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【7枚目】意外なご招待とガールズトーク。


(いやぁー、しかし、昨日はとんだ1日だったなぁ…。まさか、デビュタントでダンスバトルをさせられると思わなかったよ。)


 だが、そんな事は私の婚活には関係ない!


 今日も私は、学園の50m程前で馬車を降ろしてもらう。


「お嬢様…今日はやめておいた方いいのでは…。」


アンは疲れた顔をしているが、私は今日もやる気満々だ。


「やるに決まってるじゃない!今日こそイケメンにぶつかるはずよ!」


そう言って私は食パンを口にセットした。


「やーん!!遅刻遅刻ぅー!!!」


今日も曲がり角に向かってダッシュする!


 もうスピード調節も慣れたものである。ジローも鳥も人間もどんと来い!


 すると、後ろから走ってきた馬車が隣で停車して、いつも通りハリス様が降りてきた。


(はぅ…!今日もキラキラしてらっしゃる…!!)


「…おはよう。昨日は世話になったな。礼を言う。…実は以前君が踊っているのを見たことがあったのだ。」

そう言って口角を少しだけ上げた。


「おはようございますっ!

 …そうだったんですか。驚きはしましたがダンスは得意なので大丈夫ですっ。エリザベス様はいかがですか?」


そう答えるとホッとしたような顔をした。


「ああ。元気だ。ちなみに今日も馬車に乗ってはいかないのだな?」


「はい!あの曲がり角でもしかしたらイケメンとぶつかるかもしれないですもん!」


私がそう言うと、ハリス様は目を見開いた。


「…いけめん?とりあえず、気をつけて、な?」


「はぁーい!!」


「あ。」

走り出そうとした私をハリス様が呼び止めた。


「…ん?何ですか?」


「その…昨日は、言いそびれたが、君のドレス姿は綺麗だった。では、またな。」


そう言ってハリス様が昨日と同じようにフワッとわらった。


 カチンと思わず動きを止めてしまう。


「…は!!いけないいけない!!」


 私は気を取り直して曲がり角までダッシュした。

 

 結局今日も誰にもぶつからなかった。うーん、前途多難だなぁ。


◇◇


 昼休みのチャイムが鳴って、モニカとユリアちゃんとお昼ご飯を食べに行こうとしていたら、なんと、教室にエリザベス様がやって来た。


 教室の皆は、突然の公爵令嬢の登場に騒ついている。


「ルチア様。昨日はありがとう。貴女が勝利して下さったお陰でなんとか私達の面目が立ったわ。


 それでね、急で申し訳ないのだけど、明日、良かったら公爵家でのお食事にご招待したいのだけど。


 後ろのモニカ•レイバン子爵令嬢と、ユリア•メイベル伯爵令嬢も宜しかったら来てくださるかしら?」



エリザベス様がニッコリと笑うと、突然名前を呼ばれたモニカとユリアちゃんはコクコクと緊張した感じで頷いた。


 それを見てエリザベス様は満足そう笑い、


「そう。では、明日の6時に公爵家にいらして。気兼ねなく制服のままでいらっしゃってね。」


と言って去っていった。


「トラボルタさんっ!!!公爵家にご招待とか、すっげぇーじゃん!!!」


そう言ってクルス君が興奮している。


 隣でナナちゃんに『言い方っ!!』と注意されていて微笑ましい。


(美味しいものが食べられそうっ!マンモスうれぴ〜。)


 そう思ってワクワクしていたら神妙な顔でモニカが呟いた。


「…ルチアが呼ばれたのはまあ、わかるのよ。()()()()の鼻を明かすのに貢献したのだから。でも、どうして私達まで呼ばれたんだ思う…?」


「うーん…きっと!!お友達になりたかったんじゃないかなぁ?だって、『隻眼の魔法少女』だしっ!」


私がノホホンと答えると、生暖かい目で見られた。


「…まあ、でもエリザベス様が仲良くして下さるのは光栄ですね。パディントン家は中立派だし、父もきっと大喜びです。」


そう言いながらも、ユリアちゃんは何かを思案していた。


◇◇


 そして、次の日。私は放課後ユリアちゃんとモニカと3人で王都のカフェで時間を潰していた。


「それにしても、ミラ•エマーズ。


 あの女、私達の婚約者やポール•ディアーノ伯爵令息だけじゃなくて王太子様にまで近づいていたのね。全員婚約者がいるのに信じられないっ。」

 

そう言って、モニカはヤケクソ気味にケーキを頬張った。


 ユリアちゃんもケーキの上の苺にブスッとフォークを刺しながら溜息を吐く。


「本当ですっ。あの男共もあんな下品な女のどこがいいんでしょう!どう思います?ルチアさん!婚約解消されたのだから実質貴女がこの中では一番被害を被っていますよね!」


そう言われて、私は考える。


「うーん。どこがいいっていうか。男の方がスケベなんじゃない?」

私は思った事を口にした。


「「…は?」」


2人は目を見開いてポカーンとした。


「いや、だからスケベなんじゃない?ミラ•エマーズ、おっぱい大きいもん。」


 前世、男子に人気な漫画のヒロインはよくおっぱいをポロリさせたり、パフらせたりしていた。


 前世、千尋の兄も好みの女の子のタイプを試しに聞いてみると、笑顔で『乳と顔のいい女!!』と言っていた。


 そして、ミラ•エマーズは背は小さいのに胸がボロンボロンである。


 2人は何やら考え込んでいたが、やがて

「ルチアってアホだけど、やっぱりアホじゃ無いよね。」

と言われた。


 …いや、アホだと思うよ?


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