十五回目 旅立ちの前触れ
1カ月も更新しなくて、すみません。
家に入ろうした俺たちに玄武が声をかけてきた。
「坊、もう昼時も近くなっておったからのぉ。いつ帰ってくるかわからなんだが、食事を作っておいたぞい」
見た目の不吉さはともかく、こうみえて、玄武は我が家が誇る『主夫』だ。
「楽隠居の道楽のようなものだがのぉ」
そうは言うが、洗濯・掃除・料理と、どれを取っても完璧であるから、この隠居は凄い。
「いつも悪いな」
家に入らずイスに座ったままの玄武に、軽く礼を言う。
「なぁに、いつものことじゃわい。礼を言うほどのことでもないのぉ」
「・・・いつも任せて、すみません・・・」
すみません。家事全般任せてすみません!
すごすごと家の中に入ろうと玄関口のドアを開ける。
「そういえばのぉ、坊・・・」
なんでもないように、たったいま思い出したように、
「・・・また、来ておったぞ」
「・・・」
その言葉にうなずきだけを返し、俺は家の中に入った。
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「ただいま~」
『戻ったぞ』
「ただいま戻りました」
それぞれに帰宅の言葉を口にしながら、入ってすぐの居間へと足へむける。
「お、やっと戻ってきやがったか」
居間に入ると、親父――バイアスが車輪の着いたイスのようなものに座り、テーブルについて食事をしていた。
「ちょうど、今食べ始めたとこだったんだ。おめぇらも、腹減ってるだろ。さっさと食っちいまな」
とか言いつつ、こっちにフォークをむけてくるな、フォークを。
「親父、行儀が悪いからこっちにフォークを向けるなよ」
「ん? あぁ、悪い悪い」
ヘラヘラ笑いながらそれでも、フォークをむけてくる。・・・話、聞いてねぇし。
『バイアスよ、話すか食べるか、どっちかにしたらどうだ?』
「そうです。主様も呆れていますから、直してください。今すぐに」
朱雀はいつものことだ、という呆れ顔で。白虎は至極真面目な顔で親父に注意する。
「まぁ、いつものことだから良いじゃねぇか」
そんな一人と一羽にも、笑いながら返事を返す。
そんな親父に、やれやれと内心でため息をつきながら、テーブルのイスに座る。
懲りないのか、親父はいつものようにあーだこーだ、同じくテーブルについた朱雀と白虎に言い訳しながらも食事を続け、
「そーだ、ライハ」
いつものように軽い口調で一言。
「おめぇ、家を出ろ」
爆弾を投下してきた。
長らくお待たせしてしまい、すみませんでした。
やっと、旅立ちます。
ここまで長かった・・・。
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