三回目 名前と父親と
やっと3話めです。
やぁ、みなさん。こんにちは。和泉沢 武人です。
あれから早いもので2年と半年が過ぎました。
え、いきなりすっ飛びすぎじゃないかって? その間、なにしとったんや、て?
まぁ、色々とあったんですよ・・・えぇ、色々と、ね・・・。
そんな言えませんよ。いきなり赤ん坊になってたのはさておき(いや、おくとこではないけど)、見知らぬ中年野郎(いや、言葉が過ぎました)に、あっかんべぇされたり、いないいないばぁされたり。
しまいには、あの、屈辱的な(うぅ思い出すだけでも涙が出る)おしめ交換とかされたり・・・。
もう、わたくしおヨメにいけません!!
・・・・・・・・・とまあ、そんなこんなで、いきなき赤ん坊になってたショックと、中年野郎(あ、また言った)から受けた精神的屈辱から、立ち直るのにかなりの時間を費やしたわけです。
で、立ち直ってから改めて自分の状況を再確認したのですよ。
1、自分、赤ん坊に逆戻り。
2、自分、拾われたらしい。
3、自分、中年野郎(一応、育ての親)と二人暮らし。
4、ここどこ?
5、ここ日本ジャナイヨ。ていうか、ニホンテドコデスカ?ソレ、オイシインデスカ?
ということが判明。で、今現在、やっとこさ2歳と半年になった俺がいる。
そして・・・・・・
「おーい、ライハ!ちょっと手伝ってくれや」
「分かった!今、行くよ!」
そう、名前が変わりました!ついでに父親も!一石二鳥!
とりあえず、呼ばれたので行ってみる。
声のした方――台所に行ってみると、俺を拾って育ててくれた男、バイアス・バーミアスがなにか作っていた。
「なにかよう?」
なんの用事かは分かり切っていたが、一応尋ねてみる。
「ワリいな。昼飯の準備をしてたんだが・・・ちくしょうめ、うまくできねぇ」
・・・いや、作ること自体がうまくできないって・・・。
「というわけで、おめぇ、作ってくれねえかい?」
「こっちに丸投げかよっ!?」
一応、俺これでも2歳なんですけど・・・・・・。
まあ、そんなこと言っても、どうせ作らされるんだろうけどね。俺って、働き者!
「いいじゃねぇか。どうせおめぇが作ったほうがうめぇんだからよ?」
いや、胸張って堂々と言うなよ!
俺はため息をつくと、服を腕まくりし、
「とりあえず、簡単なもので良いなら作るから」
「いつも、わりぃな」
まったく、この中年(実際は若いけど)野郎は・・・。
「ただし!」
台所を出ようとしたバイアスを引き留める。
「重い物とかは持てないんだから手伝ってよ。俺、これでも2歳なんだから!」
バイヤスは、その自慢のきれいな灰色の髪をガシガシとかきながら、
「まったく、人使いの荒い息子だ・・・」
「おまえだろ!?」
やれやれといった風に首をふるバイアスに、思わずツッコミを入れる。
その後、二人でぎゃあぎゃあと言い争いをする。
これが、赤ん坊の俺を拾ってくれた男――バイアス・バーミアスと俺――和泉沢 武人もとい、ライハ・バーミアスの、いつもと変わらない毎日だった。
父親出てきました!