2話 ノートに記す自分の思い(1)
机の二番目の棚。そこには鍵がかかっている。暗証番号式のだ。
その中には、一つの箱があり、それも鍵が必要で、その鍵を手に入れるにも
横にある暗証番号式の小さな箱から鍵をだすというとても面倒くさいものだった。
箱の中には、一つのノートがある。表紙には、『おわりなき詩』の文字。
パラパラとめくると半分くらいが埋まっている。でも、残りは真っ白。
小説のノート。自分のすべてをつめた傑作になる予定だった。
そう、予定にしかならなかった。この話には、終わりがなくなってしまった。
いや、正確には始まりがなくなってしまったのである。
この話に登場するのは、すべてが本当のこと。人物・関係・場所、いつわりはひとつもない。
でも、この話には欠点があった。現在進行形なのだった。
一日あったことをメモり、出会いから二人で行う何かを書こうとしていた。
何か、それはまだ決めていなかったが、告白して付き合って数週間という
内容の中盤のさわりまでは書いたのだったが・・・ある日
俺は彼女に振られた。正確には、彼女が引っ越すさいに自然消滅したのであった。
なので、小説は完成しなかった。
それを知っている唯一の人物である、親友はばか笑いしていた。
今回、そのリベンジを果たせるかもしれない出会いを俺はした。
転入生の・・・名前は・・・|鈴麻葵《すずまあおい》だったはず
あまり関心がなかったので、名前はまだあやふやだった。
かわいいほうなのかな?ちょっと基準がわかんないからなあ
でも、髪はちょっと短いくて、かなり似合ってるんだよな。
さらに音楽が得意という、ね。女子力マックスって思うよ。
「・・・音楽かあ。曲、作ってくんないかな?」
俺の野望は、遅からず発進し始めた




