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第五章 ~交わる剣~④

第五章が5部になってしまった。一部が長いわけでもないが、、、

さてさて就職活動はさておきたい。大変と聞いていたが自分は特に大変という感想よりも楽しいという感情の方が早く来ます。余裕ぶりやがってと言う友達はいません。いい友人にめぐまれています。そんな中で物語を書く時間がないのは事実。ああ、高校生に戻りたい。。。第五章の続き始まるよ。




 国の外側には既にとてつもない軍勢が待ち構えていた。

 何千という大軍が激しい雄叫びをあげているのが国のどこにいても分かる程に、それはイリアスの耳にも届いている。


「何の恨みがあって……?」


「さあな。強いて言うならば、私の計画にこの国が存在していては困るのだ――そうだろう? 〝秘術の国の王女様〟?」

 

 その言葉にリオンはピクリと反応した。

 世界を混沌へと陥れる未来。あの言葉が再びリオンの頭の中で何度もこだました。

 

 リオンはエルディンが隙を見せている今、反射的に自分の剣をエルディンのその胸に突き付け

た。

 だがその行動をとった者は二人いた。二人はその場で目が合った。


「早く国民を避難させろ。別に誰が死んでも構いはしないが、それでは俺に酒をもてなす者がいなくなってしまう」


 アルクレアは自分の長い黒刀をとりだし、リオンがエルディンに剣を向けているのと同じように、しかしエルディンの背中にそれを突き付けていた。


 ミディウスは頷き、すぐに城の兵士を集め、体勢を整えさせた。

 しばらくは砦と化している国境がなんとか敵の侵攻を阻止してくれるだろう。

 だが国民が巻き込まれないように手配するのは至難の事だった。

 完全すぎる平和が、逆に対処を遅くした。エルディンは剣を向けられながらにも、遠目にその様子を確認していた。


「てっきり、私欲だけで動くやつだと思っていたけれど」リオンが対面しながら呟く。


「勘違いするな小僧。俺は俺がしたいようにやっているだけだ」アルクレアはエルディンをしっかりと見つめながらそう付け加えた。


 前後から狙われているエルディンにとっては絶体絶命だ。

 身動きもとれない程に、ぴたりと二つの刃に狙われている。再びレーザーガンを取り出そうとすればその瞬間にでも二つの剣が突き刺さることだろう。


「さあ、俺の楽しみに水を差した落とし前をつけようか」


 だが二人の過ちはこの時に何も考えず、始末をつけるべきだったということだ。

 エルディンはその状況で相も変わらず笑みを浮かべている。その自信はどこからやってくるのか常人には理解しづらい。


「そうだな。確かに普通にやりあえばお前たち二人に、私は全く敵うまい」避難に遅れた村の者はまるで賊にでも襲われているように街々を駆け回る。

 オーク達が暴れまわるのを、城の兵士達はなんとか阻止しようと国中を駆け回った。

 だが突然の攻撃に耐える力はこの国には無かった。街が崩れていく音が響く。


「だとすれば普通にやる意味はないだろう」エルディンの体から……いや、どこからと言われればそう見えるだろうところから、激しく雷鳴が轟き、それはリオンとアルクレアの胸を貫いた。


 二人はうめき声をあげて持っている剣を落とし、その場に崩れ込んだ。

 体中を電流が走り、手足が有無を言わさずに痺れていて力が入らない。

 一体全体何が起こったのかわからないが、エルディンは何事もなかったかのように微笑を浮かべている。


「欲しいものは手に入った――」

 エルディンは倒れこむ二人に構うことなく、イリアスに近寄った。


「残念ながら、力とはこういうものだイリアス王女。こいつらの剣など私には通用しない。ましてや貴女の力では私の作りだしたオークすらどうにもできないだろう。だがそうだな……やがて時期がくれば――」エルディンはイリアスに銃口を向けた。


