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孤独な迷探偵  作者: 高橋はるか
第一章 座禅しながら人は死ねるのか??
12/55

11覚悟は必要だ・・・・だって、女の子の一人暮らしよ??②

「ただいま」

「戻ったぞー。片づけはどうなってるー?順調・・・・・か・・・・・??」


がちゃり、と扉が開けられ、二人が帰ってくるのと、つまみ上げたパンツとブラジャーをまじまじと見つめる俺の視線が交錯する。


「お・・・・お帰り・・・・」

やばい!!やばい!!!やばい、やばい!!!!???

見られた・・・・見られたぞ!!???どうする!!??どうするよ俺!!???

どっくん、どっくん、と、うるさいくらいに脈打つ鼓動の音に、噴き出す汗。

これは・・・・死ぬのか・・・・??社会的にも、現実的にも??


そして俺の選んだ選択肢は、手にしていたパンツとブラジャー(黒のレース、意外と攻めたラインのエっロいやつ)を、ゆっくりと地面に戻して、まるで何もなかったかのように二人を迎え入れるというもの。


「遅かったな・・・・・」


「いや。深冬くん?何してたのかな??」

しかし、それでは騙せなかったようで、佐倉先生の冷たい視線が、降り注ぐ。


ですよね!!!そう思っていましたけどね!!!

「いや・・・・!!あの・・・・!!これは別に見ようとか・・・!!!なんなら盗もうとかそんなんじゃなく・・・・!!!落ちてたんで拾ったというか!!そう!!!ゴミなのかどうか選別しようとして!!!」


「大丈夫。深冬も男だから気にしない」


「やめてえええええ!!!!!!やめたげてえええええ!!!!それだけ聞いたら俺がこの下着を盗もうとしてたみたいじゃん!!!??俺が変態みたいじゃん!!!???」

「違うの?・・・・あ、ごめん。匂い嗅ぐつもりだった、とか?」

違うし!!なんでもっとひどい解釈になるの!?それやられて、その反応って、むしろ淡白すぎて怖いんですけど・・・・。

「違うから!!!??ねえ!!!だって!!!こんなの出てきたら普通はどうすんのかな?って思うでしょ!!!??思いますよねえええ????」

なので、さっきからうすら寒い笑みを浮かべる先生、もう少しお話しましょうよ?

「どうだか!!!」

「せんせえ。生徒、疑う、良くない」

「なんで急に片言になった・・・・?はあ、まあ、仕方ないっちゃ仕方ないか・・・・」

「せんせえ・・・・!!」

俺の言い分を認めてくれたのだろう・・・・。何気に優しいところはある。

「だから罰として明日も手伝うこと」

「ううううううぅぅぅぅぅ!!!!!!」

・・・・背に腹は代えられない、か。

「・・・・いい、ですよ・・・・・」

「ふっ、罪を認めたか」

「認めてねええええええしいいいいいい!!!!!!ってかそれなら手伝い来ないしいいいい!!!」

「困ったなあ・・・・。そうなると、来週から、学校中に噂が広まる訳だが・・・・。まあ、私は、心の広い私は、君の言い分を信じて、こんな面白い話があったんだ、ってポロリと同僚に話すかもしれないが・・・・。彼ら、彼女らが、どう捉えるかは私にも何ともできない頭の痛い問題だなあ・・・・・」

「・・・・・脅す気ですか?」

「まさか!!??教育者たるこの私が!!??そんな馬鹿な!!???だってこれは笑い話なんでしょ!!???それなら誰かに話していいわよねえ??でも、でも!!深冬くんが明日も明後日も手伝うって言うなら、お姉さんお口固くなっちゃうかなー??」


くそ!!こいつ・・・・!!本当にむかつく・・・・!!


「・・・!!分かりましたよ!!手伝えばいいんでしょ!!手伝えば!!!」

「ありがとうー!!いやあ助かったよ!!実はここに帰ってきたとき、思いのほか片付いてて、正直君が、物色してた、とかは疑ってなかったんだ!!」

本当かよ、嘘臭えええええ・・・・・・。


「深冬」

「なんだよ?」

急に名前を呼ばれ振り向くと、茜が、俺の肩にぽんと手を置いていた。


「よくやった」

「上司か!!!???俺の上司なんかよ!!!???自分はひとっ風呂浴びて来て!!!俺は、ごみの中、這うように片づけして!!!ようやく戻って来たな、と思ったら今度は罪人扱いしてええええええ!!!!!!!」

「泣くな」

頭をポンポンされてしまった。

恥ずかしい・・・。

「泣いてねえし!!」

思わず振り払ってしまった後に、まずい!!と思ったが、茜は一切気にしていないようだ。良かった・・・・。


というか・・・・・。うん・・・・。何となく知ってはいたことだけど・・・・。


改めてみると、綺麗だった。

まあ、当然のことなんだけど、佐倉先生の妹、ということで、確かに似ている。そして、恐ろしいことに、佐倉先生が、大人の艶めいた妖艶な美しさがあるとするならば、茜の方は、まるで作り物のような可憐な美しさだ。

精緻なガラス細工のような・・・・。細部まで造りこまれた芸術品のような・・・・。

触れれば壊れてしまいそうな華奢な体つきも、その幻想に一躍買っている。

そして、そうかと思えば・・・・。


「意外と胸が大きくてびっくりしたか?」

「ええまあ・・・・」

男の性、とでも言うのか、見まい、見まい、としてもどうしても目線はそちらへ行ってしまう。

「そこの、君が拾ったブラジャーも、想像より随分と大きかったろう??」

「ええ、最初は先生のかと・・・・・。って!!!何言わせてるんですか!!??」

しまった!!??俺は何をうっかり!!

「どうやらきちんと変態だったようだな・・・・」

「せんせい!?その・・・冗談です!!冗談なんで!!!腕まくりとかしないでください!!!」

「なに。ちょっとお仕置きをしようと思ってな」

す、っと手のひらが首元に伸びてきた。

「止めて!!!その約三百ページの雑誌を重ねて四等分にちぎる握力で何をするつもりですか!!!???」

目の前まで迫ってきた細長い白魚のような指が・・・・・。

「やめてえええええええ!!!!!?????」

丸められたかと思ったら、

ばしん!!と、デコピンには非ざる音を立てて額に突き刺さる。

「痛ったい!!??」

「今回はこれで許してやるけど、次、茜を、私の妹を変な目で見たら・・・・」

きゅ、っと何かを握りつぶすような動作をしてみせた。

「こうだからな?」

「ひえっ!!??」

怖いんですけど・・・・!!??その人間離れした超人的握力で、何を握りつぶすつもりですか・・・・??



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