11覚悟は必要だ・・・・だって、女の子の一人暮らしよ??②
「ただいま」
「戻ったぞー。片づけはどうなってるー?順調・・・・・か・・・・・??」
がちゃり、と扉が開けられ、二人が帰ってくるのと、つまみ上げたパンツとブラジャーをまじまじと見つめる俺の視線が交錯する。
「お・・・・お帰り・・・・」
やばい!!やばい!!!やばい、やばい!!!!???
見られた・・・・見られたぞ!!???どうする!!??どうするよ俺!!???
どっくん、どっくん、と、うるさいくらいに脈打つ鼓動の音に、噴き出す汗。
これは・・・・死ぬのか・・・・??社会的にも、現実的にも??
そして俺の選んだ選択肢は、手にしていたパンツとブラジャー(黒のレース、意外と攻めたラインのエっロいやつ)を、ゆっくりと地面に戻して、まるで何もなかったかのように二人を迎え入れるというもの。
「遅かったな・・・・・」
「いや。深冬くん?何してたのかな??」
しかし、それでは騙せなかったようで、佐倉先生の冷たい視線が、降り注ぐ。
ですよね!!!そう思っていましたけどね!!!
「いや・・・・!!あの・・・・!!これは別に見ようとか・・・!!!なんなら盗もうとかそんなんじゃなく・・・・!!!落ちてたんで拾ったというか!!そう!!!ゴミなのかどうか選別しようとして!!!」
「大丈夫。深冬も男だから気にしない」
「やめてえええええ!!!!!!やめたげてえええええ!!!!それだけ聞いたら俺がこの下着を盗もうとしてたみたいじゃん!!!??俺が変態みたいじゃん!!!???」
「違うの?・・・・あ、ごめん。匂い嗅ぐつもりだった、とか?」
違うし!!なんでもっとひどい解釈になるの!?それやられて、その反応って、むしろ淡白すぎて怖いんですけど・・・・。
「違うから!!!??ねえ!!!だって!!!こんなの出てきたら普通はどうすんのかな?って思うでしょ!!!??思いますよねえええ????」
なので、さっきからうすら寒い笑みを浮かべる先生、もう少しお話しましょうよ?
「どうだか!!!」
「せんせえ。生徒、疑う、良くない」
「なんで急に片言になった・・・・?はあ、まあ、仕方ないっちゃ仕方ないか・・・・」
「せんせえ・・・・!!」
俺の言い分を認めてくれたのだろう・・・・。何気に優しいところはある。
「だから罰として明日も手伝うこと」
「ううううううぅぅぅぅぅ!!!!!!」
・・・・背に腹は代えられない、か。
「・・・・いい、ですよ・・・・・」
「ふっ、罪を認めたか」
「認めてねええええええしいいいいいい!!!!!!ってかそれなら手伝い来ないしいいいい!!!」
「困ったなあ・・・・。そうなると、来週から、学校中に噂が広まる訳だが・・・・。まあ、私は、心の広い私は、君の言い分を信じて、こんな面白い話があったんだ、ってポロリと同僚に話すかもしれないが・・・・。彼ら、彼女らが、どう捉えるかは私にも何ともできない頭の痛い問題だなあ・・・・・」
「・・・・・脅す気ですか?」
「まさか!!??教育者たるこの私が!!??そんな馬鹿な!!???だってこれは笑い話なんでしょ!!???それなら誰かに話していいわよねえ??でも、でも!!深冬くんが明日も明後日も手伝うって言うなら、お姉さんお口固くなっちゃうかなー??」
くそ!!こいつ・・・・!!本当にむかつく・・・・!!
「・・・!!分かりましたよ!!手伝えばいいんでしょ!!手伝えば!!!」
「ありがとうー!!いやあ助かったよ!!実はここに帰ってきたとき、思いのほか片付いてて、正直君が、物色してた、とかは疑ってなかったんだ!!」
本当かよ、嘘臭えええええ・・・・・・。
「深冬」
「なんだよ?」
急に名前を呼ばれ振り向くと、茜が、俺の肩にぽんと手を置いていた。
「よくやった」
「上司か!!!???俺の上司なんかよ!!!???自分はひとっ風呂浴びて来て!!!俺は、ごみの中、這うように片づけして!!!ようやく戻って来たな、と思ったら今度は罪人扱いしてええええええ!!!!!!!」
「泣くな」
頭をポンポンされてしまった。
恥ずかしい・・・。
「泣いてねえし!!」
思わず振り払ってしまった後に、まずい!!と思ったが、茜は一切気にしていないようだ。良かった・・・・。
というか・・・・・。うん・・・・。何となく知ってはいたことだけど・・・・。
改めてみると、綺麗だった。
まあ、当然のことなんだけど、佐倉先生の妹、ということで、確かに似ている。そして、恐ろしいことに、佐倉先生が、大人の艶めいた妖艶な美しさがあるとするならば、茜の方は、まるで作り物のような可憐な美しさだ。
精緻なガラス細工のような・・・・。細部まで造りこまれた芸術品のような・・・・。
触れれば壊れてしまいそうな華奢な体つきも、その幻想に一躍買っている。
そして、そうかと思えば・・・・。
「意外と胸が大きくてびっくりしたか?」
「ええまあ・・・・」
男の性、とでも言うのか、見まい、見まい、としてもどうしても目線はそちらへ行ってしまう。
「そこの、君が拾ったブラジャーも、想像より随分と大きかったろう??」
「ええ、最初は先生のかと・・・・・。って!!!何言わせてるんですか!!??」
しまった!!??俺は何をうっかり!!
「どうやらきちんと変態だったようだな・・・・」
「せんせい!?その・・・冗談です!!冗談なんで!!!腕まくりとかしないでください!!!」
「なに。ちょっとお仕置きをしようと思ってな」
す、っと手のひらが首元に伸びてきた。
「止めて!!!その約三百ページの雑誌を重ねて四等分にちぎる握力で何をするつもりですか!!!???」
目の前まで迫ってきた細長い白魚のような指が・・・・・。
「やめてえええええええ!!!!!?????」
丸められたかと思ったら、
ばしん!!と、デコピンには非ざる音を立てて額に突き刺さる。
「痛ったい!!??」
「今回はこれで許してやるけど、次、茜を、私の妹を変な目で見たら・・・・」
きゅ、っと何かを握りつぶすような動作をしてみせた。
「こうだからな?」
「ひえっ!!??」
怖いんですけど・・・・!!??その人間離れした超人的握力で、何を握りつぶすつもりですか・・・・??




