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【8枚目】公爵家でのディナー〜エリザベス様の御乱心


 カフェで時間を潰した後、私とモニカ、ユリアちゃんの3人はパディントン公爵邸の前に立っていた。


(ひょええええええーーー!超豪邸ーーーー!!!)


修学旅行で行ったハワイのカメハメハ大王のお城のようである。

 

 門兵の人に要件を伝えると、玄関ホールに通されてズラッと大勢の使用人に取り囲まれた。


「「ようこそいらっしゃいました!!」」


 私達は嬉しい以上にビビっている。


 その後、ダイニングに案内された。


 そこにはエリザベス様とハリス様、そしてなんと第二王子であるルーク様がいらっしゃった。


 私達が入室すると、3人とも席を立って出迎えてくれた。


(ぎゃーーー!公爵令嬢•公爵令息•第二王子で高貴な方達のエレクトリカルパレードっ!!!!)

 

「ようこそいらっしゃいました。ユリア様、モニカ様、そしてルチア様。


 3人にお会い出来るのを楽しみにしてましたのよ。


 今日は美味しい食事を沢山ご用意しましたの。宜しかったら沢山召し上がっていってね。」


そう言ってエリザベス様が微笑んだと同時に使用人の方々が音も立てずにまるで忍者のようにサカサカと動き出した…!!


「…頂きます…!!!」


 運ばれてきた食事はめちゃくちゃ豪華だった。


 キャビアののったシーフードパスタに、ミディアムレアのビーフステーキ、食用花の使われている美しい前菜に、雲丹のブラマンジェなどお洒落で洗練された料理が次々と出てきた。


(オイC(シー)!美味しいよっ!!!公爵家、やばぁ〜い!!!)


 そう思いながら私は次々とご飯を平らげていった。


「…ルチア様、召し上がる所作がまるで高位貴族のようにとても美しいんですのね。」


エリザベス様が褒めて下さる。


 そうなのだ。美味しいものは絶対残したく無いし溢したくない。いつもそう思って食べていたらいつの間にか綺麗な所作になっていたのだ。


「えへへ。美味しいものを食べるのが大好きなんです。」


そう答えるとハリス様が優しい顔で、

「…今度評判の店の菓子を贈ろう。」

と言ってくれた。


(はぅっ。優しい…。)


「ありがとうございます。嬉しいですっ。」


そう言うと、ハリス様は満足そうに口角を上げた。


 それを見た時、何故か一瞬、ぎゅっと心臓が苦しくなった。


 …?何だろう。最近ハリス様と話しているとこうなることがあるんだよね。


(何かの病気かな?今度お医者さんに診てもらわなくちゃ。)


「…こほん。さて、皆に集まってもらったのは他でも無く私の希望だ。ここにいる全員が()()()()によって被害を受けていると思われる。皆、心当たりはあるよな?」


そう言って、ルーク様が切り出した。


 すると、私以外の全員が苦々しい顔になる。


(ん?ある人物?誰の事だろ?)


私が1人でキョトンとしていると、エリザベス様がプルプルした後、堰を切ったように語り出した。


「…わたくしっ!政略的な婚約とはいえずっとカール様の為に尽くして参りましたのよっ!


 これから切磋琢磨してこの国を2人で一緒に支えていくのだとずっと思っておりました。


 だから、必死に王妃教育だって頑張って来たのですわ。


 それなのに、ミラ•エマーズが気に入ったからと言って…。カール様のこの仕打ちはあんまりですわっ。」


 な、なるほど。『ある人物』ってミラ•エマーズの事か。


 …エリザベス様、要は傷ついたってことだよね?


 私、エリザベス様に対して、浮気はされてるかもしれないけども、婚約がなくなったらモテモテ&選び放題になるだなんて、羨まスィー、と思ってたけど、そんなこと絶対に言えないね…。


「…エリザベス様はカール様の事を愛していらっしゃったんですね?」


私がそう言うと、エリザベス様は弱々しく首を振った。


「好きだったか、と聞かれるとわからないわ。でも、この国の王太子との婚約が決まった瞬間から、()()()()()()()()()()()()、が私の人生そのものだったの。


 …その今までの人生を全て否定されたような気持ち…かしら。」


 そう言って瞼を伏せた。


(そ、そうだよねえ…。きっと遊ぶ暇もなく凄く努力してたんだろうな…。人生そのものだなんて、なんだか壮大な話になってきたぞ…?)


 それに対してユリアちゃんが困惑した顔で質問する。


「…あの。でも、エリザベス様との婚約が無しになったからと言って男爵令嬢であるミラさんとカール様が結婚なんて出来るとは思えないんですけど。」


すると、ルーク様が溜息を吐きながら答える。


「兄はどうやら、君の婚約者であるトラヴィス•カンターニ侯爵令息の実家にミラ•エマーズを養女にさせようと考えているようだ。」


そう言われて、ユリアちゃんは驚いて目を見開く。


「っな!!!」


「…ルーク様。何故カール様はあの女にそこまで執心されるのでしょう?何故、私ではダメであの女なのでしょう。最近、私、自分に自信がなくなってまいりましたの。」


そう言ってエリザベス様は苦悶の表情を浮かべた。


「…トラボルタ嬢。君はどう考える?」


えー!!なんかこっちに来たっ。


「え、えーと、ミラ•エマーズは本当にけしからんですねっ!!」


すると、皆さんがウンウン、と頷いてくれたので私は続ける。


「特にあのボロンボロンのオッパイがけしからんです!!」


皆さんの動きが止まった。


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