四回目 世界のこと
今回は簡単な説明です。
逃げようとするバイアスを捕獲し、強制的に手伝わせながら、俺は今までこの育ての親から聞いた話を思い出していた。
どうやらここは日本ではないらしい。いや、地球ですらないっぽい。というのはバイアスの部屋に飾ってある世界地図をみて、なんとなくわかった。
だって、地図に一つの大陸しか描かれていないとか、ありえなくない? 日本ってどこよ的な?
まだ文字が読めなかった俺は、バイアスに地図に書かれている文字を読んでもらい、あとついでに説明もしてもらった。
ガラバトラ大陸。
それが、俺が赤ん坊としていつの間にかいた世界の名前だった。
ガルバトラ大陸は一つの大陸で、そこに4つほどの国が存在している。
一つは、様々な種族が住む、「アルハイツ王国」。
二つ目は、エルフやドワーフ、妖精といった種族が住む、「メルネリア公国」。
三つ目は、竜族や魔族といった種族が住む、「ガルハイネ帝国」。
四つ目は、商人たちが治める、商業・工業の中心、「カイネ独立自治州」。
そして、これらの国々が協力して警戒をしている、魔物たちの巣。通称「魔物領」。
大きく分けて、この4つの国と魔物領から、この大陸はなりたっている。
それぞれの国は、独自の文化や技術を持ちながら、それをお互いに共有し、友好的な関係を保っている。
すごく昔の話だと、それぞれの国が戦争状態で、かなり荒れた時期もあったらしいが、今ではお互い和平協定を結び、うまくやっているらしい。
まあ、それもこれも、魔物領の魔物たちから、自分たちを守るために協力せざるを得なかったというのもあるらしい。
どうもこの魔物領の魔物たちは、それなりに強いヤツもいるらしく、それがかなりの数でいきなり現れたりするらしい。それも、一国を滅ぼせるくらいの数で。
そうなると、魔物たちに自分たちが駆逐されてしまうと恐れた各国のお偉いさんたちが、戦争なんかせず協力して撃退しよう!となるのは自然な流れなわけで。
そんなこんなで、利害が一致した各国は戦争をやめて仲良くすることに決めた。そして、現在に至る、と。
(国同士が仲が良いのは良かったけど、意外と危険な世界だよなぁ、ここって。)
魔物とか絶対に会いたくない生物、NO.1だ。会ったら絶対逃げよう。平和が一番!
そんなことを心に決めてると、いつの間にかバイアスが料理の手伝いを終えて、出来上がった料理からテーブルに運んでいた。
「せっかくできたんだし、さっさと食べちまおうぜ」
そういうなり、椅子に座り俺をせかす。
俺は、物思いにふけるのをやめ、バイアスの向かい側に座る。もちろん幼児用の椅子だ。
「じゃあ、食べますか」
「おう、待ちくたびれたぜ!」
そうして二人で昼飯を食べたのであった。
主人公が赤ん坊として生まれた世界についての説明でした。