第二部、第一話「ハート・オブ・カオス ~愛の剣で次元を斬れ!~」
学園の庭園は朝露に濡れ、静かな空気が漂う。リリアナ・ヴェルモンドは剣を手に、赤い瞳で空を見上げる。金の髪が風に揺れ、ハート型の髪飾りが朝日でキラリと光る。隣のユウトは、モブ貴族らしい穏やかな笑みを浮かべつつ、鋭い目で空の異変を捉える。ハート型の亀裂が脈打ち、黒い霧が漏れ出す。
「またこれ? いい加減、シナリオってやつに飽きたわ。」リリアナが鼻を鳴らし、剣を構える。
ユウトが肩をすくめる。「いや、これ、ただのバッドエンドじゃないぞ。複数のゲーム世界が混ざってる気配…。『ロイヤル・ブロッサム』以外も絡んでる。」
霧の中から現れたのは、銀髪に紫の瞳の少女。黒いドレスに扇を手に、微笑む彼女は名乗る。「ミレーヌ・ダルク、『ミッドナイト・ローズ』のヴィラン令嬢。この世界、私の物語で支配するわ。」
リリアナが一歩踏み出し、剣にハート型の炎をまとわせる。「支配? 私の愛の前で、よくそんな大口叩けるわね!」彼女の剣が振り下ろされ、ミレーヌの扇から放たれた闇の刃と激突。ハート型の火花が庭園に散り、華やかな衝撃波が花壇を揺らす。
ユウトが補助魔法を展開、緑のバリアでリリアナを援護。「ミレーヌの扇、魔力の核が弱点! 動きが止まる瞬間を狙え!」ゲーム知識を活かした彼の声に、リリアナが笑う。「さすが、ユウト。私の…いや、いい分析よ!」
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学園の裏山、戦いの後。リリアナとユウトは、亀裂から溢れる魔力を追って古い礼拝堂にたどり着く。ステンドグラスにハート型の光が映り、ミレーヌが再び現れる。彼女の背後で、亀裂から巨大な影が蠢く。ハート型の翼を持つ、黒い薔薇のような魔獣だ。
「この子は私のペット。あなたたちの愛、踏みにじってあげる。」ミレーヌが扇を振ると、魔獣が咆哮し、闇の棘がリリアナを襲う。ユウトのバリアが棘を弾き、リリアナが跳ぶ。「愛を踏みにじる? なら、私の愛で焼き尽くすわ!」
彼女の魔法「ラブ・インフィニティ」が発動。ハート型の光が礼拝堂を照らし、棘を焼き払う。だが、ミレーヌが笑う。「無駄よ。この亀裂はすべての乙女ゲームを飲み込む。あなたたちの物語、終わらせるわ。」
そこへ、セレナ・ルミエールが駆けつける。光魔法を手に、彼女は叫ぶ。「リリアナ、ユウト! 私も戦う! シナリオに縛られるのはもう嫌!」リリアナがチラリと彼女を見て、ニヤリ。「ふん、いい度胸ね。私の後ろにいろよ!」
ユウトが魔獣の動きを分析。「リリアナ、魔獣の核は胸のハート型薔薇! そこを狙えば亀裂も弱る!」リリアナが頷き、剣を振り上げる。セレナの光魔法が魔獣の動きを止め、リリアナの剣が核を貫く。ハート型の炎が爆発し、魔獣が崩れ落ちる。
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礼拝堂の奥、夜。亀裂が空を覆い、複数のゲーム世界の幻影が揺らめく。ミレーヌが扇を広げ、闇魔法を放つ。「まだよ! 私のシナリオは終わらない!」彼女の魔法がリリアナを追い詰め、ハート型のオーラが揺らぐ。
ユウトがリリアナの手を握る。「リリアナ、俺とお前の愛はどんなシナリオもぶち壊す。信じろ!」彼女の瞳が光り、頬が赤くなる。「…ユウト、いつもお前が私を支えてくれる。」二人の間にハート型の光が共鳴し、礼拝堂を包む。
「ラブ・ディメンション・バースト!」リリアナの魔法が炸裂。虹色のハート型光が亀裂を切り裂き、ミレーヌの扇を砕く。彼女が膝をつき、呟く。「愛…そんな力、計算外だった…。」セレナがミレーヌに歩み寄る。「シナリオじゃなく、自分の心で選べばいい。」ミレーヌが目を伏せ、静かに頷く。
亀裂が縮小し、礼拝堂に静寂が戻る。だが、空の端に小さなハート型の光が残り、新たな気配が漂う。
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学園の屋上、星空の下。リリアナとユウトは並んで夜空を見上げる。ハート型の星が輝き、風が髪を揺らす。「また何か来ても、私とお前なら余裕よね?」リリアナが笑い、ユウトの手をそっと握る。
ユウトがニヤリ。「そりゃ、俺のラブパワーも最強だからな。」ハート型の光が二人を包み、夜空に溶ける。
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**END**