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ダンジョンを探索すると、いろいろな事が分かるかも。(改訂版)  作者: 一 止
第1章  初級探索者編

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第66話  二度目ともなれば、感動もひとしおだよね〜(その2)

 時間は少し遡る、百花達は探索者協会名古屋支部前のダンジョンの受付で、雑賀村の長老達と雫斗の事をチャトで話し合っていた。帰還してこない雫斗を不審に思っての事なのだが、流石に注目を浴びてしまっていたのだ。


 喧喧囂囂と意見をぶつけ合っている百花達SDSメンバーに興味を持った人物がいた、荒川 優子である。何を話し合っているのかと近づいてきている事に、メンバー全員気が付かなかった、流石深層を探索している人は違う、恐ろしいほどの隠蔽性能だ。


 「雫斗君に何か有ったのかね?」声を掛けられて初めて近くに荒川さんが居る事を知った百花達メンバーは慌てる事に為る、話し合っている事は斎賀村の極秘事項なのだ。メンバー其々が何とか誤魔化そうと言い繕った事で、より鮮明に隠し事をして居ると知られてしまったのだった。


 「ふむ。雫斗君の3層からの帰還が遅れる理由に、憂慮する事態が含まれていると言うのかね? 彼の実力からしたら何も心配する事も無いと思うのだがね」確かに御もっともな意見ではある、事を起こした者が雫斗でなければ。百花達もこれ程の心配をする必要は無いのである、荒川さんに質問されている最中でもチャトの音声は流れてくるわけで。


 SDSのメンバー全員のスマホに、いきなりキリドンテの顔がアップで現れた。待望の雫斗の消息がつかめる事に息をのむ百花達。そのスマホを興味深そうに横から見ている荒川さん、今更スマホの画面を閉じる事の出来ない百花はものすごく後悔する事に為る。いきなり雫斗が対峙している、ケロベロスとのバトルの様子が映し出されているのだ。しかもご丁寧にキリドンテの解説付きで。


 「ふむ、後ろで解説している人物に興味はあるが。・・・戦っているのは雫斗君か? しかも見たこともない魔物とは。頭が三つの獣には心当たりがあるな。ふふん〜解説している御仁もケルベロスと言っているし間違い無さそうだ。しかし、雫斗君のあの動きはなんだ? 空中を飛び回っているじゃないか」


 百花のスマホを横から見ながら独り言の様な尋問を始めた荒川さん。百花は居心地の悪さに思わず弥生に目配せする、もうこうなったら荒川さんも斎賀村隠蔽工作の当事者になってもらうしか無さそうなので、村長の悠美に話を通してくれと合図したのだ。


 弥生はスマホを食い入る様に見つめているメンバーから少し離れて、悠美に部外者である荒川さんもこの動画を見ている事を伝えた。もうダンジョンの攻略情報を隠して置けない事を覚悟した悠美は、後で荒川さんと話す事を決めた。しかし今は雫斗の魔物との戦いの様子が気になる。


 その動画を見ている全員が思っている事なのだが、戦いの次元が違いすぎる。


 雫斗が単独で戦っている姿を初めて見て、探索者としてのポテンシャルの高さに驚いていた、これ程の高みへと登る事が出来るのかと。ケルベロスの真ん中の頭をハンマーで撃ち抜き失神させ、巨大なスライムが触手で絡め取った時点で勝敗が決まった様だ。解説して居たキリドンテの


 「主人様の勝利でございまするな。いやはや、これ程力の差があるとは思いませなんだ、流石は我が盟主にございます。では私めは勝利の呪言をお伝えせねばなりませぬ故、ここで失礼いたしまする」と唐突に言って動画の配信を終わらせた。しばらくの間沈黙が支配していたが、破るものが出てきた。


 「さて。この状況を説明してもらえるかな?」荒川さんの当然の疑問に弥生が黙ってスマホを差し出した。自分達で説明するよりは大御所に出張って貰った方が話が早く終わる。それよりも、恐らくこのダンジョンを攻略したであろう雫斗の動向と、あの戦い方の詳細だ。


 「ねぇ、雫斗のあの空中での動き、保管倉庫の応用よね? やり方は何となく想像は付くけど。・・・出来ると思う?」百花は、いや弥生にしても恭平にしても取得しているスキルの特性と使用限界は理解している、ただ使い方を膨らませる事ができなかったのだ。


 パイルバンカーの様に重量物を目標の上から落とす迄は想像出来た、しかし重量物の質量を利用して、瞬間的な収納からの出し入れで足場を構築して空中を自在に移動するなど考えもしなかったのだ。


