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孤独な迷探偵  作者: 高橋はるか
第一章 座禅しながら人は死ねるのか??
11/55

10覚悟は必要だ・・・・だって、女の子の一人暮らしよ??①

「って言うか・・・・二人とも・・・・・分別してます・・・??」

ごみ袋を支給されたのはいいが、きちんと燃えるゴミ、燃えないゴミ、資源ゴミに分別しなければいけないのだ。

それも資源ゴミには、ペットボトル、缶、ビン、雑誌等紙類、とかとか、いろいろ分別しなければいけないのだが・・・・・。


「ぶん・・・べつ・・・・??何それ??」


一人はもはや、話にならない。

なんで、未確認生物に会った、みたいにぽかんとしているのだろうか?なんならあなたが、俺にとっては未確認生物だ。

この部屋の主である茜は、適当に手に取った片端から袋の中に入れてしまっている。

あれでは、もう一度分別し直さなければならず二度手間だ。

そしてもう一人はというと・・・・。


「分別う!?大体の物は、高温で熱すれば燃えるんだよ!!って言うか、金属ですら数千度で燃えるんだ!!燃えないって言うなら気合いが足らない気合いが!!」

「ええ・・・・??」

なんでそんな世紀末な考え方しているの・・・?

もしくは、旧態依然の体育会系的な・・・??

練習中水は絶対に飲むなって教わった世代なのかな??それは、科学的に一番駄目だって証明されているんですが・・・・。

「って言うか先生、いい大人なんですから、きちんと分別してくださいよ」

「深冬よ・・・・。大人が全員きちんとしているとは思わないことだ・・・・。そして!!大人がキチンとごみの分別をしていると思わないことだあああ!!!!」

「いや!!そこはきちんとやれよ!!って言うか、いつの間にか名前呼びになっているし・・・」

「なんなら私のことも()()って呼んでもいいぞ?」

「いや、呼ばないですし・・・・。それにかっ・・・、ゕ、花菜さんて名前だって初めて知りましたし・・・」

やっぱり名前を呼ぶのは気恥ずかしい・・・・。

「そうか・・・・。じゃあ、私は深冬って呼ぶね?」

「じゃあ、の意味わかんねえし!!なんでじゃあ、なの!?なんで!?」

「ちっちゃいこと気にすんな」

もう嫌だ・・・・。帰りたい・・・・。帰っていいですかね??

「深冬、深冬」

ちょい、ちょい、と肩を叩かれたので振り返れば、驚くほどの近さに茜の顔があって、思わず「っうおおい!!??」と変な声が出てしまった。

「私のことは茜と呼ぶんだ」

「いや・・・・その・・・・」

「茜」

「だから・・・・あのですね・・・・」

「茜」

「うん・・・・そのお・・・・」

「茜」

「分かったから!!分かりましたから!!!あ!か!ね!!さん!!これでいいんですか!!??」

もうこうなったら意地だ!!それでも気に食わなかったようで、

「さん、はいらない。茜。もう一度」

「あ!か!ね!!」

「うん。満足だ」

はあ・・・・。本当に嫌になってきた・・・・。

「えええーーー!!??ずるい!!!私のことも・・・・!!」

これ以上付き合ってられるか!!

「先生!!そんなことより!!そのお弁当のケースはプラごみです!!袋が違います!!そしてその中の食べ残しは燃えるごみです!!!分別!!!ぶ!ん!!べ!!!つ!!!!」

「はいはい!!分かった分かった!!・・・ったく・・・。小姑かよ」

両手を挙げて降参のポーズをとりながら、渋々分別をし始めたが、それでも、

「うえ・・・・。これいつの食べ残しだよ・・・・。三週間前ええ!??というか茜!!食べられないんなら買うなよ!!このご飯なんて、乾燥しすぎて、もう米に戻っているぞ!?これもう一度炊けばご飯になるんじゃないか!?」

