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【6枚目】ダンスバトルvs男爵令嬢 feat.王太子


「う、嘘よ!そういう感じじゃなかったわ!」


上手く誤魔化せたと思ったのに、そう言ってミラは食い下がってきた。


(ノーーー!!!どうかそこは許して下さい…。なんでこんな変な所でこの人は食い下がって来るのー?)


「そ、そんな事はないでぇす!貴女の髪型はスンばらすぃーです。」


 私は意味もなく韻を踏んでみた。


「貴様!普段そんな喋り方をしていなかっただろう!私に振られた腹いせにミラを虐めようとしているな!」


ポール様が食ってかかってくる。


(あーもう。虐めようなんて思ってないよっ。このエロガッパ!)


 会場の注目が徐々に集まり始めてしまった。


 モニカとユリアちゃんが心配そうな顔でこちらを見ている。ダマえもんは、お金と道具は持っているけれど平民だから来ていない。どうしよう。


「そ、そんな事はございませんわ。」

一応返事はしてみたものの、内心は皆に見られて冷や汗がダラダラである。


(うえええええん。ダマえもーん!何か道具出してよー!)

と思っていると。


「…トラボルタ嬢は髪型を褒めただけだろう。その辺で許してやったらどうだ。」


そう言って、ハリス様が助け舟を出してくれた。後ろで義妹のエリザベス様が心配そうに見ている。

 

(天の助けキターーーーー!!!ありがてぇ、ありがてぇ。スイカあげといて良かった…!!)


「…!!パディントン公爵令息…!」


 公爵令息から宥められて、言葉に詰まるポール様。

ふふん。参ったか!(全く私の力じゃないけれど。)


 ところが、さらに予想外のお方が登場した。


「だが、可愛いミラを虐める令嬢が増えているのは事実だ。君の義妹のエリザベスのようにね。」


なんと、王太子のカール様である。一体どこに潜んでいたのだろう…。

 

 すると、エリザベス様が目を見開く。

「な…!わたくしはそんな事していないですわ。婚約者のいる方に馴れ馴れしく接するのをやめるよう注意しただけです!」


…何故だろう。私はミラさんの髪型がウンコっぽいと思っただけなのに。


 予想外に高貴な人達がぞろぞろ出てきて居た堪れないです…。


 完全に注目の的になってしまった。


「ハッ。どうだか。どうせ私がミラにばかり構うから嫉妬でもしたんだろう?名ばかりの()()()殿()


 そこまで言うなら勝負だ。


 だが、デビュタントの場では剣は持ち込めない。


 よって、ダンスで勝負するのはどうだろう?」


そう言ってカール様は不敵に笑った。


 え、え、何を言っちゃってるの?この人。


 なんでいつの間にかダンスバトルのお誘いになってるの?


 冗談はよしこちゃんである。


 すると、ハリス様が答える。


「…わかった。こちらは私とトラボルタ嬢が踊る。そちらはエマーズ男爵令嬢と貴方がペアになって踊る、ということでいいか?」


…ひぇ?!な、何でこっちに振るの?!


「ああ。それでいいだろう。」

そう言ってカール様が頷く。


(へ?本気で踊るの…?!このだだっ広い王宮のホールで注目されながら?!)


予想外の展開についていけず、内心パニックになっていると。


「大丈夫。君なら絶対出来る。」

そう言ってハリス様がフワッと笑顔になった。


 その瞬間。


「「「キャー!!!」」」

「ハリス様が笑ったわ!」

「何て麗しい…!!」


と、会場中の令嬢達が大騒ぎである。


(…なんでいつも無表情なのに、笑ったんだろう。)


 思わずボーッとしていると、モニカが小声で

「ちょっと…!!大丈夫?!」と言ってきた。


「…?ちょっと今心臓の調子が悪かった気がする。」

そう言うと、何故か、

「…はいはい。」と呆れられてしまった。


◇◇


「それでは、勝負だ。審査員は王宮でダンス講師をしているマリア・ラターニャ侯爵夫人、そして、我が母である王妃、そして、会場の貴族全員だ!


 これからカードを2枚ずつ配布する!私達に投票する場合はハート、ハリス達に投票する場合はダイヤをこの投票箱に入れてくれ!」


そう言って、宝箱的な箱をドン!と置いた。


 そして、審査員のマリア様と王妃様は扇子で口元を隠しながらこちらを見ている。


 そして、王様はちょっと困惑顔だ。


 ちなみに第二王子のルーク様はカール様を『お前っ!何アホなことやってんだよ!!!』的な表情で射殺せんばかりに見ている。


「それでは、今から流れる曲でペアで踊る。


 さあ、勝負だ!!」


 カール様が合図をすると、軽快なワルツが流れる。


(よーし!負けないぞっ!助けてくれたハリス様に恥をかかせる訳にはいかないもんね。)


 わたしは前世では3歳からジャズダンスを始め、色んなジャンルを習っていた。アホだけど踊れるのだ。


 私はダンスを踊るためにハリス様にエスコートされて、一歩前に踏み出した。

 

 まずは、リズムに乗って軽くステップを踏んだ後、三回転ピルエットを易々と決めた。


「…おお!!」

周りの貴族達からどよめきが起こる。


 思った通り、ミラは腹筋が無いので軸がズレてしまっている。ダンスは腹筋、特にインナーマッスルが命である!!


 それに、顔を身体と一緒に回してしまうと、すぐに目が回ってしまう。


(ここでしなやかに腕を伸ばし、ジャンプ!そして、振り返ってターン&ピルエット!!!)


隣をチラッと見る。


 カール様とミラのダンスは私達に比べるとまるでお遊戯会のようだ。


「う、嘘だろ…。」

カール様は私達のダンスを見て驚愕の表情を浮かべている。


 …なんでカール様はあんなに自信ありげだったのだろう。


 結局満場一致で私達の勝利が決まった。


「感動ですわー!!!ルチア•トラボルタ嬢!


 私と一緒にダンスをもっともっと芸術として高めてまいりましょうっ!」

マリア様に感極まった感じで両手をギュッと握られた。


 私が振り返って笑顔でピースをすると、ハリス様は口元を緩め、エリザベス様はホッとしたような顔をしていた。


 そして、モニカとユリアちゃんは驚きで目を見開いていた。


「…ルチア。貴女あんな高度なダンステクニックどこで習ったの…?」


…とりあえずムーンウォークで逃げておいた。

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