愛の言葉
『シェル、君にはいつも僕の選択を『馬鹿だ』と批判されていたね。結果としてそういわれても仕方がないかもしれないけど、その一つ、ヴィルと結婚を決めたこと、それを後悔はしていない。だって、彼女と結婚したからこそ、エステルが今ここにいるのだから。こう言ったら、すべてを知る君は『エステルは君の血を引く娘じゃないから、君との結婚は関係ないというだろう』と言うだろう。でも、エステルが僕のもとに来てくれたのはヴィルと婚姻関係にあったからなんだから、あながちまちがってはいないはずだよ』
亡き公爵の手紙の一文である。
シェルとはソルフェージュ伯爵の愛称のようだ。
『僕がヴィルとの離婚を決めたのは、エステルがひどく彼女におびえるようになり、もうそばに置いておくことはできないと思ったからだ。そんな僕にヴィルは意趣返しのように、エステルが僕の娘ではないと告げた。そりゃちょっとは動揺したよ。そういうことならエステルを手放し、別の相手と結婚をして後継をもうけるのが賢いやり方だとはわかっていた。でも、僕をただ一人の親と信じすがってくるあの子をみると、僕が守らなきゃならないって思ったんだ』
この文章を読んでエステルは申し訳なさでいっぱいになる。
「私がお父様を縛ってしまったの? 私がお父様に頼らなければ……」
「そうじゃないですよ、ちゃんと手紙を最後まで読んで」
『そして、あの子をそばに置いたことは死を前にしてもみじんも後悔していない。生まれて間もないあの子が小さな手でギュッと僕の指を握り返してくれたこと。僕が帰ってくると走り寄って抱き着いてくれたこと、母親のせいで笑顔のなくなったあの子の心をなんとかほぐして再び笑顔を見せるようになってくれたこと、ああ、数え上げるときりがないけどそれらのすべてが、今でも僕の暖かな光をともしてくれている。もし、あの子が本当のことを知って傷ついてしまったなら伝えてほしい愛してると。生まれてきてくれてありがとうと』
(お父様……)
「わかるだろう、血のつながりにかかわらず君は愛されていた」
そして、亡き公爵の手紙は以下の文章で締めくくられていた。
『エステルの出生の秘密にしても私が生きていたなら盾になって守ってあげられるから大丈夫と思っていたが、どうやらそれが無理そうだ。だから、お願いだ、シェル。もしあの子が何か母親や、あるいはそれ以外のことであっても、困っていたなら力になってあげてくれ』
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聖人みたいな亡き公爵ですが、キャライメージとしては『ワンピース』のくまさんかな。
くまはくまでも外見的イメージは、かわいい系のテディベアの方です。
以上、裏設定でした。