先生の言う通り、そこかしこに散らかっている弁当の食べ残しが、ほとんど手付かずなのだ。半分も食べられていない。

それが、ほとんど腐っていたりして、正直触りたくもない・・・・。

「だって・・・私が食べきれる量のご飯売ってない」

「そうかもしれないが・・・・」

「それに、次の日食べようとしても、いなくなる」

「それえええ!!!それが問題なんだよ!!!弁当がどこかにいなくなるわけないでしょ!!??弁当に足が生えて急に動き回る!?そんなわけないでしょ!!??」

「じゃあ、どこに行くんだろうね?」

ほんとに不思議そうな顔をする物だから、冗談なのか、本気なのか全くわからない。

「・・・・もういい。とにかく!!週末でここを綺麗にして!!もう二度とそんなことにならない様にしよう!!!」

「お姉ちゃん。頑張って」

「・・・・あんたもやるのよ」

苦虫をかみつぶしたような表情で先生は肩を落としてしまった。さっきまでの勢いはどこへ行ったのだろうか?


しかし、のっけからこれでは先が思いやられる・・・・。


そして、どうやらその予感は当たったようで・・・・。


「先生!!!雑誌類は細かくちぎれば燃えるごみに捨てていい訳じゃないんですよ!!!」

「そうなのか・・・??でも資源ごみの日って週一日しかないから、面倒だろ?」

「きちんと資源は資源でまとめなきゃダメです!!!って言うか!!なんで古雑誌を半分にちぎれるんですか!?」

あろうことか佐倉先生は、古雑誌を容易く半分にちぎってしまう。

まるで、障子でも破るみたいに簡単に。

「誰でもできるだろこんなこと??」

「いや・・・・できませんよ・・・・・それに!!それだけじゃなく半分にちぎったそれを重ねてまた半分にちぎっているじゃないですか!!??どうなってるんですか!?」

「だって、そうしないと燃えるごみの袋に入れるのに嵩張るだろ?それに私だって女の子だ。これは流石に少し大変さ」

「・・・・・いや、男でも雑誌半分にちぎれる奴は早々いませんよ・・・・」

「そうなのか??」

きょとんとした顔で聞き返して来るが、一体どんな過酷な環境で育ったんだよ。断崖絶壁の山奥にでも住んでいたのか??


「おい!!茜!!深冬に言われたからって動きを止めるな!!!とにかく自分にできることを探して動け!!でないといつまで経って終わらない!!」

さっきから三十分くらい部屋の真ん中で立ち尽くしていただろうか?正直下手に動かれるよりもそうしてもらった方がいいんだが・・・・。

「だって・・・・何やればいいか分かんない・・・・」

「私もそうだ!!だが、この惨状をまさか助っ人に丸投げして休憩するわけにもいかないだろう!!??動け!!動け!!!」

「むり・・・・お腹減った・・・・」

くう、と可愛らしい音が聞こえてきたと思ったら、ころん、とその場で横になってしまった茜を、佐倉先生が、無理やり起こそうとして、そのまま二人でもつれるようにごみの山に倒れ込んでしまう。



「もういい加減にしてください!!!!」



こんな状態を一時間も続けたのだ、俺は自分の忍耐力がさすがだと思ったね。


「深冬が怒った」

「怒ったな」


一体誰のせいだと・・・・!!!??落ち着け・・・・。落ち着けえ俺・・・・。このままではこの姉妹の策略に嵌まってしまう・・・・。危ない・・・・、危ない・・・・。


「って言うか二人ともむしろ邪魔なんでどこか行ってください!!」


「ひどい言い様だ」

「ああ。だが、生憎と間違っていないな」


「どこかお使いに行くか、それか部屋の隅っこでおとなしくしていてください!!!」


「お使いって、何か買ってくる?」

「隅でおとなしくって・・・・、何か発想が暗いな・・・・まあ!!ちょうどいい!!それなら私たちはお使いにでも行くとしよう!!!」


それはそれでなんだか、寂しい気が・・・・。そんな簡単にいなくなっちゃうの??


