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三十一回目 教えて! ベルード先生(後編)

お待たせしました。

 

 「じゃあ、まず俺達も近衛も所属しているこの国、『アルハイツ王国』」


 ベルードはそこで、手に持っていたグラスに指を浸し、カウンターに水滴をひとつ落とす。


 「この国は、『人種族』が治めている国で、ほかの国と比べ、様々な種族が住んでいる。住んでいる種族の割合は、5:3:2。 人種族が5、エルフやドワーフといった妖精たち『亜人族』が3、竜人・魔人といった『魔族』が2、と言った感じだ。ほかの国と比べて、色々な種族が住んでいるのはこの『アルハイツ王国』だけだ」


 そう言って、最初に落とした水滴の左上にまた水滴を落とす。


 「次に、『メルネリア公国』。この国は、エルフやドワーフといった種族に代表される妖精たち『亜人族』が治めている国だ。もちろん、住民は亜人族のみで、彼等は総じて魔力が高く、また魔法に秀でている。俺達が使う魔法は、大昔に彼等が使う魔法を人種族が真似て作ったもので、その威力は俺達の魔法よりも遥かにすごい。ただ近年では、人種族の中にも、彼等と遜色ないくらいの『魔術師』が出てくるようになったけどな」


 ベルードはそこで、俺やバイアスがそうだ、と言ってニヤリと笑った。


 今度は、『メルネリア公国』の右の方に水滴を落とす。


 「『ガルハイネ帝国』。この国は、竜人や魔人といった『魔族』と呼ばれる種族が暮らし、治める国だ。代々、『武』を重んじる気風で、国王も国で一番強いヤツがなることになっている。彼等は魔力も『亜人族』ほどではないが、人種族よりも高く、また身体能力については種族の中でも一番だ。まぁ、見かけたらあまり関わらないことをお勧めする」


 どうして関わっちゃいけないんだ? と聞くと、彼等は色々な意味で『バカ』で面倒なんだ、苦い表情で言った。

 そして、最初の水滴―――『アルハイツ王国』―――の左の方に、水滴をまた落とす。


 「そして、最後に、『カイネ独立自治州』。この国は、商人たちが寄り集まって出来た国で、商人や職人と言った者たちの総本山ともいうべきところだ。ほとんどのギルドの本部がこの国に置かれているし、そういった意味では、一風変わった国と言えるだろう」


 こうして見ると、それぞれの国を線で結ぶと四角形のように配置されているのが分かる。


 「とまぁ、それぞれの国に関しては、こんな感じの説明で大丈夫だと思うが、最後に重要なものがある。それは・・・」


 そういうと、ベルードは王国に見立てた水滴の下に、水で線を引く。

 

 「王国のすぐ下。ここに魔物たちの生息する土地―――通称、『魔物領』がある」

 

 『魔物領』・・・そのまんまなネーミングだな。


 「ここは、この大陸に棲息する魔物のすべてが住んでいる場所だと言われている。弱い魔物から災害級の魔物まで。ありとあらゆる魔物が棲息し、日夜、弱肉強食の世界が繰り広げられていると言われている。そして、不規則ではあるが、ここに棲息する魔物たちは群れを成して俺たちが住む土地に侵攻してくくるときがある」


 うわ、なにそれ、なんか怖い。


 「それが、魔物たちの『侵略』と呼ばれる侵攻だ。これに対しては、各国が協力して軍隊を派遣し、撃退することになっている。まぁ、このおかげで各国が戦争をしないんだから皮肉なことではあるがな」


 ベルードはそう言いながら苦笑いし、グラスい入っていた残りの酒を一気にあおった。

 

 そして、酒が切れたな、と呟くと、


 「今日のところはこのくらいにしてやるから、今日はもう寝ろ」


 また上からだよ。

 でも、疲れているのも事実だし、ここは大人しく部屋に戻って寝ますかね。


 俺は席から立ち上がる。

 ベルードはどうするのか聞くと、俺はもう少し酒を飲む、とグラスをかかげながらマスターに次の酒を頼む。


 そんなベルードに、そっちこそ二日酔いになるなよ、と一言返し、俺はその場をあとにし、部屋に戻ったのだった。

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