主との再会 1
国家特待生エリー・ブラウンとの交流
誤字報告下さった方ありがとうございます
アンジェラ・クロード15才、グラン国軍立士官幼年学科3年生、そして幼年学科学生会副会長。
千年前、謂れのない罪により処刑された。セレーナ十騎士の一人【漆黒の乙女】ことリーザ・バーンの転生少女。
アンジェラが、前世の記憶が戻ったのは5才の時、突然、前世の記憶が湧き上がり自分が【漆黒の乙女】リーザ・バーンだと自覚した。
それは楽しい記憶もあったが、最後は悲壮なものだった。
主である、セレーナ・ブレッドリー辺境伯、直衛騎士隊長でありながら油断から、セレーナを謀殺され、自分も捕らえられ処刑された。
千年前、アルカン帝国最強と言われたセレーナ騎士団、セレーナ十騎士唯一の女性騎士、栄光と名誉を手にする筈だった。
しかし、アルカン帝国反逆の罪を着せられ、見せしめとして、十騎士は特に酷い公開処刑が行われた。
【漆黒の乙女】リーザ・バーンは三日間貼り付けにされ、その後、全身槍で突かれ処刑された。
アンジェラは、前世の大きな心残りがあった。それは、主、セレーナ様を守れなかった事だ。自分がしっかり守っていれば、あんな悲しい思いはしなくて済んだ、そう思っていた。
そして、転生して十五年程の月日が流れた。ここはグラン連邦国、軍立士官幼年学科校舎校門前。
そこを一際目立つ制服姿の美少女が歩いている。金髪セミロング、切長のブルーの瞳、端正な顔だち、身長は170cmくらい、細身だが適度に締まった女性らしいスタイルをしている。グラン連邦国、クロード外務卿の息女アンジェラ・クロードだ。
アンジェラが校門前で、護衛従者が離れると、すかさず女子学生が近寄って話し掛けてくる。
「おはよう御座います! アンジェラ様、今日から来るらしいですよ! 噂の国家特待生」
アンジェラは微笑みながら言う。「おはようございます。そうなんですか? 学生会としても把握しておく必要はありますわね」
女子学生は、向こう側の壁側に立っている、軍服姿の赤髪女性に視線を向ける。
「なんでも、専属指導教官が付くらしいですよ、ほら! あちらに立っている」
アンジェラも視線を移して、ちょっと驚いた様に言う。
「えーーっ! ジェーン・ジョージア少佐!」
アンジェラは、更に少し動揺した様に呟く。
「確か、成績は超優秀、魔力もかなりのレベルだと聞いていますが・・・・・・、飛級特別入学、そして、専任指導教官がジョージア少佐? かなりの待遇ですわね・・・・・・」
アンジェラが立ち止まり少し考え込んで居ると、女子学生が声を発する。
「ほら、来た見たいですよ、国家特待生、エリー・ブラウン・・・・・・、えっ・・・・・・、 凄く可愛い感じの子ですよ!」
ジョージア教官と、その美少女は何やら話しているが、こちらに会話は聞こえない。
紫の髪色ツインテール、朱色の大きな瞳、鼻筋が通っている小顔な美少女、身長は150cmくらい、ジョージア教官に見下ろされて会話している。
アンジェラが、二人の様子を暫く見ていると、美少女エリー・ブラウンは戸惑った様な表情をして、ジョージア教官と一緒に中央広場の方に去って行った。
アンジェラは、少女エリー・ブラウンを見てから、心の中で何とも言えないザワメキを感じていた。
(なにかしら・・・・・・、この感じ・・・・・・)
アンジェラには、原因がわからずモヤモヤしてその場を離れ教棟へと向かうのであった。
そして、翌日、昨日ジョージア教官と美少女エリーが剣技修練試合をした事を聞く。内容は驚くものだった。
「国家剣技士、特級序列剣士のジョージア少佐と試合して、引き分け?」
アンジェラは驚いて、同級学生に聞き返す。
「あゝ、間違い無い、学科長が立会人だったそうだから、絶対嘘なんかじゃない!」
同級学生は機嫌悪そうにアンジェラに言った。
アンジェラは微笑みながら同級学生に言う。
「とんでもない子が現れたものですわね! 興味が湧きましたわ、貴方詳しいお話を聞かせて下さるかしら」
「いいよ、俺の聞いた事なら話してやるよ」同級学生は少し顔を赤らめて、更に話し始めた。
そうして、アンジェラは、エリーに更に興味を抱き、エリーとの接触の機会を伺っていたが、中々チャンスが無かった。
◆◇
一週間程して機会は訪れる。士官幼年学科の最大イベント、幼年学科剣技大会である。
剣技大会への参加は、エリー・ブラウンは国家特待学生としてシード枠、ベスト十六からの参加となっていった。もちろん前年ベスト四のアンジェラもシード枠だ。
ここは、幼年学科剣技場外周部のベンチ。
アンジェラは、エリーが一人ベンチで昼食を食べている様子を確認してエリーに近づく。
エリーがベーコン野菜サンドを カプリ モグモグしていると、目の前に少女が1人立っている。
「わたくし、アンジェラ•クロードと申します、エリーブラウンさんですわね」
エリーは視線を上げてアンジュラ クロードと名乗った少女の顔を見た。
金髪のセミロング、ブルーの大きい瞳、小さくて綺麗にまとまった美しい顔立ち、スタイルも理想的体型をしている。
エリーは思った。
(うわー〜、超美少女、まぶしいわ)
そして、慌てて、口の中のものを飲み込み
「あゝハイ、エリーブラウンです」
そして、エリーはベンチから立ち上がり腰を曲げ敬礼した。
「失礼しました、アンジュラ様! 気付かず申し訳ありません、今後共、お見知り置きくださいませ」
アンジュラはエリーの顔を見ながら
「いいえ、わたくしが突然話掛けたのが悪かった様ね」
(この子が、本当に特待学生のエリーブラウンなの同姓同名の別人じゃないかしら?)