「お姉ちゃん。お弁当」

「の、前に!!まずお風呂に行こうか!!一体どれくらいお風呂に入っていないんだ!!??全く!!ひどい臭いがするぞ!?」

「お姉ちゃん、ひどい。私、女の子なのに。ちなみにお風呂は三週間くらい入ってない」


道理で香ばしい異臭を放っていると思ったよ!!

部屋に入った時に感じた獣の臭いは、茜のせいなんだろうな・・・・。

ここはペット可の事務所なのかー、なんてほんの少し感心した自分が恥ずかしい!!


「それなら女の子らしいことをしてみろ!!全く!!三週間風呂に入らないとは・・・・。本当に現代人なのか!?」

「生まれも育ちも」

「それは時代じゃなくて、土地に対して使う言葉だ!!」

また始まってしまった。このままではらちが明かない。

「言い合いはしないでいいからとにかく風呂に行くなら風呂に行ってください!!その間に掃除、片づけはしておきますから・・・・。とにかく!!早く!!」

そろそろ、ごみの臭いと、獣の臭いで気分が悪くなってきていたところだ。どっちかの問題が改善するなら願ったりかなったりだ!!


そう思ったんだけど・・・・。いざ、二人が意気揚々と出かける支度をすると、何と言うか・・・・・。


「じゃあね。元気で」

「任せたぞー」


暢気なもんだ・・・・。今から二人は風呂ですとさ。

って言うか!!!って言うかあああああ!!!!!

少しは躊躇うそぶりを見せてみろよおおおおお!!!!!!

なんでそんな呆気なく行っちゃうの!!??ねえ!!なんで!!??俺、助っ人で呼ばれたんでしょ!!??なんでメインメンバーに昇格されてるの!!??なんなら俺がメインって言うか俺単体って言うか・・・・。

兎に角!!ああいう時だけなんで着替えの下着とタオルは簡単に出てくるの!!??

生活必需品はきちんと把握してるってことですか!!??ああ!!そうですか!!!


「くっそっ!!・・・・くっそ!!!!・・・・くそおおおおおおお!!!!!!!」

明日なんて来てやるものですか!!!今日この場で終わらせて見せますことよおおおおおほほほほほほ!!!!!!!!



と意気込んではみたものの・・・・・。



「終わらねえええええええええ!!!!!!」

なんでこんなに雑誌類が散らかっているんだよ!!それに古本も!!!いちいち縛るのが面倒だ!!!

なんかこう・・・ワンタッチで簡単に縛れる何か、誰か造ってくれねえかな??

それに、弁当の死骸だけじゃない!!なんでこんなに紙パックの緑茶の死骸が転がっているんだ!?

それも全部、三分の一残ってるし!!

牛乳じゃなくてよかった・・・・。なんて言っている場合じゃない!!!いちいち中のお茶捨てて、紙パック開いて、資源ごみとしてまとめて縛るの面倒だな・・・・!!

俺も佐倉先生直伝のちぎり、やろうかな・・・。


いやいや!!!俺は、絶対にそんなことはしない!!!兎に角そんな現実逃避せずに、ここを片付けてやる!!!


「うおおおおおおおおおおおお!!!!!!!って早速!?」

黄ばんだシャツが出てきた。

そして、同じく下着も何着も・・・・・。


「これ捨てていいのか・・・・??」


って言うか、拾ってもいいのか?見てもいいのか?それすら迷ってしまうようなもの出てくるんじゃあない!!

教育に悪いでしょうが!!!

震える手でそれをつまみ上げようとしたが、やはり体は正直で、興味津々なのに、恐るべき罪悪感から、きょどきょどとあたりを探ってしまう。

誰もいない・・・・。

誰もいないよな!?

よし!誰もいない。

他意はないよ?他意はないったらないんだよ!?

たださ、これが捨てていいものか、それとも洗濯してまだ使える物なのかどうか、確認する必要があるでしょうが!!

そんなふうに自分を納得させてみたが、それでもやはり、緊張はする。

女の子の下着など見たこともないし、これから先見ることもないだろう。

これが見納めになるかもしれないのだ!!そりゃ震えもするさ!!


いざ!!!


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