 「今のままなら無理かな。でも出来る事が分かったなら、出来ないと言うのも癪だね」と言う恭平は、その技を習得する気満々である、当然百花も弥生も同様に思っていた。


 「このスマートホンは君のかな?」そう言って荒川さんが弥生にスマホを返す。


 「いやはや、君達の村はびっくり箱だね。私の想像も付かない程、秘密が詰まっている様だ。私は支部長にこの事を報告して来るよ」 そう言って踵を返しかけて、伝え忘れていた事を話す。


 「おっと! 忘れる所だった。悠美村長も直ぐにいらっしゃって説明するそうだ。君達は雫斗君をとっ捕ま・・・うぉほん。雫斗君が現れたら迅速に支部の方へ連れて来て貰いたい、彼から直接話を聞きたいからね」


 荒川さんは返事も聞かずに歩き出した。冷静沈着な彼女には珍しくかなりの動揺が伺える。まー無理もない、ダンジョンを本当の意味で攻略して所有出来るとなれば、誰でも驚く、冷静で居られる方がおかしいのだ。 




 当の雫斗は台座へ、迷宮の真核を据え付けた事で、キャサリンが支配している迷宮群の主となった。


 「ところでキャサリンとキリドンテは知り合いなの?」雫斗は疑問に思った事を聞いてみた。


 「我らは迷宮と共に生れ落ち迷宮と共に朽ち果てる、そう言いう定めをもって生まれておる。めったに他の迷宮の管理者とは会わぬが、繋がりが無いわけでは無い。特に初めて迷宮を攻略した者が出たのであれば、その御仁の事は他の管理者の興味の対象となるのは必定じゃ。いくらお茶らけた迷宮群の管理者と言えども羨望の対象となろう」とキャサリンが言う。


 ”んん?。 羨望とか言ったか?、 最初はキリドンテの事を馬鹿にしていたような言葉使いだった様な気がするが、きのせいか?”


 「そうなんだ、取り敢えず横のつながりは有るんだ。ところでキャサリンが管理している迷宮っていくつあるの」キリドンテが管理している雑賀村のダンジョンは3階層だけとは言っても二箇所だった。このダンジョンも出来立てのダンジョンなので、一つだけの可能性も捨てきれないと雫斗はあまり期待して居なかったのだが。


 「ふふふっ。聞いて驚け! 妾が管理しておる220迷宮群の総数は九つじゃ。この地域の半数を支配下に置いておる。喜べ主よ此のむさ苦しい親父の管轄しておる迷宮と合わせると二桁の大台を超える事に為ろう」。


 鼻高々に宣言するキャサリンには悪いが、雫斗は良くて三つのダンジョンか、もしかすると此のダンジョンだけかと思っていたが、九つとは・・・・此の事が公になると世間がひっくり返る未来しか見えてこない。これは秘匿するしかないと思った矢先、スマホが振動した。どうやら迷宮の試練の間、音信不通になっていた携帯電話の機能が回復したみたいだ。


 そこで思い出した、帰還予定時刻を大幅に超えている事に、慌ててスマホの受信操作をすると百花の怒りの声と、すぐに来なさいの剣幕に恐れおののいて、キリドンテとキャサリンへの別れの挨拶もそこそこに転移するための扉を構築して名古屋支部前のダンジョンの3階層へと飛んだのだった。


 「何ともあわただしい我が主殿では無いか?。 此れでよく迷宮の主としてやって来れたものだ」とキャサリンがつぶやく。


 「キャサリン嬢も見ていたでは有りませんか?、 あの戦いぶりは本物ですぞ。しかもまだまだ大きな力を隠し持っているものが御座いますので、これからが楽しみでは御座いますね。フフフ」とキリドンテが答える。


 「なにッ! 妾のケルベロスを手なずけた事もそうだが、アドミラル・ジャイアント・クインビーホーネット をその巣ごと叩き潰した手並みは見事であった。その事だけでも驚愕に値するというのに、まだ隠し持っているものが有ると言うのか?」キャサインの驚いているというより呆れているという感情が、言葉の端々に現れる。しかしそれだけでは終わらない、キリドンテが悪い顔で言い放つ。


 「わが主殿は、ご自身のお力で箱庭を構築なされた。もうすでに使いこなして居りますれば、主のお許しが有ればご案内いたしましょう程に」。


 「何と。既にご自身の時空間をお持ちか? 成程それなればあの強さは頷ける。どうやら主人殿と相対するには、アドミラル・ジャイアント・クインビーホーネットとケルベロスでは荷が重すぎた様ではあるな」そう言ってキャサリン嬢はため息をつく。



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