三十三回目 お姉さんに、悪者ナシ!!
お待たせしました。
猛スピードで気配の元に辿り着けば、案の定、揉め事が起きていた。
そこには、修道女のような服を着た女性が一人と、その女性を守るようにして、手に小さな果物ナイフのような刃物を手に、小さな体で懸命に相手を牽制している子どもが一人。
片や、片方の手から血を流しつつ、その手を押さえながらも、口元に下品な笑みを浮かべながらニヤついている筋肉隆々なハゲ頭の男と、ニヤニヤと面白がるように笑みを浮かべている、細身の男の二人組み。
両者の間には数メートルの距離があり、多少の緊張感を保ちつつ―――その優越は誰が見るにも明らかではあったが―――相対していた。
ちなみに、彼等の周りにはチラホラと様子を伺うようにして少ないながらも人々が足を止めて注視しているのだが、誰も積極的に介入しようとはせず、ただ遠巻きにしているだけだった。
『なぁ、どう思うよ? あれ』
『まぁ予想するに、美人にちょっかいを出したチンピラと、姉を守る小さな子どもと、言ったところかのぉ』
俺もそんな遠巻きな人々の一人として事の成り行きを注意深く観察していた。
なにかあれば、すぐに介入できるように。
『もちろん、美人のお姉さんを助ける為にっ!!』
『もしかしたら、そちら側が悪いかもしれんじゃろうに・・・』
『美人なお姉さんに悪党はいない!!』
『・・・まぁ、今回はどちらが悪党か明白じゃがの・・・』
そうして、朱雀と念話ごしに会話していると、動きがあったようで、子どもが手に持ったナイフを精一杯突き出し、何か叫んでいる。
・・・えーと、なになに。
『「姉ちゃんに手を出すな、この野郎!」
「そんな物騒なモノはさっさとしまって、おウチに帰りなボウズ。俺達は、このシスターにたっっっぷり話があるからよ。ゲヒャゲヒャゲヒャ」
・・・なんとまぁ、お約束といえばお約束だげど・・・』
『・・・わしはこの距離で、あの会話が聞き取れることに驚きなのじゃが・・・。まぁ陳腐じゃのぉ』
まぁ、言質はこれで取れたし、さっさとあのチンピラやっつけて、お姉さんとお近づきにならなくては!
『・・・主よ。もの凄く不純な動機が駄々漏れしていたのじゃが・・・まぁ、我が主らしいと言えばらしいがのぉ・・・。
じゃが、こう、なにか釈然としないものがあるのぉ・・・』
『悪漢をやっつけ、人を助けるのに不純もなにもないだろうが! これは純粋な人助けだ!』
まったく人が、美人なお姉さんを悪いヤツから助けようと言うのに、なぜ不純と言われなければならない!
まったくもって、無礼千万!
それが不純なんじゃがなぁ・・・。
とボヤいている朱雀の念話を尻目に、俺は意気揚々と目の前の揉め事の場に近づいていった。
主人公ってブレないなw
今回も読んで頂き、ありがとうございます。