「エリーブラウンさん、ジョージア教官と修練試合したそうですね、互角だったとか」
エリーちょと考えた様な顔をして言う。
「ハイ、ジョージア教官に無理矢理やらされちゃって、教官も本気ではなかったので何とか引き分けられたと思います」
アンジェラは、微笑むエリーを見ながら言った。
「いくら、ジョージア教官が本気で無かったとしても、並みの剣士では、10分間も打ち合いは出来ないと思いますわね」
(この子まったく、強者のオーラが無いけど? て言うより、可愛い妹って感じなんだけど?)
「エリーさん、もう少しお話し宜しいかしら」
「はい、構いませんが・・・・・・」
アンジェラは、エリーの瞳を見つめる。「ベンチに座ってください」
「それと、お食事も摂りながらで結構なので、わたくしは昼食は摂っていますので、気になさらず」
そう言ってアンジェラはベンチに座った。
エリーもそれを見て、隣に座る。
「アンジェラ様、失礼します、食事の続きを」
エリーは食べかけのベーコン野菜サンドを口に運ぶ、カプリ、モグモグ。
アンジェラはエリーの美味しいそうに食べる仕草を見ながら微笑む。
「エリーさん、美味しいそうに食事されますわね」
「そうなんです、お母様のベーコン野菜サンド本当に美味しんですもの」
エリーは満面の笑みで応える。
アンジェラがびっくりした様な顔して言う。
「まあ、お母様がお作りに!」
エリーはニコニコしながら言う。
「ハイ、うちには料理人もいますが、お弁当は私が作るって、お母様頑張って作ってくれるんです」
アンジェラは幸せそうに話すエリーを見る。「そうなんですね、優しいお母様なのですね」
「はい、お母様は優しくて、賢くて、私に色んな事を教えてくれます、最高のお母様です」
アンジェラは思っていた。
(エリーさんやっぱり思ってたイメージと違うわ、なんかふわっとした雰囲気、心地よいのだけど・・・・・・)
エリーは1個目のベーコン野菜サンドを食べ終え2個目をとりだし、パクリ モグモグと食べている。
(アンジェラ様、私の顔ずっと見つめているけどベーコン野菜サンド欲しいのかしら?)
アンジェラはエリーの顔見ながら微笑んでいた。
(エリーさん、本当幸せそうね)
エリーは、アンジェラのブルーの瞳を見つめて「アンジェラ様、もしよかったら、お一つどうですか?」
エリーはランチケースの3個目のベーコン野菜サンドを指差した。
(わたくし、物欲しそうにしていたのかしら? せっかくだからね、頂くわ)
「宜しいのかしら」
「はい、どうぞ召し上がりください」
アンジェラは遠慮気味に3個目のベーコン野菜サンドに手をでして、エリーに軽く会釈した。
「それでは、遠慮なく頂きますわ」
アンジェラはベーコン野菜サンドを口に運び小口でカプカプ、モグモグ、もう一口、更にもう一口、モグモグ美味しそうに食べた。
「エリーさん、これ美味しいですわ」
アンジェラは、エリーの顔を見て赤みを帯びる。(エリーさんとお友達になりたいわ)
「この様な食事を毎日食べれるなんて、エリーさん幸せですわね」
アンジェラのうるっとしたブルーの瞳を見ながらエリーは言う。
「そうなんです、とても幸せなんです」
エリーは微笑み、目をキラキラさせながら言うのであった。
アンジェラとエリーはしばらく、家族のこととか話しながら親睦を深めた。
そして、昼食時間は終わりを迎える。
「エリーさん試合、頑張ってね」
「はい、アンジェラ様も、お互い頑張りましょう」
アンジェラはベンチから立ち上がり、右手で小さく手を振り、向きを変え剣技場へと向かう。
(エリーさんていい子だわ、素直で妹みたいに凄く可愛い、良いお友達が出来たわ)
アンジェラの中ではエリーはお友達認定されていた。
(最初に感じた、あのザワメキはなんだのかしら?)
そして、剣技大会は午後からいよいよベスト十六の試合が始まる。
アンジェラは、エリー・ブラウン対、学生会会長ガルシアの試合を見て驚愕する。
開始後直ぐに決着が着いたのだ。
ガルシア学生会会長も、剣技で学科内で強者の部類だ。それを容易く退けた。
アンジェラは思った。(エリーさんは、とんでも無く強い! 外見と雰囲気からは想像出来ない、魔力量、そして美しい剣技!)
そして、アンジェラの心の中でザワメキが、渦を巻いて胸が締め付けられる思いが、大きく湧き起こるのだった。
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