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【14枚目】夢のような時間。


 昼食を食べ終わった私達は手を繋いで雑貨屋さんに行った。


「…可愛いっ!!!」


 店内はファンシーな感じで私の好みの雑貨が沢山ある。思わず顔が綻んでしまう。


「どれでも好きなものを買うといい。私が全て買おう。なんなら店ごと買い占めてもいい。」


そんな事をハリス様が真顔で言い出すのでビビってしまう。


「いやいやいやいや!!!それは大丈夫ですよっ!じゃあ気に入ったものがあったらお伝えしますっ。」


そう言うと、嬉しそうに頷いた。


 結局2人で色違いでお揃いのアクセサリーを買った。


 ハリス様の銀の髪と私の青い瞳をイメージして、私が銀縁の青いサファイアのネックレス、ハリス様はピアスを購入した。


「えへへへ!お揃いですねっ。」


私がそう言うと、蕩けそうな顔でこちらを見つめている。はわわわわわわっ。目がっ目がぁー!!


「ああ。君のネックレスは私が付けよう。」


そう言って私の首にハリス様が手を回す。


(んぎゃーーーーーーー!!!!!か、顔が近いですぅーっ!!!)


思わずギュッと目を瞑ると、ハリス様がフッと笑うのが聞こえた。


「出来た。」

そう言われて胸元を見ると、ネックレスがキラキラ光っていた。


「…ありがとうございますっ!!!ハリス様のピアスは、では私がつけますねっ。」


「あ、ああ…。」

そう言って耳に触れると、ハリス様の耳だけではなく顔が真っ赤になった。


(あぁあ、尊い…。)


2人でお揃いのアクセサリーをつけて、手を繋いで夕陽が綺麗な広場にやって来た。


 噴水が沈む夕日を反射させてキラキラと輝いている。


 仲良くベンチに座ってそこで沈みゆく夕日を見ていた。


 周りはカップルばかりで、『もしかして私達もカップルに見えているんじゃ…!!』


と思うと、嬉しくて恥ずかしくて悶えてしまいそうである。


「…君と両思いになれたなんて、夢のようだ。」


ハリス様のその言葉で、ジワジワと付き合ったことを実感して来て嬉しくなる。


 今までフワフワとしていて現実味がなかったけれど、そうだった。


(カップルに見えている、じゃなくて私達、正真正銘恋人になったんだった…!!)


 暗くなって来たのでハリス様が『送ろう。』と言ってくれたので馬車までエスコートしてもらう。


 2人で公爵家の馬車に向かい合わせで座った瞬間、ハリス様に手を引かれてキスをされた。


 ビックリして目を見開いていると、ハリス様に笑われてしまった。


「も、もうっ!!!初めてだからしょうがないじゃないですかっ!!!」


そう言うと、ハリス様が目を丸くした。


「私が、初めて…なのか?」


「そうですよー!!!デートだって、初めてですっ。」


それを聞いてハリス様がめちゃくちゃ嬉しそうに、


「…そうか。」


と言ったので、私は顔を赤くして黙るしかなかった。


 家に帰って、家族にハリス様と両思いになった事を告げたら、家族みんながお祭り騒ぎになった。


 はぁああー⭐︎祭りだ祭りだ、と頭の中で北島サブオも熱唱してくれた。


◇◇


 ハリス様と恋人になった次の日。


 今日も私は、学園の50m程前で馬車を降ろしてもらった。


「お嬢様…パディントン公爵令息と恋人同士になったんですよね?それなら、もうやらなくても良いのでは…。」


とアリスは困惑しているが、私は首を横に振る。


「今日からは、ハリス様に会う為だけにやるわ!よく考えたらぶつかってないけれど、いつも朝、話しかけてくれていたし!!」


そう言って私は食パンを口にセットした。


「やーん!!遅刻遅刻ぅー!!!」


そして、今日も曲がり角に向かってダッシュする!


 今日の私は素敵な彼氏もできて、ちょっと違うのだっ。


(ハリス様に会えますように!)


すると、後ろから走ってきた馬車が隣で停車して、男の人が降りてきた。


(はぅ…!ハリス様だっ!!!)


「… おはよう。ルチア。今日も食パンを咥えて走っているんだな。」


そう言って、顔を綻ばせた。


「ハリス様っ。おはようございますっ。


 えへへっ。ハリス様とお話ししたいので結局食パンダッシュは続ける事にしましたっ。」


そう答えると、ハリス様は顔を赤くして固まった。


「…可愛い。」


「へ?!」

突然褒められてドギマギしてしまう。


「可愛いと言ったんだ。頼むから、そこの曲がり角で、他の男にはぶつからないでくれ。」


そう言って額にキスをして来た。


(んぎゃーーーーーーー!!!!)


 私はハリス様の色気に当てられて腰が抜けてへなへなと座り込んでしまった。


 すると、ハリス様が心配そうな顔で覗き込んできた。


「大丈夫か?学校まで送る。馬車に乗ってくれ。」


そう言われて、初めて私はハリス様の馬車に乗って一緒に登校した。


 一緒に馬車を降りた私達を目撃した生徒達は衝撃で目を見開いた。


 ―その日、私達が付き合っているという噂が怒涛の速さで広まったのである。


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