三十回目 教えて! ベルード先生(前編)
はい、二つに分けました。
部屋をあとにして食堂に向かう。
食堂に行けば、なにか食べ物が出るかもしれないという安易な考えからだ。
食堂に入ると、まだ夕食の時間ではないせいか、人もあまり見られず閑散としていた。
ただ、何席かあるテーブル席にはちらほらとまばらだが客の姿も見られる。
どこか空いている席に適当に座ろうと思い、何気なく食堂を見渡すと、食堂のマスター(宿屋の料理人)が包丁を布で拭きながら立っている目の前にカウンターがあつらえており、そこのカウンター席にベルードが静かに座ってグラス片手に酒を飲んでいた。
俺の視線に気づいたのか、ベルードは顔を上げ俺の方を見やる。
ここでほかの席に座るのも変だよな、と思った俺はベルードが座っているカウンター席に近寄っていく。
カウンターについて、ベルードの席の隣に腰を降ろすとマスターに飲み物を頼んだ。
もちろん未成年だから酒じゃない。
「アトスは?」
俺がマスターに注文し終わるのを待って話しかけてくる。
「眠ってるよ、ぐっすりと」
「アイツは体力がないからな」
ベルードは苦笑いを浮かべながら酒を口に運んだ。
「でも、ちょっと俺が変なことを考えたら殺気を放ってきやがった。シスコンなんだな」
俺がそう言うと、意外そうな顔をしながらベルードが、
「アイツは極度のシスコンだよ」
知らなかったのか、と聞いてきたので、首を横に振って知らないと答える。
そうすると、なにか思い出したのか、ベルードは少し笑いながら
「そういえば、バイアスもリュノアの面倒を見ていたとき、よく突っかかられていたな。まぁ、返り討ちにしてはいたが・・・」
アトスよ、昔からシスコンだったんだな・・・。
でも、あのクソ親父にかかっていくなんて、なんて無謀な・・・。
「お前が考えているとおり、バイアスは一切手加減せずに、アトスを返り討ちにしていたよ。まったくどっちがガキなんだが・・・」
そう言ってもう一度笑うと酒をクイッと一気にあおる。
「そう言えばお前、ベルハイの外壁を見て随分と驚いていたようだったが、王都には言ったことないんだよな?」
もちろんないに決まってる。
俺が頷いて言ったことがないと答えると、
「王都はもっとデカイからな。この街よりも」
そんなにデカイのだろうか?
たかが一国の首都だろ?
「お前、その顔は分かってないな。良いか? この際だから聞いておくが、お前王都のこととか、国のこととか全然知らないだろう?」
そんなの・・・・・・知らないに決まってるだろ!!
「いや、そんな自信満々に言い切られても微妙なんだが・・・」
自信満々に返した俺の返答に、ベルードは呆れた顔を向ける。
だって仕方ないだろ? こちとらあのクソ親父とずっと二人で(朱雀たちも含まない)暮らしていたんだから。
こちとら、正真正銘の田舎者じゃい!
「まぁ、あのバイアスと暮らしていたのだから仕方ないか・・・。まぁついでだ。王国とかほかの国のこととか、教えてやるよ」
うわ、上から目線がなんか気になるが、教えてくれるっていうんだし、ここは・・・。
「教えてください」
とりあえず教えを乞いますかね。
途中、書いていたら間違って、一度全部消してしまい・・・書き直す過程で、二回に分けることにいたしました