「一万の軍勢にも優に対抗し得る力がこの小さな体に宿っているとは」その口元には笑みが浮かんでいたが、目はまるで氷のように冷たく鋭かった。


 突き付けられた銃口にかかる指先が、わずかに動こうとも、イリアスは反応できなかった。

 頭の中をかけめぐる、死という感覚への恐怖が一瞬でイリアスを包み込み、心臓の鼓動が驚くほど聞こえた。


 突きつけられた銃口がやけに大きく見える。

 イリアスにはもう、他の何も見えなかった。目をつむることすら忘れてしまったようだ。


 体が震えていることにすら気付けなかった。そして――目の前の視界が突然消えた。


 一瞬の沈黙。

 リオンが再び顔を上げたとき、ドサッという大きな音とともに、そこには目の前に一人倒れている者がいた。

 突き飛ばされたイリアスを横に、シェルミアが血を流して横たわっている。わずかな息でシェルミアの声が聞こえた。「姫…様……」


 灰色の目をして、手からカランと音をたてて腕輪が投げ出された。

 そう最期に言い残し、シェルミアはもう言葉を発することはなかった。


 はっとイリアスは自分が元居た場所へと目を戻す。


 その光景を直視したイリアスはしばらく言葉にならない声を発していた。「シェ…ルミ…ア?」


 後ろで国の上げている悲鳴がその言葉をかき消した。

 イリアスは理性なくそこに横たわるシェルミアのもとへ近づいた。ゆっくりと肩に手をかける。


「シェ……ルミア」


「そん…な…」イリアスはその体をゆするのをやめた。ぶわっと目に涙が溢れてくる。


「いやああああああ!」イリアスはそこに泣き崩れ、二度と目を開けることのないシェルミアの上に覆いかぶさった。

 リオンにとっても、それはあっけなく、そして信じられなかった。


 つい先程まで、自分を挑発すらしていた男がそこに倒れている。


「次ははずさん」エルディンは真剣な顔つきで再びそれを構えた。だがその後ろからゆらりと何かが忍び寄ったのを感じていた。


「同感だ……」


 エルディンが振り返った時、シェルミアやイリアスのことなどお構いなしに、自分の胸を強く抑えながら、アルクレアは既に持ち直した剣を振り降ろしていた。

 足の震えが収まらなくとも、鋭く狙い澄まして斬りかかる。


 振り切ったその姿のまま、アルクレアは舌打ちをした。

 ガンを持っていたエルディンの腕からそれが真っ二つになってその場に落ちた。


「運のいいやつめ――」アルクレアは間違いなくエルディン自身を狙ったらしい。しかしそれが叶うことはなかった。

 だが幸か不幸か、エルディンはそのせいでイリアスを始末する手立てを失ったことに違いない。

 

 アルクレアが二度目を振る機会を得る前に、鳴り響く爆発とともについにオークは街にまで侵入してきてその前に立ちはだかった。


 大きな地鳴りがアルクレアの行く手を阻み、それ故アルクレアの剣はオークの方に矛先を向けざるを得ない状況になった。


「俺に牙を向けるとはいい度胸だな。この豚共が」


 アルクレアは苦笑まじりにエルディンの前を塞ごうとするオークを次々と潰していったが、それでもエルディンへの距離が縮まることはなかった。


 リオンは見失わないようにと目で追ったが、崩れ落ちる瓦礫や建物がその視界を遮る。

 アルクレアの振るう剣が、その長い刀身故に、辺りのオークをなぎ倒し、もはやアルクレアに立ち向かうために必要な戦力はその量ではなかった。


 アルクレアが暴れている一帯だけは既に立っているオークの姿すらいない。

 街の者も、皆逃げ出していて、もうそこには居ない。


 そこにはたった三人の人影しか映らない。間合いの外にまで届く黒い刃が、舞台やサーカスのセットさえも壊してしまうのは否めないが、それでもリオンとアルクレアの視界の先に、やっととらえたエルディンの姿は、自らが持ち込んだ勢力がアルクレアの前にひとたまりもなかったことにも関わらず、相変わらずの笑みを浮かべている。


