3/17

第三話、陰謀と絆

貴族社会では、リリアナ・ヴェルモンドを潰す陰謀が進行していた。王子エリオットとその側近の騎士レオンが、彼女の追放を画策。乙女ゲーム『ロイヤル・ブロッサム』のシナリオでは、リリアナがダンジョンで死に、王子が「正義」を貫く展開だ。だが、モブ貴族ユウトとして転生した悠斗の介入で、運命の歯車が揺らぎ始めている。

ダンジョン深部。巨大な魔獣が咆哮し、リリアナに襲いかかる。彼女の剣が炎をまとい、ラブパワーが炸裂。ハート型のオーラが周囲を照らし、魔獣を一刀両断する。だが、力を使いすぎ、彼女は膝をつく。額から血が滴る。「ちっ、油断した…」。ユウトが駆け寄り、彼女の手を握る。「リリアナ様、大丈夫！俺がいる」。その瞬間、ラブパワーが急上昇。リリアナの周りに輝くハート型の光が広がり、傷がみるみる癒える。「…お前のせいで、力が暴走するんだから」と、リリアナは照れ隠しに毒づくが、目元は柔らかい。

突然、闇からエリオットの刺客が現れる。黒装束の男たちが、毒矢を放つ。ユウトはゲーム知識で刺客の動きを予測し、リリアナに叫ぶ。「左の通路、罠です！右に！」リリアナは即座に動く。彼女の魔法が新たな段階に達し、広範囲を焼き尽くす「ラブ・フレア」が発動。ハート型の炎が刺客を一掃する。「なぜそこまでする？」リリアナの問いに、ユウトは真っ直ぐ答える。「あなたが好きだから。ゲームの結末なんて、変えてやる」。リリアナの心が大きく揺れ、頬が真っ赤になる。「バ、バカを言うな！戦いに集中しろ！」だが、彼女の剣はさらに輝き、ラブパワーが強まる。刺客の残党を蹴散らし、二人は互いに背を預け合う。遠くで新たな敵の気配が迫る中、リリアナは小さく呟く。「…お前といると、負ける気がしない」。

**END**