再現にならないだろうか・・・・??

佐倉先生は、俺のことを逃げたと思うだろうし、あの母親は、母親で、馬鹿だから佐倉先生が何を言っても聞く耳を持たないかもしれない・・・・。

また警察なんて呼ばれて、捜索願が出された日には・・・・・!?


ええっと・・・!!落ち着け!!!落ち着け俺!!!なに、ここは文明開化の明治時代じゃなし、電話という究極の近代兵器も存在するんだ!!ましてや、一人一台、携帯電話、という物を持たされているこのご時世、大丈夫、大丈夫だ。


・・・佐倉先生の番号は・・・・・。


そう言えば知らなかった!!??

そもそも俺の携帯の電話帳には、母、父、家、の三つしか登録がないんだ!!!・・・・寂しいとか思ってないし!!

 探す手間もなかったけど、どうしようか??

まあ、生憎とこれがあるから、もし何かあれば母親から連絡が来るだろ。

そう安易に考えていいものか・・・・。家に戻ったら・・・・。また行き違いになるんじゃないだろうか・・・??

俺は一体どうすれば・・・・??



がちゃり、とそんな俺をしり目に扉が開き、中から誰かが出てきた。


「あれ?おはよう・・・?こんな早くになに?」

いやいや、こんなに早くってあなた方が呼んだんでしょうが!!そう思いながら振り向いた俺の視界にばっちり飛び込んできたのは・・・・。


「ってええええ!!??茜さん!!???何しているんですか!!!??なんですかその恰好はあああああああ!!??寒くないんですかああああ!!!??」

一糸乱れぬ・・・・じゃあない!!一糸纏わぬ、とはこのことを言うんだろうか?いや、纏ってはいるんだけれどもね・・・・。

白いだぼだぼのシャツを上から一枚。

しかし、それも、ほとんど肌が透けている上に、胸元がざっくりと開きすぎだ!!よほど前衛的なファッションなのか!?・・・やはりファッションと俺は、この世で最も相容れない存在だったようだ・・・・。

そして、何より、シャツ以外は本当に何も着ていない。ということは、下も穿いていないということで・・・・・。

シャツの下から覗く白く細長い太もも、すらりと伸びた足・・・・。そしてその上の・・・・。


いかん!!!見るな!!!見てしまえば何かが終わる気がする!!!


慌てて目をそらしたが、いかんせん健全な男子高校生には刺激が強すぎた。見たい!!という欲求よりも、ものすごい罪悪感との戦い。

ここまで来れば、もはや、理性とかじゃない、何か、とてつもない、いけないことをしているような、犯罪者になってしまったかのような、そんな気分だ。

どうする!?どうするよ俺!?

「ふぁー・・・・。眠い・・・・・。茜・・・・誰だった・・・・??こんな朝早くから・・・・・」

まずい!?そしてもう一人の敵兵が姿を現し・・・・。

動く者の姿を追ってしまうのもまた、哀しき生き物の性。


「おぅ・・・・まいがっ・・・・!!!」


こっちの方が刺激的でした。


「きゃああああああああああ!!!!!!????」


いや、きゃああ、て。あなたそんなキャラじゃないでしょ・・・・??


目の前に拳が迫ってきていた時、驚くほどゆっくりと流れる時間の中で、なんてことはない、胸でっかいな・・・・。意外と着やせするんだ・・・・・。なんてことを考えていたのは、絶対、絶対!!秘密だ。



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