二十八回目 ベルハイ
今回も読んでいただき、ありがとうございます。
「・・・でかいな、おい」
思わず、目の前の光景につぶやく。
俺は今、街の入り口の門をポカンとした顔で見上げていた。
あれから色々なことをベルードたちと話しながら、つつがなく歩き続け、つい先程無事に街にたどり着いた。
街に近づくにつれ、その巨大は外壁が徐々に姿をあらわした。
「あれが、アルハイツ王国の玄関口にして、『王国の砦』。砦の街『ベルハイ』だ」
ベルードが街の外壁を遠目に見ながら言った。
その顔は、街に無事に辿りついた為か、どこか安堵しているように見えた。
「我らが王国、『アルハイツ王国』。その王国の玄関口であり、外敵より王国を守る『砦』でもある。ベルハイは外敵が王都を襲撃するのを防ぐ為に整備された街で、元々あった街を巨大な外壁で囲み、街全体を砦とすることで今の形になったとされている。ここが落とされると、あとは王都まで遮るものは何もない。途中小さな村や町はあるが、それにしたってベルハイのような整備はされていないから、この街が防衛線とも言える」
「でも、やっとここまで着きましたね」
うーん、と伸びをしながらリュノアさん。
「とりあえず、今日はベルハイで一晩宿で休むとしよう。久々にゆっくりとベットで寝れるぞ」
「隊長がそういうなら、一晩休むのもやぶさかではありません。早く宿を取りましょう」
ベルードの言葉に、疲れきった表情で、仕方がない様子を装ったアトスが同意する。
しかしアトスよ。お前メッチャ膝が笑ってるぜ。
「アトスはすぐ強がって・・・ほら、もう膝が笑ってるじゃない」
強がるアトスに近寄り、手を貸そうとするリュノアさん。
しかし、アトスはその手を払い、
「これくらい大丈夫だよ姉さん。姉さんはすぐ心配するんだから・・・」
「だって、この中で一番体力ないのアナタじゃない」
「うっ・・・。とにかく! 大丈夫だから!」
アトスとリュノアさんが言い合っていると、ベルードがそんな二人に声をかけた。
「お前等、不毛な言い合いしてないでさっさと街に入って宿を取るぞ。ライハもいつまでも外壁をガキみたいに見上げてないで、少しは二人を止めろ。まったく・・・」
ため息をつきながら、街の門へと歩き出すベルード。
俺はハッとして、意識を外壁からベルードに移すと、慌てて彼のあとを追う。
アトスとリュノアさんも俺に続いて、ベルードを追う。
「ライハ。お前意外とガキなんだな」
追いついた俺に、ベルードはチラッと視線をやるとからかうように言った。
「・・・少し驚いただけだよ・・・」
はずかしいのをごまかすようにボソッと言う。
だって、こんなに大きいとは聞いてないぞ!
「王都はもっとスゴイぞ」
ベルードは楽しそうに笑いながら、俺の肩をコツンと手の甲で叩き、門へ歩いていった。
短くてすみません。
次回はもっと長くなると思います。