 いよいよ二人にはその余裕が無気味な、もはや人間とは思えない者をそこに見たとすら思えてきた。


 当然のようにその気に入らない態度が、アルクレアを刺激する。

 無言のまま、アルクレアは今エルディンの立っている場所に向かって斬り込んだ。

 だが驚いたことに、その一撃がエルディンに届くことはなく、いや、確かに届いたのに……こともあろうにアルクレアの攻撃はエルディンの体をすり抜けて後ろの建物へと走り、壁をえぐっただけに終わったのだった。

 二人はその非現実的な出来事に目を疑った。


「今、何が起きたんだ?」リオンは無言のアルクレアの先にあるエルディンの体を凝視した。


「私を止めたくばアデマまでくるがいい! 不死鳥(ポイニクス)」エルディンがそう叫んだ。


 爆発音の交差する中、リオンは確かにその声を聞いた。

 その言葉の途中で、偶然にも近くに打ち込まれた砲弾が巻き起こす煙が間に割って入り、数秒の内に煙が晴れたころになれば、既にエルディンの姿は消えていたのだった。

 

 しかしオークの大群が、またこの広場に侵入してきてしまい、そこに立ち止まっている暇はなかった。

 戦いの最中にリオンはアルクレアに無理やり起こされ、そしてどこからか拾ってきたのか剣を渡された。


「忘れるな、これは貴様の戦いだろう!」リオンは泣き崩れるイリアスを片目に、そばに投げ飛ばされたオークを見た。人間でも獣でもないような、かろうじて目がどこにあるのかが分かるくらいの、そういう生き物だった。


 そんな生き物も、体中に武装を施し、手にはこん棒のような形をした鉄の武器が握りしめられている。

 しかしそんな武装も構わず、アルクレアに一撃でやられたのがよくわかる。たった一か所しか傷を負っていないからだ。


 ただしその一か所が既に致命傷で、アルクレアはすべてのオークに対し、ただその一撃で倒し続けていたのだった。


 立っているのもやっとだろうに。そうリオンは錯覚していた。自分が立ち上がれないのは、先程のエルディンの得体の知れない攻撃のせいなのか、それとも――。


「それとも怖気づいたか?」アルクレアはわざとリオンの方へと倒したオークを放った。


 リオンはシェルミアの顔を見た。

 イリアスの涙がシェルミアの頬を流れているのが見える。

 この男ならなんて言うのだろう。またお節介なことを言ってくるのだろうか。どうすればいい……と心の中でリオンは叫んだ。


 そもそも先の試合とは違う。この戦いは一体自分にとって、何のために戦うのかと。

 それだけがリオンの頭の中を埋め尽くす。戦うアルクレアと、泣き崩れるイリアスの間をリオンの心は彷徨った。


「分からないんだろう。かつておまえがしたことと同じだもんな。人間に味方する理由でも探しているのだろう。図星か?」

 

 近くにいるオークは瞬く間にアルクレアの前に力尽きた。

 その凄さを前に、更にはアルクレアの言葉に動揺を隠せないリオンは、何もはむかうことができなかった。


「はっきり言ってやるよ。死なない体だろうが、俺から見れば、今のお前はむしろ意志がない、ただここにいるだけさ……とんだ期待外れだ」

 

 罵声を浴びせたアルクレアは、そう言うとどこかに行ってしまった。










というわけです。死なない主人公。主人公なんだからどうせ死なないんだろ?というのならばいっそそういうことにしてしまえ、というのは口合わせですが。死なないからこそ、死ねないからこその難しさ。命って何なんだ?という思いが、、、「あればいいなぁ~」という感覚で書いています。

設定の無理に自分の創造力がおいついていけるよう頑張ります!


11,25,2010

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