十九回目 決闘ぅ?
やっと・・・やっとここまで!
「あー・・・・・・、なんでこうなったよ・・・」
『主よ。今更ボヤいても、なにも変わらんじゃろうて』
はいそこ、的確にツッコミを入れない!
「でもなぁ・・・ボヤきたくもなるだろ? この状況」
『それについては、激しく同情するがのぉ。諦めるんじゃな』
朱雀に慰められ、さらにげんなりした俺は盛大にため息をつく。
今、自分が置かれている現状から逃避するように。
「お前! なにため息なんかついているんだよっ!? さっさとしろっ!!」
茶色の髪をした、いかにも生意気そうな青年が、俺に向かって怒鳴っていた。
そう、今俺はこの青年と少し距離を取って向かい合っている。
「さぁっ! 決闘を始めるぞっ!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・決闘をする為に・・・・・・・・・・・・・・。
・・・事の顛末は、20分ほど前。森を抜けて三つの人影の前に到着した時までさかのぼる。
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「すみません。お待たせしました」
森を抜けた俺は、待っていたであろう人影たちに丁寧に声を掛けた。
近くで見ると、分厚い布で作られた、長年使い込んだように見られる外套を纏った人が3人―――男が二人と女が一人―――立っていた。
一人は、青い髪に碧眼で、親父と同い年位の男性。
もう一人の男は、俺と同い年か少し上くらいの、茶色いの髪に青い目をした青年。
最後に、金髪碧眼で髪を後ろでひとくくりにした―――いわゆるポニーテールの若い女性。
よく見れば三人とも、胸の真ん中辺りにブローチのようなものをしており、それには何かの紋様の様なものが彫られているのが目にとれた。
「いや、こちらはさほど待ってはいない」
青い髪の青年が静かな口調で俺に答えた。
「私の名前は、ベルード。ベルード・ガレズという。女性の方が、リュノア・ネイトリン。もう一人が、アトス・ネイトリンだ」
青い髪の青年―――ベルードの紹介に、女性は目礼で、若い男は、敵意の眼差しで返してきた。
「さっそくで悪いのだが、君がバイアスの手紙に書いてあった、彼の息子・・・なのか?」
こちらに確認しながらも、どこか戸惑いながらベルードは質問してきた。
「はい。バイアス・バーミアスが息子、ライハ・バーミアスと言います。まぁ、息子と言っても養子ですが」
「・・・養子?」
「正確には、育ての親、というヤツですが」
俺は、少し苦笑しながらベルードに答える。
ベルードは、そんな俺を見て、どこか納得したのか軽く頷き、
「養子というなら頷ける。ヤツが―――バイアスが結婚したなど想像もできん」
ベアードはそう言うとニヤリと笑った。
「俺も、あの親父が結婚するだなんて想像できません」
そう言って俺もニヤリと笑い返す。
そして、お互いにドヤで頷く。
(このベアードとか言う人、もしかして、親父と似たような人種かも・・・)。
そんなことを思っていると、茶髪をした若い男が俺を睨みながらベアードに話しかけた。
「隊長。こいつ、本当に彼の息子なんですか?」
ん? 今、いきなり『こいつ』って言ったか。この茶髪。
「あぁ、そうだ。なによりバイアスの手紙に書いてある特徴と一致するしな」
「そうですか・・・」
茶髪はそう言うと、何か思うところがあるのか黙ってしまった。
『なにかあるのじゃろうか?』
『さぁ、俺にも分からん』
それまで黙ってことの成り行きを見ていた朱雀が俺に話しかけてきた。
といっても、テレパシーのように頭の中で直接会話するものだが(便宜上、『思考会話』と俺は呼んでいる)。
(まぁ、鳥にしか見えない朱雀がいきなり話し出したら、いくらなんでも驚くだろうし・・・)
一応、旅に出る前に事前に朱雀と打合せしていたのだ。
『それにしても、なぜこの若造はさっきから主を睨んでくるのじゃ?』
『それも、さっぱり分からん』
俺と朱雀が『思考会話』を行っていると、考えがまとまったのか、茶髪が顔を上げ、俺を見る。
いや、睨んできている。
そのまま、茶髪はスッと片手で俺を指差した。
『なんか指差されたんですけど?』
『我に聞かれても分からん』
ですよね~。
ベアードともう一人の女性も、なぜ茶髪がそんな行動を取ったか分からないだろう。不思議そうに茶髪を見ている。
俺も訳が分からず、その指を見つめていると、
「・・・・・・・ぅだ・・・」
「? すみません。なにか仰いましたか?」
小さくてよく聞き取れないです。
「・・・・・・決闘だ!!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「・・・・・・はい?」
やべ、思わず素で聞き返してしまった。
「俺と決闘しろっ! ライハ・バーミアス!!」
・・・・・・・・・・なんで?
『・・・・・・なぁ』
『・・・なんじゃ、我が主』
『なんでこうなった?』
『・・・我も分からん』
ですよねぇ~~~。
「黙ってないで、決闘だぁぁぁぁぁぁっ!!」
茶髪の叫び声に、俺は、ただ呆然とするしかなかった・・・。
あ、初めて2000文字近く打った。
さて、次回はどうなることやら・・・。
感想等お待ちしております。