二十回目 リア充に決闘を!
なんか、前と展開が似てる気が・・・
「では、簡単な確認でが、両者のどちらかが戦闘不能、もしくは降参を宣言した場合、決着と見なす。また、審判の私が、勝負あったと判断した場合も同様に決着とする」
向かい合うように立つ、俺とアトス・ネイトリンの間。ちょうど真ん中のあたりに立ったベルードが、決闘の説明を行っている。
決闘しろ!と叫ぶアトスをベルードともう一人のリュノアさんが説得をしようとしたのだが、まったく聞く耳をもたず。
決闘するにも。アトスの状況を見るに、普通の怪我で済むとは思えず。
じゃあ、納得のいくまで闘ってもらい、危ないなと思ったら誰かが止めようか!
そしたら、審判いるんじゃね?
では、審判は、ベルードに決定! 審判よろしくね♪
みたいな流れで、あれよあれよと決闘することが決まり、さらには審判までいつのにか決定してしまった挙句・・・。
「この状況に至る、と」
『今更じゃな』
溜息と共に出た呟きに、同調するように返してくる。
『まぁ、事ここに至っては嘆いたところで、さして変わらん。ご愁傷様じゃな、主よ』
『・・・慰め、ありがとよ』
まぁ、ここまで来たら、腹くくるしかないか。
憂鬱とした気分を吐き出すように、息を吐き出す。
吐き出すと同時に気持ちを切り替える。
改めて相手―――アトスを見る。
アトスはベルーガの話を聞きながらも、いまだに俺を睨んできている。
その目には、強い敵意が見て取れた。
羽織っていた外套はすでに脱ぎ、そこには魔術師が着るようなローブではなく、革製の簡素な鎧を着た立っている。
その鎧姿を見て、俺は自分の認識を改める。
先ほどの外套についていたブローチの紋様から察するに、この国の魔術師団に所属だと思ったのだが・・・。
しかし、実際アトスが来ているのは魔術師が着るようなローブではなく、簡素とはいえ革鎧だ。
魔術師じゃないのか?
そうあれやこれやと考えていると、少し離れたところに立っていた女性―――リュノアさんが俺に近づいてきた。
なんでリュノアさんだけ、「さん」付けかだって?
それは、リュノアさんが「綺麗なおねぃさん」だからだ!
『バカじゃな・・・』
そこ、ボソッと突っ込まない!
「えーと・・・ライハ、くんだったかしら?」
俺の近くにきたリュノアさん(綺麗な金色の髪を首の後ろ辺りで一つにくくっている―――いわゆるポニーテール! 最高です!)が、名前を確かめるように話しかけてくる。
「はい、ライハ・バーミアスと言います。確か、リュノアさん、でよかったですか?」
『うわ、主が変じゃ』
失敬な!
俺はいつも紳士だ(綺麗なおねぃさん限定)!
リュノアさんは、ホッとしたような表情をして
「うん。リュノア・ネイトリンといいます。リュノアと呼んでくださいね。ちなみに、キミに決闘を申し込んだのは、わたしの弟なの」
・・・・・・はい?
「ごめんね。なんか弟が迷惑かけて。普段はいきなりあんなこと言う子じゃないんだけど・・・」
俺に向かって申し訳なさそうに謝ってくるリュノアさん。
そんな、シュンとした表情も綺麗です!
それよりも・・・
「・・・・・・弟、さん・・・なんですか?」
『弟』という言葉に呆然としながら、リュノアさんに聞き返す俺。
そんな俺に、不思議がりながらもリュノアさんが答えてくれる。
「うん。アトス・ネイトリン。わたしの弟だよ。少しヤンチャだけど、悪い子じゃないから仲良くしてあげてね?」
何かを期待するようなリ目で俺を見るリュノアさん。
しかもその表情は、本当に、弟のことを心から想っているのが、初対面にも関わらず伝わってくるくらいで・・・・・・。
・・・・・・うん。
・・・・・・決定!
「・・・・・・ぅだ・・・」
「なに、ライハくん?」
俺の声が聞こえなかったのか、聞き返してくるリュノアさん。
「・・・・決闘だ・・・」
「え?」
今度は聞こえたのか、目が点になるリュノアさん。
そして、俺の声に反応したのか、こちらを向く、ベルードとアトス。
そんな三人を前にして、俺は、力の限り叫ぶ。
「決闘だ、このやろうぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!」
リア充に対する、血の涙を流しながら。
『・・・・・・主も、バカじゃったか・・・』
あれ、主人公の性格が・・・