十二回目 固いヤツ
進行速度若干早め
「・・・まったく少しは手加減ってものを考えてほしいもんだよ・・・」
日課の鍛錬を終えて、修行場の森から家へと戻る帰り道。
俺は、今日の鍛錬に対して少しボヤキながら、うっそうと木々が茂る森の中を家へ向かって歩いていた。
『なに、今の主ならアノ位がちょうどよいと考えて火球を放ったのじゃ。まぁ、2・3発は当たっていたがのぉ。それも主を思えばのことじゃ』
そう言って、カラカラと笑う赤い鳥――朱雀。ちなみに朱雀は俺の右肩にちょこんととまっている。
・・・いっそ、今、焼き鳥にしてやろうか、このチビ鳥・・・。
邪気のない顔で笑っている朱雀を見て、ほんのりと――いや、かなり真面目に殺意を覚えるね、うん。
『・・・・・・主、気のせいではあると思うが、今、ものすごく物騒なことを考えはしなんだかのぉ?』
「いや、気のせいだよ! キ・ノ・セ・イ・ッ! ナニヲイッテルノデスカ、スザクサンハ!」
『なにやら、言葉がカタコトになっているのだが・・・』
しらーと白い目で俺を見てくる朱雀。なにを言ってるんだ、この鳥は!
そんなこと・・・ものすごく思ったとも!
そんな俺の様子を見て、朱雀は、はぁーとため息をつきながら、まぁ、いいがのと諦めたように呟いた。
朱雀とそんないつものやり取りを家へと歩く。ふいに気配が生じた。
「お疲れさまでした」
言葉とともに、いつのまにか目の前に一人の若い男が立っていた。が、これもいつもの風景。
「うん、疲れたよ」
そういって、これもまたいつの間にか差し出されていた手ぬぐいを受け取る。あと、お礼もかかさずに返す。
「いつもありがとう、白虎」
「いえ。これが私の務めなので」
俺の言葉に愛想なく答える白虎。
うーん、まだまだ固いなぁ。
そう思った俺は白虎を見る。
ちかくにある町の人たちが着るような簡易な服を着て、その特徴とも言える雪のような真っ白な短髪を逆立たせ、生真面目な表情でこちらを見る、見た目20代半ば位の青年。
その名を『西方白帝 白虎』。
『朱雀』と同じ、四方が一柱にして俺と『契約』したヤツだ。
契約したときのことは、いつか詳しく話すとして、何が固いかというと・・・
「では、失礼ながら、背中の汗を拭かせていただきます。いえ、背中と言わず全てでも構いません」
・・・・・・これだよ。
新キャラ登場!!