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九回目 火炙りと突っ込み

遅い、遅い・・・ごめんなさい。

 気がつけば、俺は炎に囲まれていた。


 見渡す限り、炎しかない。


 ここには、俺と炎しかなかった。


 「おいおい、どこだよここは?」


 正直、俺は戸惑っていた。

 当たり前だ。目を覚ましたら、いつの間にか炎に囲まれていたんだから。

 

 「これぞ正に、火炙り! なんちゃって!・・・・・・笑えねえ」


 思わず、ぼけ突っ込みをかます俺。


 ・・・なんか悲しくなってきた。


 (でも、本当になんでこんなところにいるんだ?)


 そこで思考を少し前に戻す。


 (確か・・・勢いで『契約する』なんて言って、それから・・・・・・)


 『炎』が、俺の中に入ってきたのを思い出す。


 (・・・それで、体の物凄い痛みが走って・・・それこそ焼かれるような・・・・!?)


 はっ、と俺は思い至る。そして、自分の身体を見やる。

 あれだけの痛み、あれだけの熱さ、あれだけの量の炎。

 どう考えたって、自分の身体が五体満足であるはずがない。

 だがそこには、


 「・・・・・・なにもない!?」


 そう、なにもなかったのだ!

 炎に焼かれた跡や、火傷、小さな傷に至るまで、俺の身体には何一つついていなかったのだ。


 「これって一体・・・・・」


 「それは『我が炎』だからだよ、主」


 いきなり声をかけられて、俺はハッと声のした方に振り向いた。


 そこには、(こうべ)をたれる、『炎の鳥』がいた。


 「驚かせて済まない。我が主よ」


 『鳥』、いつの間にか、俺が振り向いた先に、その巨体を現していた。


 「主よ。ここは、主の心のなかの世界。そして、この主を取り囲んでいる『炎』は、全て我が生み出した『炎』。いや、我自身といっても過言ではない。その『炎』が、我が主を傷つける道理はいささかもあろう(はず)がない」


 『鳥』は、頭を起こし、俺を見つめながら話を続ける。


 「先程の『契約』の際は、我のその膨大な量の『炎』に耐え切れず、主に苦痛を与え、さらには意識を失わせるという失態まで犯す始末。いくら我が主とて、まだ6歳の人の子。その小さな身体で『我が炎』を受け止められる筈がない」


 『鳥』は、俺に苦痛を与えてしまったことに気にしているのか、沈痛な面持ちで俺を見やった。


 「だが、痛みを感じ、意識を失ったとはいえ、主は『我が炎』を全て受け止めた。全ては無理と思い、数回に分けて行うはずであった『儀式』をたった1回で終わらせてしまった」


 俺を見るその瞳には、確かに驚きが見て取れた。


 「ゆえに、我は改めて思ったのだ。やはり我が目に狂いはなく、我が主にふさわしい、『主』なのだ、と」


 「だからこそ、改めて申し上げる。我、南方炎帝は、いついかなるときも主のそばを離れず、またあらゆるモノからも主を守り、助け、共に生きると」


 そういって、俺を見る眼は、とても強い意思の篭った眼差しだった。


 「・・・・・・とりあえず・・・」


 その眼差しに見つめられながら、俺は・・・

 

 「・・・・・・現状説明せやぁぁぁぁ!!!!!」


 なぜか関西弁で、しまいには手にハリセンを持ち、


 スパァァァン!!


 という景気の良い音と共に、『鳥』の頭を叩き、最大級のツッコミを入れていた。


 

しまいには、精神世界・・・

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