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魔女の呪いで男を手懐けられるようになってしまった俺  作者: ウミガメ
第2章 召喚術師と黒魔術師
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野営地

俺らが村を出た3日後の晩のことである。


今は森の中の広場で寝床を決め、テントや火の確保などの準備を整えていた。

野営の道具や食料などの荷物は、代わる代わる運んだものの、基本的な一番力持ちであるラルフが大部分を持ってくれていた。


サムはテントを張り、ラルフは火おこし、俺はその火で料理をした。

ラルフが運んだ食料と道中で手に入れた獣肉があるため、食料には未だ問題ない。

すっかり3人の役割分担が決まり、無言のチームワークが生まれていた。


「この調子なら明日には、コルリに着けそうだな」


ラルフがそう言うて、丸太に座る俺とサムは同時に頷いた。

街までの道のりに険しい所はなく、道中のモンスターも手ごわくなかった。

装備を整えたばかりであることもあり、大きく疲弊はしていなかった。


3人で火を囲んで、俺の作った獣肉のスープを食べている。

今日のスープは上出来だ。


「エルが料理が上手くて本当助かるぜ。オメェは色々と器用だな」

「そういってもらえると嬉しいよ。というかラルフこれじゃ絶対足りないだろ。ラルフのために沢山作ったから食べてくれよな」


そう言って俺はラルフにスープをもう一杯渡す。

するとラルフはありがとよ、と言ってまたあっという間に平らげてしまった。

我ながら良い嫁である、誰かもらってくれ。


そんなやり取りを黙って見ていたサムが、夜空を見上げて懐かしそうな顔を浮かべた。


「こうして焚火を囲んでるとさ、なんかキャンプファイヤーみたいでさ、子どもの頃を思い出すよな、エル」

「ああ、そうだな。サムの家族と一緒に、夏になるとよく近くの森でキャンプをしたな。川で魚を捕まえて遊んで、キノコを採ったり。遠くまで行ってサムの親父さんに叱られたりもしたな。その度に俺が無理やり誘ったんだ、ってサムは庇ってくれてたよな。……あの時は思いもしなかったな。今みたいに……あ、」


テントで隣同士寝るサムに欲情しなかった……と言いかけて俺はつぐむ。

―――危うく俺の人生が、文字通り終わる所だった。

俺はもうあの頃の子どもの純粋さを失って、立派なオトナになってしまった、だめな意味で。


3日間を共に過ごしてきて、サムに「触れない」という行為を実施することは意外に難しかった。

隣同士でサムと寝ているというのに、指一本触れないようにするのがいかに大変か。

というか物理的に大変すぎて、おちおち寝返りを打つこともできなかったのだが。


「今みたいに……?」


俺が変な顔ばかりしていたためか、サムが不思議そうに俺を見て、再度尋ねる。


「……いや、なんでもないんだ」


そう言うと、サムは残念そうな顔をした。

そして、サムはまた夜空を見上げる。


「俺もたぶん同じ事を考えてたよ。今みたいに、こんなことになると思わなかった」


俺は言っていることの意味がわからなくて、少し考えてしまった。

どうやらサムは、俺がサムに気を遣って言い淀んだと思ったようだ。

また俺に対しての罪悪感を覗かせてしまった。


「……俺、今日は先に寝るよ。エルごちそうさま。また明日な」


そう言ってサムはテントに帰ってしまった。

違うんだ。その実、お前に対して変なことを考えていた。サムすまん。

とは言えない俺なのであった。


なんだかここ数日サムの様子がおかしい。

いつも明るいサムは、根暗な俺のフォローをしてくれていた。

なのに今はその立場が逆転してしまっている。

明るくなった俺と、負い目を感じてなのか、妙に暗くなってしまったサム。


「まァ、放っときゃ直るだろ。アイツも思う所があるんだよ、この旅に」


ラルフはそう言うと、さして気にも留めていないように3杯目のスープを自分で掬い、食べ始めた。


しかし落ち込むサムを見ているのは、やはり面白くない。

どうにか俺に対しての負い目を払拭できないだろうか。

サムは多分、俺よりもずっと真面目なんだろうな。

本当に優しい奴で、それに昔から一切嘘をつけない奴だったし。


―――どうやったらサムは俺と真実の愛を育んでくれるんだ。

頭が痛くなってきた。


簡単な話は、サムに触れることだと思う。

サムに触れながら、何も悪くない。忘れてくれ。

そういえば多分、魔女の呪いでサムは服従してくれるだろう。

でもそれはやはり何かが違う気がする。


考えても良いアイデアが何も浮かばず、気持ちが少し苛立った。

終始ご機嫌で豪快にスープを平らげ、満足そうなラルフを見て俺は恨めしくなった。

あー、ラルフに変なイタズラでもしてやりたくてたまらない。

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